第13話 達弘
あれから未来と色々な場所に行って、その後分かれて、家に帰った。
今日のお出かけも有意義なものだったなと思い、そのままベッドに寝転んだ。
すると、メールの通知が来た。見ると、「助けて」と書いてあった。今日会ったことを考えたら一つしかない。俺はすぐに、達弘の家へと向かった。
「すみません。達弘さんの友達なんですけど、今家にいますか?」
友達なんて名乗りたくはない。ただ、今の俺にはこういうしかない。
「今は、確か出かけております」
やっぱり家出してるわけがないよな。くそ、生き詰まったか? そう思っていると、スマホにこっそりと位置情報が送られているのに気づいた。これは……行ける。
そしてその方向へと走って向かう。っくそ、無事でいてくれ!!
「……ここか」
そこは山の上だった。ここならあまり見つからないだろうという考えか。だけど、現代社会において、その考えは安直すぎないか?
そして木々の間からこっそりと除く、すると、縄で縛られている未来がいた。
(許せねえ)
そして俺は警察に通報したのち、未来を助けようと、飛び出していった。
「未来を離せええ! 達弘おおお!!」
「は!? お前に何ができる。ヒーロー気取りかよ! 逃げることしかできないようなやつが、どうやったら俺に勝てるというんだ」
「確かに俺は勝てないかもしれないが、でも、未来をこのままいじめさせるわけには行かない!!」
「翔太君!!」
そして俺は殴りかかりに行く。それを手で受け止められ、地面に叩きつけられる。
「勝てるわけがないだろ! ふざけるなよてめえ、せっかくの今からのお楽しみタイムが台無しじゃねえか。どうしてくれるんだ!!」
「ぐう」
そして数発殴られる。痛い。
「ほらほらほらほらああ」
やばい痛すぎる。これで勝とうなんて無理があったのか?
「でも、お前は許せない」
そう言って、俺は無理やり手を前に伸ばす。これが当たってくれたらいいのだが。だが、それはあっさりと避けられ、更なる追撃を受ける。
「いったいなああああああ!!」
俺はそう叫ぶ。だが状況は変わらない。
俺は弱い。筋トレとかでもしておけば良かったと後悔してる。だけど、今俺が負けたらどうなる。未来の未来は最悪だ。少なくとも精神的ストレスを負うことになる。
「だめだ」
漫画みたいな覚醒はない。だけど、
「未来が傷つけられるのはダメだ!」
警察が来れば俺の方なのだ。それまで未来を守り抜けば!
「うおおおおおお!!」
なゆとか、押し潰そうとする彼の力に俺のだせる全力をぶつける。
くそ、警察はまだなのか! まだ来ないのか!
このままだと押し負けてしまう。
間に合え間に合え間に合え間に合え!!!
そんな時、パトカーのサイレンが聞こえた。
「警察!?」
達弘たちはそう叫び、逃走を図る。
「未来」
「……」
「怖かったな」
「うん……ありがとう」
「昼のお返しだよ」
「そっか。ありがとう」
未来を助けられてよかった。本当にそう思った。その安心感と共に未来と一緒に帰った。
達弘は話によるとその後逮捕され、そのまま少年院に送られたらしい。ざまあみろ。
そしてその後しばらく、軽く警察に話を訊かれたりしたが、達弘関係の話はそれで終わった。
未来の尊厳を守ることが出来た。それが嬉しい。今も未来の笑顔を見れることが嬉しい。
俺は今も未来と一緒に笑っていられる。幸せだ。そう思った。
この話はここで終わりとなります。
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