第2話 未来の家
未来の家の前に着いた。そこは、二階建ての家で、小さい庭があり、そこに花が植えられていた。いかにも、彼女らしい家だ。
そして、家に入ると。
「いらっしゃい!」
と、未来の弟らしき人物が出迎えてくれた。
「ただいま」
それに対して未来が返事をする。
「俺はお姉ちゃんに聞いてるんじゃない、この人に聞いてるんだ」
「あら、生意気ね、罰よ」
と言って未来は弟の耳を引っ張り始めた。
「お姉ちゃんのばかー!」
と言って、弟君は軽く泣きはじめ、未来はその耳を離した。
「これに懲りたらもうしないことね」
「はーい」
と、弟君は引き上げていった。
「ごめんねさっそく騒がしくて。あ、靴はそのまま置いてていいよ」
「わかった」
カバンを置き、そのままリビングっぽい場所へと向かう。
「あら、いらっしゃい」
と、未来のお母さんらしき人が俺に話してきた。
「私は斉木美奈、未来のお母さんよ」
「これはどうも、お付き合いさせてもらうことになる、御堂翔太と言います」
「あら、礼儀のいい子」
「ほめてくれてありがとうございます」
こういう時の挨拶の仕方などはわからないが、とりあえずこれでいいだろう。
「私は、未来の父親である斉木敏夫だ。娘のことよろしく頼む」
「もうパパ、まだ早いよ。結婚するわけじゃないし」
「そうだが、やはり挨拶はしっかりとしなくてはな。何しろうちのかわいい愛娘の彼氏なんだ」
「もう、パパってば」
と、二人は抱き合う。仲のいい家族なんだろうな。
「おっと主役を除け者にしては行かんな」
「主役?」
「ああ、俺たちの娘の選んだ子だ。主役に決まっている」
「そうですか」
「ああ、今日は存分に歓迎の準備はできてるぞ」
そしてみんなでワイワイとご飯を食べた。
「ごめんねみんな騒がしくて」
「いや良いよ。シーンとしてた方が嫌だし」
「ならよかった。で、もう少し付き合ってくれる?」
「何を?」
「ちょっともう少し遊びたくて」
と、そう言ってゲームソフトを取り出してきた。
「なるほど、これで勝負ってわけか」
「そうよ」
と、キングカートをし始めた。まあ単なるカートレースゲームだ。
「さてと行きましょうか」
「だな」
と、リモコンをハンドル代わりにしてプレイを開始する。
「行きますよ!」
と、さっそく未来がスタートダッシュを決めて一位に躍り出る。
「なるほど、良い感じだな」
「まあね。私これ得意だからね。翔太君には負けないよ」
「おう、俺も負けねえ」
と、カーブをインコース攻めして順位を一気に上げる。
「おお、やりますね」
と、次の瞬間に未来のカートがカーブを曲がり切れずに崖に当たって減速する。
「あぅ」
「よそ見するからだ」
そして、車のスピードを上げて、一位になる。
「すぐ抜かしますから」
そう言って未来はアイテムボックスを取る、いわゆる一発逆転用のアイテム狙いだ。
「よし!」
と、未来は加速アイテムを取り、即アイテムを使い俺の少し先に行った。
「一位は取られたか。でも負けないから」
と、後ろについて行ってプレッシャーをかける。
「うざいですねえ」
と、次のアイテムボックスを取ったその時だった。
「あうう」
と、道端に会ったとげびしに当たってクラッシュするそのすきにまた一位になった。
「いい感じだな」
「そう粋がっていれるのも今だけだからね」
と、また未来がアイテムボックスを取る。
「やった! 弾丸だ」
と、早速未来はアイテムを使い、カートが銃の弾丸みたいに高速で移動する。
「すぐ抜かしちゃうからね」
「七位には言われたくない」
「そんなこと言っちゃって」
「事実を言っただけだ」
とインコース攻めを何回もして二位との距離を空けていく。
「よし、二位!」
と、未来も諦めてはいないようだ。
「ラスト半周これで決まるな」
「そうだね、でも勝つのは私」
「いや、俺だ」
と、俺たちはデッドヒートを演じる。
「勝ちましたね」
「はあ?」
「私の手持ちアイテムを見て?」
そこには追尾マシーンがあった。
「まさか……」
「そう、ゴール前でこれをぶつけるの」
ゴールまでの距離はあと一コースの三分の一だ。もう後がない。そこで、アイテムボックスを取る。このアイテム次第で勝敗が決まる。
「うおお! しめた! ガードアイテムだ」
と、即アイテムを使い背後を固める。
「しまった」
と言って、未来がアイテムを使うが、
「もう遅い!」
と言ってそのままゴールする。
「先使っていれば良かった」
「ドンマイ」
「まあいいわ、次勝てばいいもの」
そしてもう一戦した。
「はあ疲れた」
「そりゃあそうだろ、もう疲れたわ」
もう時間は九時半だ。何時までいてもいいとは言われたとはいえ、そろそろ帰らないと明日がきつくなる。
「じゃあまた明日」
「うんまた明日」
そしてその場は解散となった。
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