第8話 二流の捕縄
彼が配属された産業調査部は、所謂「黒目のガイジン」の巣窟である投資銀行本部傘下であり、シンクタンクや商品・情報本部傘下の(最低限)中立的な立場とは異なり、外資系に有り勝ちなソリーション(解決策)と呼ばれる手数料の塊にお墨付きを衣与える阿諛追従の販売促進ツールを製造、Q副部長が目指すミドル(ある意味便衣兵)の代表と言える存在である。
山一證券を振り出しに大手証券で親会社銀行の横暴から逃れる筈の目論見が外れ、皮肉なことに追っ掛けられた末にアナリスト志向が人一倍強いのに、惨状を見るに絶えず義侠心から産業調査部長に祭り上げられてしまった不運の見本市のような人であった。
所謂東京の銀行出身で格付・財務分析にしか興味の無い名ばかり管理職副部長兼財務戦略課長と「冷やし中華始めました」的な制度調査を所謂大阪の銀行出身で花形のMOF担(旧大蔵省ウォッチャー)と噂(実際には、旧自治省・現総務省に出向)され、金融セクター・アナリスト兼非管理職のS副部長によるベクトルの異なったトロイカ体制であり、セクター・アナリストが所属する産業調査課と財務分析と格付専門の財務戦略課の一部門である制度調査グループに彼は席を置くことになった。
同僚である二人は、法制度(元法務部)と財務会計(彼が断念した米国公認会計士資格保有者)を担当していたが、専門部署には質量とも太刀打ち出来ず呻吟していた為、コーポレートガバナンス・コード(コーポレート・ガバナンス・システムは座長の忖度により・の位置が異なる)とSDGsに鞍替えし、明るい兆しが見え掛けていた。
慎重居士である彼が、鬱憤を晴らすかのように産業調査部長、両副部長及び内部管理責任者へ「働き方改革」を提言し、着任前の彼にとっての当たり前の行為は、銀行出身の両副部長の心証を大いに悪化させてしまった。
これ以降、メール等を多数引用していますが、誤字脱字以外については基本的に原文のまま転載しています。
社長への提言(虚業より本業)
今回の異動で産業調査部の配属となり、ホールセール専用サイトが閲覧可能となりました。
決して充実した内容と言えませんが、最低限の体裁は整っていると考えます。
不足部分はコーポレートガバナンス(スチュワードシップ)を筆頭にバーゼルⅢ、IFRS(以下、ガバナンス)等の世界的な潮流の中で、帯に短し(日経225)襷に長し(TOPIX)を利用したヘッジファンド等によって鉄火場の様相を呈している状況を脱却するべく日経400が出来た背景が伝わっていないように感じます。
日経400に残るには、前述のガバナンスを整備する必要があり、膨大なコストが必要となりますが、グローバル・マーケットへの入場券になります。
チャンピオン及びチャレンジャー(以降、チャンピオン)は、鎬を削って椅子取りゲームをする一方で、ニッチャーは回避して地元密着(ブロックオファー、立会外分売等)若しくはチャンピオンの軍門に下る(M&A、TOB等)の選択肢が用意されています。
その際に適切な情報、戦略を提案することが、証券会社のレゾンデートルであると考えますが、先憂後楽の思想が抜け落ちて、「初めに収益ありき」になってしまっているように感じます。
致命的なのはリテール部門の状況であり、商品販売以外の情報は皆無に等しいと考えます。
プライベートとパブリック間の壁が必須であることは、勿論ですが機密情報を含まないものまで制限する必要はありません。
原則情報開示で例外を隔離すべきであり、部門間のエッジ効果ほど無駄なコストはありません。
素材は共有化してお客様の志向に合わせることで、可塑性を持たせてプラットフォーム化すべきと考えます。(成果物は各部門の内部管理責任者が広告審査)
リテール部門は証券販売要員でなく、投資銀行部門のレインメーカーを担っていかなければ、ネット証券に淘汰されることは必至です。
お客様が、真に求めているのは本業に資する情報であり、虚業である証券投資に関する情報は二の次に考える意識改革が必要です。
【提言】働き方改革と懸念材料
掲題につき、意見集約されており大変意義深いものと感心しました。
以前の部署では知らない間に提出されており、提言すると煙たがれる悪循環を繰り返していました。
最少努力で最大成果を目指す三大信念は
(1)「エッジ効果」の排除
(2)「パレート最適」の最小化
(3)「6次の隔たり」の最大化
取るべき施策は
(1)フォルダの整理整頓(YYMMDD題名で統一
(2)利用システムのマニュアル化(各専用端末)
(3)ブレイン・ストーミングの励行(3人寄らば文殊の知恵)
更に高度な要望は
(1)重要情報を含まない資料の全面公開(リテール部門は「売らんかな」資料のみで殆ど丸腰)
(2)優績者によるメンター制度(優績者→育成→仕組)
(3)会議では報告(バックミラー)よりも助言(ナビゲーション)
配属後の感想
過去に所属した部署の会議は、一方方向で時間の浪費でしたので、メリハリが効いて良い会議だと思いますが、優績者(と思われる人)は堂々としている反面、大部分(クラス2)は報告に精一杯になっているように感じました。
懸念材料
働き方改革の趣旨は、業務効率による労働生産性を向上させることですが、年俸制である特定専門職及びクラス3でなく、クラス2の残業代削減と長距離移動中のノートPCでの作業等により労働強化に換骨奪胎され、情報管理の観点からも悪影響を及ぼします。
また、部室でも投資銀行本部全体で印刷物の放置は看過出来ず、素人目で見ても期間及び目盛が恣意的であり、引用が不記載等の不備が散見され、著作権管理に重大な疑義を感じています。
まだ、業務について熟知していないので、的を射ない部分はご放念下さい。
私には知らされていなかったが、彼の受け入れを渋る産業調査部であったが、Z部長の後輩であるS副部長との間にQ副部長同様の密約があり、外様である産業調査部長も主流派でなく、役職定年後の転籍を希望する所謂東京の銀行出身である管理職副部長も逆らえなかったのが実情であった。
それだけに提言の意味は大きく産業調査部長は困惑する一方で、戦力外と思っていた彼の見識に触れて驚き、内部管理責任者同席で面談を実施したのだった。
開口一番部長は、「ご指摘は全てご尤もであるが、ご存知の通り産業調査部は投資銀行本部傘下でセルサイドのアナリストであり、商業広告と同様にバイアスが掛かっている」と正直に吐露し、高収入を嫌う所謂「黒目のガイジン」によるアナリスト40歳定年説の受け皿として存在するので、理想論だけでは存続出来ないことを彼に滔々と説明した。
投資銀行本部では、本社部門の定石である副部長が内部管理責任者を兼任するのではなく、コスト削減を意図して権威及び権限が殆どなく、庶務全般を丸投げされた便利屋でしかなく、彼が指摘したような著作権や恣意的な内容を判断することが出来無いので、寝た子を起こすような行為及びS副部長の指示に従って、レポートを作成することを彼に念押しするだけであった。
察しの良い彼は、今まで疑問に感じていた事象が点から線、面を経て、立体になって現れ、一癖も二癖あるが、彼に多大な影響を与えた顧客のことを思い出した。
株式を提案すると、「そんなに儲かるなら金貸したるから、Wさん自分で買い」と言って、彼が言い訳をすると、「身銭を切れないようなもの人様に勧めるな」と一喝し、「銀行員が頭を下げて、愛想良くしている時が一番要注意や、身の丈に合わん金借りて、反対に頭下げんとあかんようになったら、もう手遅れや首括らなあかん」と「銀行員は晴れているうちは傘貸したると愛想良く近付いてきて、雨降ってきたら情け容赦なく、取り上げる」と「銀行の支配下にあるうちは、無理難題を押し付けられる、銀卒(銀行卒業)して初めて大企業の仲間入り」が口癖で、最後には、「明治の銀行家は人に金を貸したが、昭和の銀行屋は不動産に金を貸して、バブル弾けて羹に懲りて、膾を吹くようになってしもうた」と繰り言をしながら、「Wさん、東通工(ソニー)や辻電気(シャープ)を見付けて、お客様を喜ばせなあかんで」と説教し、「けど理想を実現するには、偉くなってもらわんと出来へんから」と結局購入してくれるのだった。
コンサルティング営業という名の元に、手数料自由化でお荷物となった株式営業を本社の専門部署に任せて、只管投資信託と外国債券の乗り換え販売が主体になり、高齢者であった為、会社の締め付けで疎遠になってしまったが、「株式投資の基本は、応援したい会社を見付けることや、証券マンが投資信託や外国債券ばかり勧めていたら終わりや」と「カタカナの魔物(デリバティブ)に株式相場を投資から投機にしてしまい、頭の良い人が騙す伏魔殿にしてしまう」と警鐘していた。
シンクタンクで自分の無知を恥じた彼は、大学院に進学し、当初はデリバティブを専攻していたが、違和感(数学が苦手で落伍)を持ち、コーポレート・ガバナンスを専門として、行き過ぎた株主(Stockholder)資本主義から利害関係者(Stakeholder)を含めた視点が必要であると頭では理解したが、抽象論に終わっていたが、近江商人の「売り手良し、買い手良し、世間良し」の「三方良し」や入会権(Commons)等の古くから日本にある思想に答えがあるように感じていた。
S副部長主催の月次テーマ会議で、情報銀行、インシュアテック(保険分野での技術革新)の選択を求められたが、コーポレートガバナンス・コード個別事例の編集で手付かずになっている「コーポレート・ガバナンス・システム」のレポートを作成すると主張し、渋々認められた。
専門分野でもあり、会社独自の色使いと「て・を・に・は」の使い方等の微調整で完成し、旧知の地方支店法人部と同行訪問するとコードとシステムの(・)の位置や関係性を説明すると、「保険会社は役員賠償保険、信託銀行及びコンサルタントは議決権行使付帯サービスを提案するが、コードよりもサービスを参考にして身の丈に合った努力で大丈夫と安心した」と非常に喜ばれた。
翌月の会議でも引き続き情報銀行とインシュアテックを提示されたが、「以前に仮想通貨も取り上げていますが、昨今の通り惨状であり、技術革新の分野では著作権不要の環境では手足も出ません、更に情報銀行に関しては、プラットフォーマーに対抗できる筈もなく、インシュアテックも同様に一部業界しか関心はありません」と彼は断言し、「マネタイズの定義として、投資銀行本部の案件をアシストすること」とS副部長が反論にも、「制度調査は投資銀行本部だけでなく、ドアノック・ツールを提供し、全社的なレインメーカーの役割を担うべきだ」と半ば強引に「ダイバーシティ2・0」を選択してしまい、同僚二人もS副部長の意に反して、コーポレートガバナンス・コードとSDGsから顧客要請のあった派生した分野を執筆した。
後付け講釈になるが、地方拠点を行脚した感想を尋ねると、東名阪集中で地方切り捨ての弊害を語り、公益法人や事業法人の運用担当者への新規公開株の優先配分は氷山の一角でしかなく、出身行との癒着に所謂「黒目のガイジン」が毒饅頭で楔を打ち込み、メガバンク出先機関として地方金融機関の価値が低下しており、「銀証連携」は既に時代遅れであり、「証銀連携」で貸出債権の流動化を軸にして、グローバル対応コストを考慮すると上場メリットは低下しており、地域に根差した企業も必要であり、苦節十年の集大成にしたいと熱く語っていたことを思い出した。
12月の会議では、S副部長は彼の存在を無視するようにジェロントロジー(老年学)を認める一方で、同僚二人には来年度の税制大綱及び会計基準を取り纏めるよう事細かく指示を出し、彼のレポートは全く無視を決め込み、彼が副部長室(両副部長は同室)を訪ねると「今、食事中は一目瞭然でしょう、後にして下さい」や「軽食だけ取って、そのまま出張なので、また連絡します」と言って二週間以上も放置された挙句、アナリスト恒例の一足早い新年休暇をとってしまった。
社長への提言(虎の威を借りる狐)
公益法人部、事業法人営業部等で銀行との不適切な関係を内部通報しており、実際に金融庁の検査でも指摘され、再発防止策を求められたにも関わらず、同席でなく時間差訪問等悪質な例が継続していると思われます。
会議でも「銀行の方からも一押しして頂いています」等の発言も日常茶飯事であり、「銀行出身の担当常務の威光が衰え、コンサル上がりの役員が公平性を持ち出して」等の言い訳も少なくありません。
実際、ノンバンク発行の外国債券で主幹事を獲得すると会長は、「まさにOneTeamと言えるディール獲得」と称賛し、社長に至っては、「これからも銀行が四の五の言ってくる時には、私に言って下さい」と暗に自分の功績を示唆するメールをホールセール一斉メールで送信しています。
これらは氷山の一角であり、銀行出身者による銀行への利益誘導が当たり前になっているように感じます。
リテールでは財務担当者に、新規公開株を提供する悪弊が見られましたが、大規模に接待漬けにしていたのが、所謂「黒目のガイジン」の遣り口であり、「物量勝負で話にならない」と自嘲気味に話す担当者も残念ながら多数派と思われます。
お客様に冷や汗でなく、我々が地道な努力で汗を流すべく、初心に戻らなければ、我が国経済は停滞から破綻に向かいます。
東名阪偏重を改め、【虚業より本業】で提言した施策を実現して下さい。
残念ながら、彼の思惑とは真逆に進行し、障がい者の雇用を促進する子会社が主催する研修参加を申請すると、「休暇等を利用するのが、ボランティアであり業務中にすることですか」とS副部長の意向を代弁した所謂東京の銀行出身である管理職副部長は難渋し、子会社の活動をレポートに記載すると、「態々レポートに記載する内容ですか」と判を押したような嫌がらせを受け続けた。
逆境の中で完成させたレポートで地方拠点からの同行訪問依頼を申請すると、「東名阪以外は投資銀行本部の管轄外だから、無駄な経費は避けて下さい」と管理職副部長に否認され、東名阪の法人部には、彼を排除する暗黙の了解があることを人伝に聞くと、彼は反骨精神を発揮し、正面突破を試みた。
社長への提言(脱CSR)
10月から産業調査部に配属され、
10月には「コーポレート・ガバナンス・システム」
11月には「ダイバーシティ2・0」の制度調査レポートを作成し、
12月若しくは1月には「ジェロントロジーとSociety5・0」
1月若しくは2月には「DX(デジタルトランスフォーメーション)と働き方改革について制度調査レポートを作成する予定です。
それを通じて実感したことは、健康管理をコストと考える従来の考え方から健康経営は最高の投資であるとの発想の転換が必要となると考えます。
CSR(CorporateSocialResponsibility)「企業の社会的責任」から、Micael Porter教授が提唱しているCSV(CreatingSharedValue)「共通価値の創造」への昇華が必要と考えます。
更に、彼が取り組んでいるブランド・サッカー大会告知のポスター掲示も拒否されるや否や経営企画部CSR室やボランティア参加者やカラオケ大会参加者宛に二通のメールを送信した。
【お礼&お願い】本年はありがとうございました。
皆様
いつもお世話になっております。
本年は我儘にお付き合い頂き、本当にありがとうございました。
12月×日(×)今年最後の×××(障がい者の雇用を促進する子会社)研修に参加してきました。
まだ、参加していない方にはお勧めさせて頂きます。
「弱者に優しい社会は、全員にとっても居心地の良い社会」と確信しています。
また、財務情報よりも非財務情報が注目されることが多くなっています。
ご参考までに、添付「ダイバーシティ2・0行動ガイドライン」をご覧下さい。
しかしながら、綺麗ごとだけでは済まないのが世の習いでございます。
そこで、来年のテーマは「外国人投資家のカジノ化している日本市場を守る」です。
入社当時は、NYダウに対する日経平均の変化率は概ね五割程度でしたが、現状では二倍も珍しくありません。
一部の値嵩株によって操作可能な為、無駄が多いTOPIXと合わせて「帯に短し襷に長し」の状況です。
年末にかけて東証一部企業削減が取り沙汰されていますが、IT(米国では、ドットコム)バブルを思い返して下さい。
高成長が永続的に続くことはなく、現状のGAFA(FANG)の株価は説明出来ません。
キーワードは、日経400(グローバルとローカルの分水嶺)及びPBR一倍割れ(業績等の勘案は当然)と考えます。
データをお持ちの方は、ITバブル前の日経平均構成銘柄及びドル日経の動きを調べてみて下さい。
ご参考までに添付「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」をご覧下さい。
J―SOX、コーポレートガバナンス・コード、フェア・ディスクロージャー等の上場費用が高騰しています。
来年は、TOB、M&A等が大きな潮流となり、その際に一番弱い鎖(腐り掛けのご馳走)が狙われます。
ご参考までに添付「預貸金県別シェア」(金融ジャーナル増刊号2019年版金融マップを手入力)をご覧下さい。
なお、ご利用の際は入力間違いの責任は負えませんので、内部管理責任者に著作権も含めて確認をお願いいたします。
来年は未定ですが、「ジェロントロジーとSociety5・0」を筆頭に「DXと働き方改革」や地方創生、メガETFについて調査予定です。
皆様のお立場でのご利用と拡散(非公開情報はありません)を期待しております。
よろしくお願いいたします。
【依頼】KPMGカップ2019
皆様
いつもお世話になっております。
2月9日(土)及び2月10日(日)富士通スタジアム川崎で掲題の大会が開催されます。
お時間に余裕があれば、当日観戦頂けると有り難いです。
近隣支店に知人・友人がいれば是非転送して下さい。
また、職場若しくは知人・友人のお店等にポスターを掲示頂ければ甚幸です。
実物が必要であれば、お届けさせて頂きます。
※残念ながら、××選手の所属する○○は予選敗退してしまいました。
よろしくお願いいたします。
(これら○や×は単なる伏せ字であり、優劣を表わさず、呼称の重複や文字数に相違がありますが、同一でないことを予めご了承下さい)
これらは蜂の巣を突付いたような騒ぎになり、私(CC対象)にもZ部長、休暇中のS副部長及びホールセール管理部長(所謂「黒目のガイジン」の代理人)からの猛烈な抗議を受けたが、特に最後のメールに関しては、義侠心に溢れる熱血漢による応援とCSR室長の良かれと思った対応が、更に火に油を注ぐ皮肉な結果となってしまった。
RE:【依頼】KPMGカップ2019
○○さん
いつもお世話になります。
川崎支店にポスター張り出しを、呼びかけてくださるとのことありがとうございます!
ポスターの刷り上がりが来年の1月7日(月)になるとのことですが、必要部数を入手しますので、よろしくお願いいたします。
Wさん
いつもありがとうございます。
キッズトレーニングの担当者が不在で、お子さんたちの状況が確認できませんでした。
別の機会にトライいたします。
PS.ブラインド・サッカー協会が2018年度朝日スポーツ賞を受賞、テニスの大坂なおみ選手と並んでの受賞です。
××
RE:RE【依頼】KPMGカップ2019
××室長
Wさんのメールに添付されていたポスターによりますと、当社はパートナーの位置づけになっています。
味の素、全日空よりも上位に名前がおかれていますからそれなりの立場であるという自覚でなければならないと考えます。
これを全店に張るのは、他のパラスポーツへのサポートと何ら変わらないのではないのでしょうか?
どれ程協賛しているのか知りませんが、このポスターを支店に張るのは本来CSR室のお仕事なのでは、と感じられますが、私は間違っていますか?
それから、一応投資銀行本部の○○さんって、ブラサカ関係では押さえとして必要ではないのかと感じているんですけど、今はどんな感じでしょうかね?
まぁ、事情があるらしいのはWさんのボヤキで薄々感じていますが。
さてそれはさておき、実務的には富士通スタジアム川崎近隣で十分かと思いますが、支店で言うと川崎支店 溝ノ口支店 新百合ヶ丘支店 横浜支店 青葉台支店 上大岡支店
厚木支店 戸塚支店 鎌倉支店 位でしょうかね?
××専務から攻めるか、部店企画から攻めるか、はたまた支店長レベルで良いのか悩んでいます。
個別店舗で攻めた時に、何故全店でやらないんだと、誰かが突っ込んでくる恐れはないですか?
そこだけ少し、気にかかる。なんせ店頭って、会社の顔だから。
○○
(それから、前々から気になっているのですが、×××(親会社銀行)に行くと本来当社がサポートしているパラアスリートが緑のウェア着た写真がでかでかと張ってあるんですが、ブラサカには絡んでこないんでしょうか?でも、これはまた後ほどで結構です)
RE:RE:RE【依頼】KPMGカップ2019
念の為、密偵に確認しました。
10店舗ぐらいなら、個別に支店長と総務課長宛て依頼をすれば良いそうです。
但し、その前に広告審査をしなければならないそうです。
これを、誰がやります???
○○
RE:RE:RE:RE【依頼】KPMGカップ2019
○○さん
CSR室として力足らずな部分が多々ある中、ブラサカのご支援ならびに当室へのご指摘ありがとうございます。
現在行っている古本募金活動のポスター張り出しを部店企画に相談した際、支店では余裕スペースがないとのことでしたので、正攻法では難しいと思っておりました。
今回も○○さんの影響力があればと甘えた部分があり、大変申し訳ありません。
CSR室の陣容も限られているため、皆様のお力をお借りできればありがたいです。
(広告審査はこちらでやります)
当部の担当役員、××常務がスタートから関与し問題意識もお持ちなので、ブラサカの盛り上げ方について相談いたします。
取り急ぎのご連絡になりますが、よろしくお願いします。
××
RE:RE:RE:RE:RE【依頼】KPMGカップ
××室長
ありがとうございます。
影響力も使い方を間違えると、無辜の人々を巻き込んで迷惑を掛ける為、最近は自重しています。
サポートしますので、宜しくお願いします!
○○
途中入社で知己が少ない××室長とベテランで人望のある○○さんの微笑ましい遣り取りであるが、投資銀行部社員によるインサイダー取引や優越的地位の濫用を疑われる取引がホールセールだけでも数十件程度指摘されており、リテールまで拡大すると想像を絶する一大スキャンダルの様相を呈しており、業務改善報告書の提出が課されているタイミングが最悪であり、毎年のように異動の繰り返しで、引き継ぎだけで終わるCSR室長の問題点も指摘しており、X専務(更に昇進)の足元にも火の手が迫っており、善後策を相談する為、直接連絡した。
X専務は、決済業務部から産業調査部に異動になった経緯を時間軸に沿って、私の意見を聴取すると、「表面的な理解は同様であるが、最初から茶番であり、彼を排斥する罠以外の何物でも無かった」と正直に告げ、彼にも自重して沈静化を図るべきと助言したが、「正直者が馬鹿を見る会社から、正直者が報われる会社になる最後の機会」と自説を曲げず、得意の短歌を披露したことを語った。
嘘を言えば
その嘘隠す
嘘を生み
疑心暗鬼の
無間地獄に
Z部長を筆頭に所謂大阪の銀行及び所謂「黒目のガイジン」は、一歩も引く気はなく、社内であると共に重要情報を含まなくても、上司の指示及び命令への不服従及び業務時間中の行為であることを問題視しているので、全面的に弁護することは不可能と悟った。
企業情報部の内部告発の時に既に自力ではなく、銀行主導に甘んじるしか方法がなく、彼の暴発を避ける為、私に内偵させたことを詫び、彼を活かす部署を探したが、病巣が深く予想以上に蔓延していた為、軟着陸は悉く失敗に終わり、「泣いて馬謖を斬る」しかない事態を説明し、「辛いと思うが、最後まで胴体着陸を狙い、無理であれば介錯して、操縦桿を奪って緊急避難してくれ」と託されてしまった。
年明けにS副部長との面談では、「Z部長から依頼されたからであり、何の義理もないのに無礼である」と冷やかであり、彼の面談では、「マネタイズしか念頭になく、顧客が二の次になっており、歩み寄りは出来ない」と平行線であったが、妥協を重ねて「ふりだしに戻ること」に漸く漕ぎ着けた。
RE:【依頼】資料確認
Wさん
一読してみましたが、
まず、Society5・0とジェロントロジーの関連性がやや不明瞭な印象を受けました。
ジェロントロジーが学際的なものであると思うのですが、資料では介護領域だけにフォーカスが当たっているように見えます。
また、「ディール獲得」に資する制度調査を行うこと―企業行動を促すような制度等の変更/改正を把握するという観点からも、
例えばどういったビジネスチャンスがあったりするのかや顧客へ伝えたいメッセージ等が不明確に思えます。
例えば、
(1)ジェロントロジーとは何か
そもそも学術的な定義/概要、国内外での研究の状況
(2)政府での取組み状況
骨太の方針、未来投資戦略、Society5・0・・・での位置づけ
各省庁における審議会/研究会での検討状況
具体的な政策への反映状況(あれば)
(3)海外政府/企業の取組み(参考にできるものがあれば)
(4)日本企業におけるビジネスチャンス
(1)~(4)を踏まえ、想定されるビジネスチャンスといったような流れも一案だと思います。
検討のほどよろしくお願いします。
S
所詮は張り子の虎であり、目先の収益を追求する為、制度調査において後塵を拝し、周回遅れとなっている状況及び各省庁の関連情報も参考にしているが、著作権に絡む制約があることも彼は私に説明してくれたが、S副部長の意向を反映させて、体裁及び指摘事項の修正を要請した。
RE:【依頼】資料確認
Wさん
繰り返しになりますが、二点だけコメントです。
(1)「ディール獲得」に資する制度調査を行うこと―企業行動を促すような制度等の変更/改正を把握するという観点になっているでしょうか。
P5~P7で示して頂いているように、介護のみならずあらゆる業界・分野等にわたるものであり、それを支える制度等はどのようになっているのでしょうか。
政府・地公体等はどのように捉えて、制度等の設計等を行っているのでしょうか。
ご存知の通り、例えば金融に於いても、ジェロントロジーの観点も含めて「高齢社会における金融サービスのあり方」について金融審・市場WGで検討が行われています。
個別の事業領域が縦軸だとすると、ジェロントロジーは横軸を刺しつつ、各事業領域に影響を及ぼすようなものでないでしょうか。
(2)次に、資料では介護領域だけにフォーカスが当たっているように見えます。産業調査課の介護関連のレポートや産業トピックスと重複が生じています。(すべてではありませんが)
ジェロントロジーが学際的なものであり、広い領域を包含する概念だと思っているのですが、資料では一つの業界にだけフォーカスされているようにも見え、個人的には違和感を覚えます。
また、顧客宛に説明するにしても、介護領域全般についてのQ&Aに対応可能ということでいいでしょうか。
S
S副部長に指摘されなくても彼は、介護業界のアナリストだけでなく、テクノロジー、医療、エネルギー、土木建設、小売り、不動産の担当にも助言を受けて、個別の業界よりも介護離職による年間6500億円の経済損失を前面に押し出しており、的外れな指摘であったが、最初の面談に虚心坦懐に臨むことを約束した。
RE:【依頼】資料確認
Wさん
お疲れ様です。
本日お伝えした内容を踏まえて、以下の点について整理して下さい。
その上で、じっくりと考えて、インプリケーション、ストーリー付け」したものを再度共有お願いいたします。
(1)ジェロントロジーとは何か
そもそも学術的な定義/概要、国内外での研究の状況
(2)政府での取組み状況
骨太の方針、未来投資戦略、Socoity5・0・・・での位置づけ
各省庁における審議会/研究会での検討状況
具体的な政策反映状況(あれば)
(3)海外政府/企業の取組み(参考にできるものがあれば)
(4)日本企業の動向
(5)インプリケーション
唖然とするしか無かった、何とS副部長が対応せず、所謂東京の銀行出身である副部長によるS副部長の鸚鵡返しだけに過ぎず、彼の主張へのゼロ回答も同然であった。
慌てて二人との面談を試みたが、S副部長は上司への反抗的な態度を頑なに続け、自説に拘る彼の面倒を見ることに我慢の限界を超えたと妥協の余地はなく、定量分析だけで定性分析の知見は無い為、所謂大阪の銀行出身である副部長はこれ以上彼に関わり合うことを拒否した。
両副部長による要求を長々と重複する内容であるが、態々記載させて頂いたが、彼の主張及びレポートでの対応箇所を私なりに、次のように纏めてみた。(→以降が回答)
(1)ジェロントロジーとは何か
そもそも学術的な定義/概要、国内外での研究の状況
→学術的な定義は一義的ではありません。
国内においては、東京大学高齢社会総合研究所(IOG)が先鞭を付け、それ以降は桜美林大学老年学専攻が建設分野で特色があり、医学部及び医療系大学を中心に百花繚乱である。(彼のレポートでは、P7~P10で言及)
怪しげな団体も多数存在し、魑魅魍魎の世界化しています。(彼のレポートでは、言及無し)
金融業界では、日本生命とIOG連合で先行(彼のレポートでは、P3~P6で言及されており、著作権確認済)しましたが、現状では地道な活動で第一生命、大和証券が先行しています。野村証券が危機感を感じて、慶応大学と共同して金融ジェロントロジーで巻き返しを図っている状況となっています。
なお、海外の研究に関しては、米国だけでも300以上の大学で設置されており、彼の主張通り発散してしまうと考えます。
(2)政府での取組み状況
骨太の方針、未来投資戦略、Society5・0・・・での位置づけ
各省庁における審議会/研究会での検討状況
具体的な政策への反映状況(あれば)
→高齢化社会(彼のレポートでは、P11~P15で言及されており、各省庁への著作権確認済)の考察も的確であり、ジェロントロジーは混沌としたまま「人生100年構想」(彼のレポートでは、P16~P18で言及されており、日本液剤新聞主催のセミナー参加後に著作権確認済)で金融ジェロントロジーに脚光が当たりつつある状況です。
Society5・0に関しては、P22~P26で医療・介護中心に取り上げられています。
(3)海外政府/企業の取組み(参考にできるものがあれば)
→海外政府の事例は、P19でオランダとドイツに触れています。
企業に関しては、高齢者白書の事例(著作権確認済)が紹介されています。
(4)日本企業の動向
→(3)と重複していますが、高齢者を意識しない商品開発は、最早存在しない状況です。
三人称の視点から二人称(一人称)に目を転ずる必要があり、一刻も待った無しの状況にあるのが、莫大な経済損失と人材の入出を伴う介護問題です。
典型的なプロスペクト理論(行動経済学)のメンタル・アカウンティング及び認知バイアスの典型例と考えます。
社会的コストとビジネスチャンスの両面から検討が必要ですが、後者のみに偏重しているので、前者への対応が早急に求められています。
(5)インプリケーション
→金融庁、経済産業省、厚生労働省、内閣府及び総務省や関連諸団体に合わせて企業等の先進的な事例を丹念に読み込むだけでなく、担当部署に直接連絡して、追加情報を引き出して、著作権及び内容の確認も実施しており、彼独自に社内外のボランティア人脈の意見に加えて、産業調査課の担当者にも助言を求め、様々なコラボレーションも検討しています。
元々親会社銀行の横暴を嫌って、当社に入社した産業調査部長は、私の見解に同意を示し、「専門家で無いので、彼と二人三脚になるが、有意義で今後避けて通れない分野と感じる」と自ら率先して、サポートしてくれることを約束してくれた。
喜び勇んで、事の成り行きをX専務に報告すると、「今回ばかりは、絶体絶命と諦めかけたが、果断な判断のお蔭で助かった」と労いの言葉を頂いたが、CSR室の存在は、最弱の鎖であり、××常務と検討する必要性を再認識すると共に「大坂の陣」の引鉄になった「方広寺の鐘銘」紛いの何でもありの遣り口に油断禁物であることを話し合った。
束の間の陶酔感は、S副部長による猛抗議で瞬く間に崩壊し、Z部長と産業調査部長と私の三者面談が実施されたが、報告を鵜呑みにして情状酌量の余地なしと紋切り型の回答であった。
彼を切り捨てることで収束を図りたいZ部長と単なる見解の相違であり、薄氷を踏む思いで仕切り直しに漕ぎ着けた私の意見は真っ向から対立し、心情的には私に加勢したいけれど、立場的には所謂大阪の銀行を無視出来ない為、板挟みとなった産業調査部長は絶妙の舵取りを発揮してくれた。
Z部長が問題行動である糾弾対象とした行為は、次の通りである。(→以降が最終的な結論であり、()内は補足説明)
(1)上席(S副部長)の指示に従わず、独断と偏見に基づいた身勝手なレポート作成を強行したこと。
→彼のレポートを私の見解に基づいて説明し、産業調査部長も同意した為、問題なし。
(既に公表済の二件のレポートは同行訪問後もアクセス数、問い合わせが殺到し、対応を管理職もCCに含めて発信していたことが最終的な決め手となった)
(2)業務時間中に私的な外出や外部への情報漏洩が疑われること。
→国立国会図書館や各省庁や関連諸団体を訪問しており、適切に記録がある為、問題なし。
(面談相手とのメールは全て管理職もCCに含めて発信されており、彼の精力的な活動を証明する結果となると共に物議を醸した二件のメールも事前に内部管理責任者に了承済であり、障がい者の雇用を促進する子会社からはレポート記載に対する役社員から謝辞が多数寄せられ、改めて先見の明があったと言わざるを得ない結果となった)
(3)上席の審査を受けず関連部署に意見を求め、投資銀行本部の方針に逆らって、東名阪以外を重視したこと。
→ジャスト・アイデア(所謂「黒目のガイジン」がFYI(ForYourInformation)やリスケ(リスケジュール)等と共に多用専門用語)の段階では、重要情報が含まなければ、何ら問題なく、東名阪偏重の是正は制度調査が担うと産業調査部長も太鼓判を押した。
(極度の銀行依存の為、高度な技術や独自の商品を持つ企業を成長させることを放棄して、安易なIPO(上場が過程若しくは手段でなく、利益実現の目的化)偏重が、負の連鎖となって弱体化を加速しており、直接的なマネタイズ(銀行主導)を図るのではなく、情報提供の一環として関係強化を図り、顧客自身から収益機会を引き出す営業への回帰が急務である)
結局、泰山鳴動して鼠一匹さえ出て来なかったが、転んでも只では起きないZ部長は、騒動自体が問題として、S副部長の面子を立てる為、産業調査部長と私に対し、些細と思われた妥協案を承服させ、老獪な条件闘争の結果、外堀を埋められてしまった。
(1)会社主催のボランティアへの参加を自粛させること。
(2)「ジェロントロジーとSociety5・0」は、S副部長の意向を踏まえて、Society5・0を削除させること。
(3)「DXと働き方改革」は、会社方針への批判に該当する為、働き方改革の執筆は禁止させること。
(4)度々周囲と一悶着を起こすので、産業医面談を再度実施させ、その後に国立研究開発法人国立精神・神経医医療研究センター病院で検査を受診させること。
(5)人事評価は、産業調査部では扱わずに人事部対応とすること。
三者会談の結論をX専務に報告すると、(1)~(3)は業務に直接関連するので、産業調査部長に一任し、(4)及び(5)を私が調整することになったが、X専務による、「頭の良い(smartでなく、cleverに近い意味)銀行なので、慎重に対処してくれ」の一言で、安易に引き受けてしまったことに初めて気が付いた。
実際に、産業調査部長は一週間程度で、ジェロントロジーの全体像を把握(自分の担当セクター業務及び管理職面談も同時並行の強行軍)して、彼のプレゼンテーションを実施後、微調整だけでリリースを許可した。
彼は、東名阪の事業法人部に所属する知己に同行訪問の依頼をしたが、銀行や投資銀行との関係を慮って、捗々しい返事が聞けないので、方針変換をして全国の支店法人部長にレポートの保管場所と解説書を作成して、送付した。
想定を超える反響で、同行訪問の依頼及び質問が殺到したので、産業調査部長に相談すると、「これ以上の摩擦を避ける為、同行訪問は一律お断りして、丁寧に質問に回答する方針にして下さい」との指示を受け、FAQを編集し、次のレポートに着手した。
産業医の面談は、当初より難航しており、彼への連絡以前に硬骨漢である産業医が、「従業員を陥れる片棒を担ぐブラック産業医にはなりたくない」と頑なに拒否しただけでなく、実務的にも産業医は、業務に関する客観的事実に基づく「事例性」を診断し、「疾病性」は主治医の領域となる。
袋小路に迷い込んだ私は、Z部長との合意を正直に彼に打ち明け、彼自身が産業医の面談を予約し、専門医による検査を実施するように手配すると、産業医から「本人(彼)の依頼なので、受けざるを得ないが、一人の人間を不幸にすることだけは、肝に銘じて下さい」と猛抗議を受け、「彼の為」は建前であり、「私の為」に唯々諾々と遂行していたことを思い知らされ、鈍器で殴られたような衝撃を感じた。
友情と
打算の秤
揺れ動く
人の為とは
文字通り偽
紹介された主治医の問診後、自由連想法とロールシャッハ及び知能テストの結果、産業医から提出された短期間の人事異動を尋ねられ、自説に固執した為、主治医の心証を悪くし、Z部長の思惑通り「適応障害」の診断結果が人事部宛に届いていた。
その結果を彼は、意に介することなく、私にも億尾にも出さず、淡々とDXレポート作成の為、国立国会図書館、各省庁と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)と内容及び著作権を確認し、産業調査部長と二人三脚で仕上げ、リリースに漕ぎ着けた。
ベンダー依存の現状をユーザー主導に移行させる問題意識が反響を呼び、敵対視されていた投資銀行本部からも同行依頼が殺到し、喜び勇んで彼は、産業調査部長に面談を求めたが、沈鬱な表情で、「今すぐ、Y副部長(私)と面談して下さい」と搾り出すのがやっとであった。
私の方も人事部長から呼び出され、診断結果に基づき、彼を即刻人事部付で人材育成部へ出向させる通達を手渡され、「私情を交えず、淡々と伝えて下さい」と有無を言わせず指示を受け、同時に密命を受けた。
来訪を不安に慄きながら、過去にあった彼との遣り取りを反芻し、名古屋支店での成功の秘訣を尋ねると、「山一證券が自主廃業した際、店頭に行列が出来ており、同期達が逃げるように外訪していたので、事務を覚える序に手伝っていたら、(店頭課長が)特別に目を掛けてくれた」だけと語り、
面白き
世の中更に
面白く
一期一会の
真剣勝負
とお道化ていたこと、上司との衝突で当時週刊誌に「お仕置き部屋」と揶揄されていた首都圏営業部(栄光の首都圏法人部とは全く別物)に所属していた時には、さぞ腐っているだろうと予想していたが、意に反して明るいので驚いていると、
憂きことの
なお多き世を
耐え忍ぶ
笑う門には
笑顔の連鎖
と真剣に話し、環境(彼の言う制約条件)に左右されずに打ち沈んだ雰囲気を明るくして、希望していたシンクタンクへの異動に結び付けたこと等を回想していると彼の来訪を告げられた。
「胴体着陸は無理でも、介錯してくれ」とX専務に依願されていたにも関わらず、彼を罪人に貶めてしまったことを詫びると、「誰のせいでもない、自分の蒔いた種だ」と落ち着き払っていたので、産業調査部でも最低の評価が二期続いた為、次回の人事改訂でクラス2に降格すること、配属先の人材育成部では、支店長出身の支援グループと若手社員の企画グループとは別に専任である二人の高齢者と機材等の搬入、調整に特化した施設グループに所属し、フォルダのアクセス権及び印刷も出来ないことを説明した。
彼は同期の中で一番出世し、当時の課長職(現在のクラス3)に昇進し、その後恵まれずグレード1のまま据え置かれ、同期の進級を尻目(因みに私は部長待遇のグレード4)に、その無念は計り知れない、特に親会社銀行の人事制度で課長代理待遇(呼称)に降格された折には、「人事はひとごと他人事」と嘯きつつも心中穏やかで無かった筈である。
打ち解けた雰囲気となり、人事部長からの密命である次回人事改訂以前の依願退職若しくは同僚である高齢者二人を内偵(問題があれば懲罰を伴う)しつつ早期退職を促すことに協力すれば、降格人事を撤回する打診であった。
聞いた途端に彼は、それまでの柔和な表情を一変させ、「腐ってもカンダタ(芥川龍之介の小説「蜘蛛の糸」の主人公)みたいな真似はするつもりもない、ましてや人を不幸にする悪事に加担はしない」と一喝すると、
身はたとい
窓辺の人と
朽ちぬとも
留め置かまし
笑顔と感謝
と議論を打ち切り、公益法人部の立ち上げで多少の交流があった人事部長へそのまま伝えるように求めた。
報告すると、以前からX専務と私の動きを忌々しく思っていたようで、「どこまでも小癪な奴だ、X専務の温情に対して、好き勝手しやがって」と吐き捨て、「奈落の底に落として後悔しても俺は知らん」と荒々しく席を立った。
重苦しい気持ちを抱えて、X専務にも報告をすると、「辛い役目をさせて申し訳ない、(Wらしくて)却って清々しい」と発言し、最年少の彼に対し、反発する先輩達は「兄」の語源通り、口の人として攻撃したが、X専務だけは「親」として鋭利な薪の如く、彼を見守っていることを思い返し、羨ましくさえ感じた。
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