第6話 二条の紐帯

彼の配属された法人業務部は、山一證券自主廃業後に当社が辿った「失われた二十年」の象徴的な部署であり、法人顧客の口座開設は業務担当副部長率いる口座開設グループの業務であり、約定連絡は清算担当副部長率いるエリア若しくは業種別の約定連絡グループの業務といった具合に細分化されており、白と黒が曖昧な業務に関しては担当者同士の押し付け合いが始まる。


基本的には年功序列(社歴ではなく、あくまでも部歴若しくは担当業務歴)であるが、新業務に発展しそうな所謂面倒臭い業務になると担当副部長同士による話し合いとなるのだが、提携解消外資系証券からの出戻りである清算担当の男性副部長が叩き上げで法人業務部の歴史を体現する業務担当の女性副部長に敵う筈もない。


仮に紛糾して部長の裁定を仰ぐとしても当社の部長は家臣団を持たない外様大名である為、実際の業務を牛耳る所謂お局様の機嫌を損ねてしまうと失脚する「神輿は軽くてパーが良い」でなければ勤まらず、「悪貨が良貨を駆逐する」を体現している為、約定担当業務が必然的に急拡大してしまっているが、人員の増加は望めない状況に置かれており、残業時間も格差も同様に急拡大しまっているので、傘下の担当者(残業代が発生しないクラス3)の不満が溜まっていた。


清算担当業務は口座開設以外の法人顧客への事務手続き全般だけでなく、金庫株や従業員及び取引先持株会に関する業務(プライベートなので、隣室で情報遮断)とシンクタンクで彼も改良に関与した債券管理システムの顧客担当窓口を担当しているだけでなく、何故かリテール向け信用取引の担保計算の社員担当窓口まで押し付けられている。


ヤクザは新しいシノギを探すのが親分の貫目であるが、当社では新しいシノギを如何に拒否するかが問われるのであり、業務担当は口座開設以外には債券、株式の受渡日管理(それぞれお局様のワンオペ状態であり、休暇中の補助以外は秘中の秘)なのであるが、例外的にCSA(CreditSupportAnnex)と呼ばれる店頭デリバティブ担保管理業務が存在し、当社独自の証券会社を「業者」それ以外の金融法人を「顧客」と分類し、前者は決済業務部が担当するが、手間ばかり掛かる後者を押し付けられた(本社部門の最終処理場が法人業務)のだった。


どの業務を担当するかの判断は、業務担当副部長の信頼が厚いOに委ねられ、彼は業務全般の説明を受けることになった。


東京駅の真正面という全国屈指の地価を誇るフロアを占拠する法人業務部の存在に強烈な違和感を覚え、書類不備で返送される等で顧客の不興を買う現状を各拠点若しくは各部署のアシスタントに業務移管しないのか理解出来なかった。


彼と私と大学卒業は同期であるが、Oは就職冬の時代を避けて放浪の旅を続け、その延長で米国の金融機関に就職し、数年前に日本に戻り、外資系証券会社を経て、当社の決済業務部、分離後に法人業務部に転籍したミドル・バック業務に精通しており、大いに啓発された。


彼は率直に業務分担が細切れで複雑になっており、当社名物の盥回しの原因ではないかとOに尋ねると「肝となる特殊業務は容易に口外しないのは何処でも一緒だが、汎用業務は出来る限り省力化して自分が不在でも回り続ける組織を作るのが一般的には優秀とされるが、当社の場合は営業と比較すると本社は天国である為、汎用業務でさえ自分が不在だと回らない組織を作り、本社に自分の居場所を確保すること自体が目的になってしまっている」と解説した。


彼が続けてフォルダの乱雑さとマニュアルの未整備を指摘すると「旧態依然の紙媒体を中心とした業務が踏襲されているので、デジタル・デバイドが加速している」と回答したので、具体的な対策を尋ねると「三猿、見ざる、聞かざる、言わざる」とアメリカンジョークのように微笑んだ。


彼は得意の「裸の王様」と「王様の耳はロバの耳」の理論で翻意を促したが「例えば南国等の裸である理由がある場合、王様自身が傀儡であり強制されている場合、そして間違っているのは自分自身の視力の場合も考えられる」と機械的な説明を受けて、想像より遥かに深い闇を感じた。


一通りの業務説明を受け、彼はCSA業務


を担当することになり、具体的な業務はPから手解きを受けることになった。


CSA業務は、系列信託銀行に出向した前任者とPの丸抱えで前述の決済業務部から業務移管され、前任者の異動に伴って人員を補充したが、英語及びPとの相性がネックとなり、定着せずにOが補助する形態を取っていたが、二人も反目し合って支障を来している有様であった。


双方の言い分を確認すると、エクセルで作成されたツールが使い回しであり、Pも内容を理解しておらず、検証を主張するOと次期システム開発で精査されるので、重複しているから不要との立場の衝突であったので、システム開発にOも参画することと会議資料を担当者全員に共有することで落ち着いた。


「僕の日本語って変ですか」とPが唐突に尋ねたので、彼は「俺も関西出身やけど、東北か九州か」と返答すると「東北と九州に失礼ですよ、僕は小学校まで中国と言うと中国地方と誤解されるので、正確に言うと中華人民共和国出身です、就職する時に不利になるので、家族で一人だけ帰化しました」と打ち明けたので、「俺も空気読めないので、お互いに我慢せんと思ったことを言い合おう」と応じると「自慢話が多く、イラッとする時があります」との思わぬ反撃に驚きつつも、「俺の歴史略して、汚歴史(おれきし)厳禁」と応じた。


普段は静寂に包まれた職場に金融法人部の副部長が、「生命保険からCSA業務のクレームが来ているPを出せ」と怒鳴り込んで来たので、彼が内容を確認すると数週間前に顧客からメールアドレスの追加依頼を受けて書類を送付すると言ったきりで、梨の礫であると抗議を受けたので、Pに問い合わせたところ「CSA業務のメールアドレスの追加は直接メールで依頼して下さい」とだけ返信があったので、怒り心頭で来たようだ。


結局、顧客に直接電話をしてみると何のことはない投資銀行部の担当者が収益しか興味が無い為、追加変更用紙を郵送しただけで放置しており、金融法人部は引き継ぎも受けていない上、CSA業務を全く理解していない為、書類上の処理を実施したが、反映されていないと顧客からの問い合わせに気が動転してしまい大声で恫喝すれば何とかなる当社の流儀を忠実に履行しただけだった。


身内の恥を晒す必要もなく、この機会に先方のCSA業務フローを顧客に確認すると専門部署ではなく、複数部署をリレー形式で最終的に返信していることが判明したので、窓口を宛先として関連部署をCCに追加することを提案すると翌日には送付先リスト添付メールが送付され、業務効率及び回答が大幅に改善すると感謝された。


早速、他の顧客にも同様の連絡をするとCSA業務の周知不足と金融法人部のダブル・カバレッジによる機能不全が根底にあり、窓口だけでなく、市場部門と管理部門をCCに追加する利便性は受け入れられ、返信期限一杯まで掛かっていた業務が、非常事態が無ければ午前中で終了するようになった。


その後の数か月は頗る順調であり、英語及びミドル・バック業務に長ずるOとCSA業務の専門書を精読し、法律にも強いPと営業経験を生かした巧みな話術の彼が三位一体で日常業務を熟していると英語及びPとの相性がネックとなり、異なる業務を希望していた一人も挑戦したいと名乗り出て四人体制となり、Oと彼はフォルダ整備に取り組む余裕さえ出来た。


Pの悪い癖の筆頭は、顧客とのメールに管理職やメンバーを意図的にCCに入れないことがあることで、理由は「候文若しくは古典英語」とOに指摘されることを嫌っていることだけではなく、「決済業務部の契約管理副部長とのメールは業務外だ」と主張していたが、彼は周辺業務も含めてCC追加を必須とすることは、Pのリスクを軽減することになると説得し、合意して一応解決した。


それ以外は声が大きい、(彼も該当)袖机を万里の長城みたいに要塞化、麻婆豆腐やインドカレー等の周囲に臭いが漂う飲食物を自席で食べる、電話やメールで女性を誘うといったパワーハラスメントの6類型⑥個の侵害に抵触する恐れもあるので介入が難しいものばかりであった。


私からOに彼の近況を確認し、引き続き依頼をしたところ「この会社の人は本当に相互監視させることが好きですね、基本的には面従腹背の姿勢で捨て置けば良いと達観していますが、ご自身の立場と彼との関係を考慮するのであれば、正々堂々と三者面談の機会を設定して頂くことをお勧めします」と正論を述べられると赤面の至りであったが、有り難く取り入れることにして、Oに関する人事情報も頭に入れ、上司である部長及び業務担当副部長へ了承の依頼をした。


三者面談という変則的な方法を訝る節もあったが、何時でも大丈夫との回答を得て、Oに対する唯一の誠意を表す手段として最短での実施に漕ぎ着けた。


形式的な自己紹介も彼と私には不要であったが、Oにとっては私に対する品定めだけでなく、彼の齎す情報が信頼に足るものであるのか否かを判断する重要な機会であり、鬼気迫る真剣勝負のような質疑応答の末、最低限の信用供与を得られたと自負している。


文中で時折、挿入されている短歌は、彼がOと対話している時に即興で創作し、琴線に触れて彼が自ら暗唱したものである。


Oは大学卒業年次が彼と私と同期であったが、超氷河期の就職活動に早々と見切りを付け、二年間に亘って世界中を放浪していたようで、理由は「お揃いみたいな紺色のリクルート・スーツに身を包んで、紋切り型の想定問答集を丸暗記し、年功序列の枠内での出世競争を想像すると就職ではなく、就社なのだと感じて、何もかもが馬鹿らしくなった」からで、辿り着いたのがウォール・ストリートだったようだが、履歴書以上の情報は得られなかった。


帰国を意識し始めたのは、ニューヨーク同時多発テロで、憎悪と暴力の連鎖に辟易し、駄目押しはリーマン・ショックで、貪欲と拝金の饗宴から兎にも角にも距離を置きたかったそうだ。


幸福に


なる為にある


貨幣さえ


目的化して


不幸の元に


前職の外資系証券会社では、少子高齢化問題に伴う地方経済の疲弊、若年層及び高齢者の貧困化をファンド、証券化、学生ローンの企業肩代わりやリバース・モーゲージ等を組成するように精力的に活動したが結果は芳しいものではなかった。


自らの


知識で利益


貪らず


社会問題


解決すべき


猫も杓子も仕組債フィーバーで十分潤っていたので、聞く耳を持たないのも致し方なかったのだが、最大の問題は販売対象であり、サブプライムローンは基本的に玄人であったが、仕組債は銀行紹介による素人に商品内容の理解が不十分なだけでなく、原則的に手数料等の明示化に逆行し、時価開示もされず、デリバティブの不招性勧誘にも該当しない蝙蝠のような存在にある。


ファイナンス


理解しろとは


言わないが


せめてドレミは


覚えて欲しい


失望したOは、商品組成業務ではなく、ミドル・バック業務を希望して、当社に転職したのだったが、皮肉なことに最大の障壁であったQが、外資系に甘い汁を吸われ続けている現状から内製化に転じることを見越して、一足先に決済業務部にデリバティブ担当の副部長として君臨していることであった。


自分自身のことを「良心的兵役拒否者」と卑下していたが、営業を拒否している彼と私こそ該当しているが、マンハッタン計画に関与しなかったアインシュタインの立場ではないかと感じたのだが、あくまでも事の大小ではなく、単に行為者と開発者の相違についての観点からである。


元々Qは、フロントとして仕組債を販売していたが、世界的な超低金利によって金利系と基軸通貨間の為替での組成が厳しくなるに従って、トルコリラ、ブラジルレアル、南アフリカランド等の開発途上国通貨を対象に拡大していったのだが、世界情勢を考慮することなく、「初めに金利ありき」で対象を選択しており、噂の域を超えないが、旧知の為替ディーラーと結託して利鞘を獲得する目論見でいたが、軒並み損失を抱えていたことに加えて、更に対象を拡大した日経平均連動債では、意図的にファースト・リテーリングやソフトバンク等の値嵩株によって不自然な価格形成が問題化されると逃げるように転職して知見の無いミドル・バック業務の担当として素知らぬ顔を決め込んでいるのである。


残念ながらこのような人材、所謂「黒目のガイジン」と呼ばれる金融行政の後進性による会計、税務、法律等の抜け穴に着目するかエージェンシー問題を悪用して担当者へ袖の下を通して、組織から見返りを得て、巨額な報酬を得る渡り鳥は氷山の一角であり、規制強化によって先細りとなっており、Qに至っては小物である。


投資銀行本部には、外資系証券会社で荒稼ぎしていた昔の名前で出ています状態で当社に潜り込み特定専門社員と言う名の高給取りとして、ファイナンス音痴な親会社及び当社の経営陣に対して魔法の杖を持っているかの如く喧伝し、費用の付け替え及びリスクとマーケットによる実質を無視した粉飾された利益によって石持て追われた民族が最後に辿り着いた楽園の如く、一般社員とは桁違いのボーナスを獲得に邁進しているのが現状である。


母屋では


お粥啜って


離れでは


松坂牛の


すき焼き屠る


節操の無いホールセール部門の拡大は、甘い汁を貪る越後屋である投資銀行本部(外資系の独壇場を銀行が虎視眈々と後釜を狙う)と御用聞き三河屋である事業法人本部(プロパー社員から銀行出身者が増加)の二階建て構造となり、その分だけ費用が重複し、「船頭多くして、船山に登る」の状態である。


非収益業務を費用分担せずに外注化することで人間関係を蝕んでおり、前述の三巨頭による縄張り意識により、人事制度が硬直化している為、委託先では旧態依然の業務運営による非効率が温存され続ける悪循環に陥っている。


焼く前に


揉めて


小さくするよりも


大きく育て


みんな満足


内部での軋轢よりも深刻なのが、顧客からのクレームを全社的に対応するのでなく、小火で済む問題も責任回避によって対応が後手後手となり、炎上させてトラブルに発展する事象さえ頻発している。


お家芸


正直者が


馬鹿を見る


盥回しと


奈良の早起き


残念ながら、日本の証券業界は銀行系を含めた五社による寡占(グローバル・オファリング等には外資系も参画)状態であり、発行体と投資家の代理人が同一である利益相反が生じているので、投資家保護の法律が整備されているグローバル・オファー以外は発行体の意向が重視され、永年に亘る個人投資家への皺寄せが市場に対する不信感となり、目先の利鞘狙いのデイトレーダー以外が参入しない(既存の証券会社は、投資信託若しくは仕組債の販売のみに邁進している)健全な市場とは程遠く海外勢による相場操縦とさえ言える遣り口に蹂躙され続けている次第である。


結局は


声の大きい


法人の


要求飲んで


個人泣かせる


彼とOは、経路こそ大きく異なるが、根本的な部分では共鳴し合っていたからこそ、お互いに専門分野の知識を補い議論を進めていくことが出来たのであり、プロテスタント系の大学で学んだ彼が私に説明した「科学(Science)と技術(Art)と哲学(Philosophy)が重なる部分を拡大する必要があり、それらで説明出来ない部分が神の領域と学んだが納得出来ない」の回答であり、神の領域に該当する概念こそ、彼とOが導き出した「りょうしん」(良心並びに両親)であり、最終的には自分自身の強い意志と望まれて生まれた子ども(WantedChild)である自信こそが踏み止まる力となり、性善説及び性悪説ではなく、環境によって善にも悪にも染まり、何時の時点でも再挑戦が可能である性白説が真実に近いという結論であった。


その点、当社のコンプライアンス偏重を是正し、ガバナンス構築が必要であるとする彼の持論に合致し、コンプライアンスのテストを部署単位で不正が横行する実態は看過出来ない蟻の一穴と考えている。


お客様


より上司様


一昔


今では万事


銀行次第


彼と私は、当社の実質的な破綻を二回経験しており、リテール営業の悲哀若しくは辛酸を味わい尽くしているので、会社に対する不信感は強いが、共通することは真面目なセールスと親切なお客様が損をする典型的な「正直者が報われない」構造となっている矛盾である。


命の次に大切なお金に関する相談を家族と相談することもなく、短期間で転勤する短距離型セールスに委ねることが最大の問題と考えるが、反論として顧客との癒着を回避する目的であるとされているが、担当者とは別にローマ帝国における護民官若しくは江戸時代における大目付のように運用には関与せず地元に密着した第三者を配置すれば良いと考える。


あら不思議


会社方針


従えば


構造的な


利益相反


ホールセール部門とリテール部門の対立があり、ホールセール本部内にも対立があり、ホールセール本部の強引な費用付け替えによるミドル・バック部門との対立に加えて、今後は銀行受向者とプロパー社員だけでなく、グループ子会社証券出身者の対立が顕在化すると思われる。


当社に限らず世代間の対立も先鋭化している上、相変わらず相互監視体制(集団ストーカー)によって、疑心暗鬼を煽っているとの指摘は、一瞬背筋が寒くなったが、皮肉でなく一般論であったので同意せざるを得なかった。


信なくば


立たぬ組織を


無理矢理に


相互監視で


不満の連鎖


日米両国で理想と現実の乖離に幻滅したOが、彼と急速に接近したのは、学生時代に経験した阪神大震災及び社会人として東日本大震災にボランティアとして参加していることであり、幼児がいる為、家族参加型に限定されていても荒川グリーンエイドやブラインド・サッカーの観戦等で実際に彼を見掛けることで、口舌の徒でないことを理解しているからだ。


人の為


漢字で書くと


偽になる


偽善でも良い


善に向かえば


彼がボランティアに熱心なことは、高尾の森づくりや三鷹国際フェスティバル等に誘われたこともあるので以前から認識していた。


グループのプロボノや被災地ボランティアが銀行主導の仕事の延長で、銀行とそれ以外で待遇が異なり疎外感を受けたことやブラインド・サッカーも外資系は経営陣も率先して参加しているのに、当社は無料観戦券でさえ持て余すことに対しては辛辣であったが、過去に当時の会長による強引な女子サッカーを支援していたが、証券不祥事による全面撤退という苦い思い出があるからだった。


金出して


それで終わりは


もうやめて


貢献でなく


広告ですか


あっという間に時間が過ぎ、少しでも触れたかったPについては全く言及の無いままで終わりに近づき、私が「今後ともご協力お願いします」と伝えるとOは「それはご遠慮します、第一の理由は、残念ながら自分には愛社精神は皆無であり、第二の理由は、個人の信念に基づいて行動しているだけで、誰かに助力を求めていないこと、第三の理由は、昔から泣く子と地頭には勝てないと言うが、一般的に強者の象徴である地頭(監督官庁)には恭順を示す反面、弱者の象徴である泣く子(顧客及び社員)には弾圧で臨むことが予想され、(彼は)自分ことを坂本龍馬若しくは高杉晋作と勘違いしている吉田松陰のように感じており、葬り去られると確信しているからです」と突き放され、的を射た比喩である為、茫然自失となったが、Oらしい愛着が感じられて不愉快な印象は全く無かった。


思い止まれと言っても無駄であり、同調して煽ることは無責任であり、それ以外に対処方法はあり得ず、(Oは)銀行協働の名を借りた優越的地位の濫用は、抜き差しならない段階であり地頭も黙っていないと認識しているようだ。


「最後に(彼への)助言として、業務担当副部長からPを監視するように指示があると思うが、面従腹背でも了承したと回答すべきです」と私が伝えたかったことを代弁してくれたが、残念ながら(Oも私も)間違いなく暴発することを予想していた。


それと同時に私にとって重苦しい義務をOが果たしてくれた安堵感と法人業務部及び決済業務部の部長及び副部長に機微情報である旨を説明したにも拘らず一週間足らずでOに耳打ちされている当社の情報管理の甘さに暗澹たる気持ちが混じった。


抑々の発端は、彼からのCSA業務運営に関する業務担当副部長は英語が不得手を理由にPに丸投げしている状態や契約書の管理が法務部でなく、決済業務部に内包されており本来は不可である筈の日本語での締結されている例外に関する経緯が文書化されていない点等を指摘したメールである。


X常務の意向を受けて現状把握している途上であり、部署を跨ぐ業務再編若しくは業務移管に関わる案件なので、厳格な情報管理が要求されるべきであるが、既にOにはかなり詳細に開示されている。彼とOとの面談を終了して、もう一つの義務を果たす為、再度書類に目を通してPとの面談で確認すべき点を整理した。


業務担当副部長は、CSA業務を元通り決済業務部に業務移管することを熱望して、同時に厄介払いとしてPと「女性の敵は女性」と言われるように、本来であれば家庭の事情を考慮すべき両親の介護をしている先輩に当たる女性を持て余しているのだが、流石に双方共に了承しないであろうから、今後は育児休暇の取得が想定される新婚女性を標的にしている。


Pは、CSA業務運営について業務担当副部長から一任されており、時間の無駄であるから殆ど報告もしておらず、問題が生じた場合は金融法人部と直接交渉するが力関係で押し切られてしまうので基本的には受け入れ、記録等は残しておらず、契約関係は決済業務部の契約担当副部長の指示を仰いでおり、記録等は残しておらず、日本語での契約締結は問題であると認識しているが、上の方で決定したことなので、仕方が無いと諦めている。


このような殆どワンオペ状態であることを恥じるよりも、反対に誇らしく感じていることに違和感を覚えながらも、営業現場は「売るもん売って買うもん買え」流の意味のない突撃命令が繰り返され、本社部門は「あなたに一任します」の無責任な丸投げで問題が発生すれば、部下を盾に責任回避に必死になる姿を見て、停滞感が増幅していることを実感せざるを得なかった。


屈託も遠慮もなくPは、「CSA業務を専門的に勉強して、将来的には外資系に転職することを希望している」と宣言したことには苦笑するしかなかったが、この時点では、Pに業務移管を検討している事を気取られていけないので、彼と一緒に業務するようになって、何か変化があったか尋ねると「業務も英語も私が教えているのですが、何故だか仕事が楽になりました」と言って、前任者は引き継ぎをPではなく、CSA業務を一度拒否した女性に託しており、過去ファイルもPは保有しておらず、Oの加入は排除されるものと疑心暗鬼になっていたが、彼の存在は、お互いに依怙地になっていた関係も解消され、共有フォルダに保存され、女性社会特有の意地悪が緩和されたと感じている。


過去の人事評価によれば、Pはコミュニケーション能力が著しく劣り、前部署を馘首にされたことになっているが、本人曰く父親は中国に出張が多く、病身の母親は日本語が不自由である為、時短勤務を希望したら、聴取の機会もなく人事部付となったことで根強い不信感を持っており、彼に相談した結果、「一度受理された人事は覆すことは出来ないので、現在の職場で挽回しよう」と諭し、社会全体が少子高齢化により、若者に皺寄せが生じている状態を「昔は一人の高齢者をお神輿で担いでいたが、現状は騎馬戦になって、今後は肩車になっていく」と説明すると「一人っ子政策で中国の方が深刻です」と笑って答えた。


その後、Pは彼に心を開き、所属部署の若手社員との飲み会やカラオケに誘う機会が増え、待遇等に不満を持つ友人の相談を受けた際には、折に触れて彼に相談していたが、共通することは、所謂美味しい立場なので、生き残ることに執着してライバルである後輩の芽を摘む組織となり、旧態依然で紙ベースの業務を改善したいという不満であったので、彼は思いやりに欠ける当社の現状を「先輩と連名でボトルキープすると最後の一杯だけを残す人が出世している」と表現し、彼の母親が入社時に当社株を購入し、証券不祥事にも負けず買い増していた株式を無理矢理売却させ、最後は三洋電気で大損させた大阪支店の後輩(私も同時期に机を並べていた)こと等を語り、お客様に対して家族同様の慎重さを持って行動するプルーデントマン・ルールの必要性を説き、業務改善に関しても、Oと協力して少しずつ実現していった。


上司のパワーハラスメントを社員組合に連絡をして地方支店に異動したPの同期と三鷹国際交流フェスティバルに門前仲町から自転車に乗って二人で参加し、本社の非効率を業務改善の提言をして地方支店に異動したPの同期も一緒にFITチャリティーランに参加したのだが、両者共に身体を動かすことで満足したのか、結局自分自身で答えを出して挨拶だけで帰った(彼の強面が要因)が、公私に亘り良好な関係を築いている。


私も自分のことのように嬉しく思う反面、


Oの最後の助言を彼が受け入れることは皆無であり、さらにメールの内容を弾劾するであろうと考えるとX常務の信頼と彼との柵による板挟みにならないように困難な二次方程式の解を求めなければいけないが、もう一度だけ彼と勤続二十周年の同期会でお互いに腹を割って話し合うことにした。(二葉の写真)


 残念ながら意気込みばかりが先行して、切り出すことも出来ずに閉会となり、彼を中心に二次会へ移行する雰囲気を「宴席での不祥事が頻発しているので、二次会は禁止」と私は水を差すことを承知で異を唱えた。


 集合写真に引き続き、同期の怨嗟の視線を一身に背負って、散会(転職組と出戻り組は二次会を強行)し、彼と私は気詰まりな二次会を開催した。


 彼は機先を制するように「YにもX常務にも心配を掛けて申し訳ないが、個人的な条件闘争の心算は無い」と断って、「この為体になった責任は誰や」と尋ねた。


 元親会社である外資系銀行による救済の立役者であり、「営業特金」の推進者且つ広域暴力団との癒着を副社長に追い被せて、「知らぬ、存ぜぬ」で栄華を極め、粉飾決算による引責辞任した元社長の名前を挙げると、「違う」と答えた。


天皇と呼ばれ「手数料至上主義」で最大手との熾烈な戦争を仕掛け、顧客基盤を棄損させた元社長の名前を挙げると、「違う」と答えた。


 業界の地位向上に貢献したと尊敬されているが、その裏で(個人で)保有する薬品株を(会社に)「推奨銘柄」にする一方で売り逃げた創業者の名前を挙げると「キリストを売ったユダだけでなく、キリストを知らないと言ったペテロも全員が一蓮托生なんや」と答えた。


 入社前も含めて、問題が山積していたことは受け入れられるが、「連帯責任は無責任」では、建設的な議論が出来ないので、外資系子会社以降に絞って、犯人探しでなく何が問題であったかを彼に尋ねると一番の問題は現場の意向を確認せず、コンサルタントに外部委託して株式専門部隊を本社組織にして業務移管したことで、単なる販売員に成り下がったことを挙げた。


 相場観


 効率性で


 切り捨てて


 挙句の果てに


 金太郎飴


 その結果、自分の頭で考えずに本社が下してきた予算を唯々諾々と受け入れて、相場観ではなく、収益性の高い商品(担当者さえも理解出来ない)が次々に開発され、投入されていった。


 簡単な


 物を態々(わざわざ)


 難しく


 捏ね繰り回し


 暴利貪る


 顧客満足度は低下し、顧客離れも深刻となっていたが、その都度、銀行からの顧客紹介で既存顧客よりも資産規模が大きいことと手数料の開示が厳格化されていない仕組債がケインズ以前の経済学のように供給側の都合のみで拡大し、紹介だけではなく、販売の一翼を担っている状況は看過出来ない。


 お買い物


 皆(みんな)大好き


 それなのに


 敢えて押し売り


 理解出来ない


 営業姿勢に関する問題に関しては、私も同様の考えであり、納得出来たが本社の肥大化と非効率について彼に尋ねるとリテール営業をB元常務が牛耳った為、C専務はプライベート・バンキング営業を大手集権会社から剛腕で大量移籍させ、A専務も同様に当社よりは先行していた旧山一證券等から大量移籍させて、ギリシャやトルコのように自陣営の規模拡大を目指し、既得権益化していった。


 自動化を


 敢えて導入


 しないのは


 旧態依然


 望む存在


 これは、当社でなく外資系親会社の問題であるが、ホールセール営業に関してはラージキャップ優先どころではなく、スモールキャップ切り捨てによって信頼関係を滅失させてしまったことも問題である。


 「誰もが疑問を感じつつも自分可愛さで、ずっと自分を誤魔化していたんや」と言い、元親会社である外資系銀行出向の顛末を語り始めた。


 彼を含め10人が第一陣(結局、天正遣欧少年使節のように頓挫し、半年で撤退)として派遣されたが、管理職経験者である三人にこそ主眼が置かれていたのである。


 一人目は、地方支店の課長からシステム統括部のエクイティ担当副部長にB元常務の肝煎りでA専務の牙城への切込みであったが、コンビニエンス・ストア端末の利用や金額指定買付等の現場を無視した的外れな開発と縦割りの弊害による相互連携不全で現場を混乱させている現状を改めるべく提言した為、部下のサボタージュで業務もままならず、休日返上で挽回を図ろうとするも適わず、泣く泣く自ら移動願いを出した経緯もあり、再起を目指す意味であり、同窓である彼はB元常務から直々に依頼を受けた。(現在は地方支店FC課長)


 二人目も、B元常務の子飼いである都内支店元FC課長で、接待交遊費に問題発覚前に捻じ込みであったが、出向前の研修期間も豪遊を重ね、彼は大学院に通学していたので、回避していたが、一度だけ授業終了後に参加すると、六本木のショーパブに全員が出来上がった状態で途中参加させられた挙句に自ら動員した女性をタクシーで千葉まで送迎し、三鷹へ自腹で戻った翌日にシャンパン代含む高額な請求をされたので、以降は距離を置いた。


この不幸な関係は、空気を読めない彼ならではの逸話であり、彼を喜ばせようと女性を生贄にした証券会社に有り勝ちな女性蔑視の最たる悪弊に気付かずに憤慨したのであり、彼のように学生時代の女性と遠距離の末、成就させる(不幸な結果に終わったが、詳細は私には語る資格が無い)例は稀であった。


一般的には、高学歴である新人で大人しい奴は捕食者である先輩女性の餌食となり、遊び人は数年後に密猟者として後輩女性を屠ることが大半であり、前者は上司に喜ばれ、亭主関白が多く、後者は周囲の反感を買い嬶天下の傾向があるが、両者共に女性関係は無秩序である。(B元常務失脚前に事業法人部へ異動して、現在は地方支店長)


 三人目は、C専務に比較的近いが、子飼いではない地方支店元FC課長で部下による無断で自転車営業による事故により連帯責任が原因であり、既にモチベーションが低下していた為、半年間も翻弄されたことで嫌気が差し早期退職を選択し、青いうさぎ系証券会社に入社もB元常務の転籍により、退社して現在はデイトレーダーとは一線を画した個人投資家であり、元顧客の不平不満や会社に残った同僚の愚痴に辟易しつつも会社の行く末を心配しており、彼とも引き続き良好な関係である。


 彼等は、7月(July)と8月(August)無き、三頭政治に翻弄された典型的な被害者の事例であり、同時に失われた二十年の縮図である。


 ひらひらと


 東に西に


 旅烏


 紙一枚で


 行ったり来たり


 プリンシパル・エージェント理論を引用すれば、帝国建設(EmpireBuilding)若しくは塹壕効果(EntrenchmentEffect)に類似すると思われるが、何れにしても代理人による依頼主への背信行為であることは間違いない。


 実力で


 評価しないで


 取り巻きを


 依怙贔屓して


 烏合の衆へ


社員組合や内部通報の窓口更に言えば対象者であった上司も一対一で話し合えば、個人的には悪い人は一人もいないが、組織における自分の立場という仮面を被ると誰でも「処刑人サンソン」に変貌する恐れがあり、加害者側からの景色は3名の死刑執行刑務官が同時に執行ボタンを押すので、罪の意識は希薄であるが、被害者側は憎悪と怨念の悪循環が生じる。


 一人では


 羊のように


 大人しい


 群れると何故か


 狼の牙


 労働組合と異なり、社員組合は幹部候補を養成する所謂「御用組合」なので、率先して上司に注進することは当然であるが、内部通報は経営企画部から当該部署及びコンプライアンス統括部等が調査して、人事部が最終的に処遇を決定するのだが、事前に人事異動で対抗することによって、発令された以上は覆すことが出来ないと言い包められ、彼だけに「狼少年」の烙印が残る。


 近頃は


 相場を見ずに


 弾き出す


 上司の機嫌


 自分の立場


 経営企画部も経験し、現在は人事部に所属する私としては、返す言葉も無かったが、助け舟のように、突拍子もなく彼自身が心掛けている業(カルマ)から離脱する思考法として、文楽(人形浄瑠璃)の人形遣い、大夫、三味線による三位一体を意識することで「罪を憎んで人を憎まず」を心掛けて平常心を維持していると語った。


 憎らしい


 恨まれてこそ


 褒め言葉


 三位一体


 超絶の技


 当初、彼もあらゆる手段を使っても報復を検討し、最近流行の「倍返し」さながらの遣り取りも経験した結果、悪意を持って行動ではなく、殆どの場合「寄らば大樹の陰」という保守的で無邪気な選択の結果であるという結論に落ち着き、憎悪による負の連鎖という無間地獄に陥るだけだと悟った。


 倍返し


 二の冪乗(べきじょう)で


 増加する


 憎しみがまた


 憎しみを生む


私を巻き込みたくないし、泥仕合を回避したい彼なりの配慮であったが、相変わらず空気を読めない彼の強烈な宣戦布告であり、意に反して観客席から舞台に引き上げられ、直接対峙することになってしまった。


 意に沿わぬ


 汚れ仕事も


 黙々と


 己を消して


 社畜貫く


 私としては「働くのだから多少は意に沿わぬことも目を瞑る寛容さも必要だ」と諭すことが精一杯であったが、彼は失望を隠さずに「会社が間違っている場合はどうすれば良いんだ」と迫ってきた。


 彼に「会社が間違っていると断言できるのか」と返すと「法律は兎も角、道義的には断言出来る」と私の眼を見据えて頷いた。


 彼の主張に関しては、全面的に賛成でありながらも、手法に関しては、彼は利害関係者(Stakeholder)を意識した革命(Revolution)を掲げ、私は株主(Stockholder)ありきの改革(Reform)で臨まなければ、悲劇的な結果を招く恐れがあり、受容出来ないことを伝える為、私も返歌を詠んだ。


 友情を


 打算で捨てる


 社畜道


 二律背反


 別離の宴


「誤解を招いたのなら謝るが、Yのことを揶揄したのではなく、会社が間違っていても長いものに巻かれる考え方について言及しただけだ」と言って、お互いに「地獄からの生還者」として、嫌な思いをしてきたことを訥々と語った。


辞めるのは


出来ないよりも


裏側を


見て見ぬ振りを


出来ぬ良心


理不尽な抑圧に対し、誰しも反発を覚えるが順応と抵抗があり、私が前者を選択したのに対し、彼は後者を選択したので過激となっているのであり、立場が変わり自由を獲得すると「喉元過ぎれば熱さ忘れる」で維持するのではなく、改革することX常務と私への期待であった。


白と黒


一緒にすると


灰色に


正々堂々


黒から白へ


真意は説明を聞けば、理解できるのだが、空気を読めない彼は、またしても暴発してしまった。


社長への提言(故郷に錦も否定しないが)


ブラインド・サッカーのボランティアに参加していますが、KPMGやAXA等の冠企業は在日トップや企業全体で参加していますが、当社は数人の一般社員が参加しているだけの寂しい状況です。社長の故郷である信玄公祭りは、社長以下役員が複数、部店長も多数参加しております。


阿諛追従の徒が跋扈している組織は間違いなく衰退します。


そして、一縷の望みを掛けたOからの助言も虚しく、業務担当副部長からのPの監視依頼を拒否するだけでなく、管理職として最大の業務である人材育成を放棄していると指摘し、売り言葉に買い言葉で「日本人なら話して分かり合えるが、Pは中国人だから」の発言を弾劾して物別れに終わってしまった。


この事態を受けて彼の話から出た元システム統括部副部長である地方支店のFC課長と面談し、当時の状況を問い合わせたが、忘れたい過去なので口は重たかったが、エクイティ担当副部長として赴任したが、細分化された専門システムをユーザーである決済業務部(実際のユーザーである営業店の意向は無視されている)と木を見て森を見ずの要件定義により開発及び受入が実施されている状況を改めるべく奔走した挙句、一斉サボタージュを受けて、専門書を片手に孤軍奮闘したが、休日返上で始発出勤し、終電帰宅する毎日でも業務が停滞し、半年で異動希望を部長に提出したことを涙交じりで語った。


彼及びPと隠し事を持ちたくないと再三の固辞も受け入れず、Oと極秘で面談し、決済業務部の現状を聴取すると抑々システム統括部と決済業務部はA専務の聖域であり、業務効率を無視してギリシャやトルコのように取り巻きによって、肥大化しており、資産別にエクイティ業務課、金融市場業務課、投資信託業務課、外国証券業務課(肥大化を目立たぬようにさせる為、子会社に業務委託)とデータ管理や庶務全般を請け負う業務管理課(各業務課にも庶務担当が存在)しており、各課に副部長と課長が存在したが、外部コンサルタントの指摘により、一部業務を子会社移管すると共に副部長が半減されてしまった遺恨があり、只管業務改善を拒否する牙城が営々と築かれている。


昨今のデリバティブ万能が叫ばれる風潮の折り、Qが入社して本来は派生商品であるがデリバティブ業務課として独立させ副部長兼課長に就任し、契約書も一元管理する契約管理グループを置いた経緯もあり、業務効率を推進し、不必要な開発に歯止めを掛けて一部業者との不適切な癒着を指摘したOは、目障りな存在として周辺業務を法人業務部として独立させた時には、厄介者を一掃する意味も含まれていた。


頑なに


昔のままを


守る人


損得だけを


考える人


Oは、本来下の句を


火事場泥棒


企む輩


としていたが、私の一存で修正すると「バランス感覚に優れたYさんらしいですね」と皮肉を込めつつも了解してくれた。

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