第16話 シン・異世界猫吸い
「ごはん!ごはんだにゃ!」「お魚食べるにゃ!」
ご機嫌な二人と一緒に村に戻るとミーコちゃんたちが駆けてきた。
「ユーコ、どこ行ってたの?」「はやおきさん?」
「えっと、ミャムとニャミナが水浴びが嫌いって言ってたからちょっと水浴びをさせに行ってたんだよ」
「え~、私も水浴びする~」「私も~!」
ミーコちゃんたちが私の手を揺らしながら可愛らしくおねだりをする、ふふ、このおねだり上手さんたちめ。
「おやおや、こんな小さな子たちも水浴びを嫌がっていませんな~」
「ぐぬぬ~、べ、べつに水が怖いわけじゃないにゃ!」
「こ、これだけ毛がきれいになることがわかっていたなら最初から嫌がらないにゃ!」
「ほうほう、ではこれからも水浴びはすると?」
「ユーコがあの薬を出すならやってやるにゃ!」
「はい、言質いただきました!汚れてきたら水浴びしてもらうからね!」
「「で、できらぁ!」」
よしよし、これで定期的にきれいにできるね、ノミとかついてると安心してモフれないから。
「あ、皆はご飯を食べてから一緒に水浴びしようね」
「わーい!あわあわする~!」「あわあわ!」
水浴びというかシャンプーの泡で遊ぶのが目的だったか、いや、楽しんで水浴びしてくれるならそれでいいんだけどね。
それから村のみんなの分の果物を生成し、身体の大きな私たちはミーコちゃんたちと一緒に私の借りている小屋で食事をすることになった。
「おいしー!」「おいしーね」
いつも美味しい美味しいと言いながら食べてくれるのでスキルで作ったものとはいえうれしくなる、今までは体が大きいのが私だけだったので膝の上の争奪戦状態だったのだがミャムとニャミナが増えたことで少し緩和された、まぁ、争奪戦といってもとてもかわいらしいもので、膝の上を早々に陣取ったミーコちゃんが後から上ってくる子を手で制して「むーーー」って言えば上ろうとしていた子が「ぷぅ」と頬を膨らませて終わりである、もちろん独占するつもりはなく、ある程度満足したら交代することがわかっているからだろう喧嘩になったりはしない、それでもミーコちゃんは私の膝への一番乗りは譲れないらしい、可愛すぎじゃないかな?
「にゃー!やっぱりこの魚は美味しいにゃ!」「もう川魚には戻れないにゃ!」
ミャム達にはシャンプーの前に作っておいた猫缶盛りを渡してある。
「にゃ?これは何かの種かにゃ?」
カリカリ…カリカリ…
「魚ほどじゃないけどなかなかおいしいにゃ」カリカリ「うん、悪くないにゃ」カリカリ…
そう言いながらもカリカリを食べる手が止まることはない、うん、やめられない止まらないってやつだね。
「ふふ、気に入ってもらえてよかったよ」
カリカリを気に入ってくれたんなら後で袋ごと渡しておこう、あ、次に渡す予定とかも伝えておかないと、この勢いで食べてたら1日でなくなりそうだしね、ペース配分くらいできるよね…会話とかもちゃんとしてるし大丈夫!…きっと…たぶん…。
「ネコさんおなかふわふわだ…」
「ホントだ!ふわふわ!」
「く、くすぐったいにゃ」「にゃはは、そこはだめにゃ」
カリカリの配分ペースについて考えていたら、ある程度おなかが膨れたからかミーナちゃんたちがミャム達のおなかの毛に興味を持ちだした、うん、わかるよ猫のおなかの毛ってふわふわでたまらないよね、私も堪能したいよ。
「ネコさんふわふわ?私もふわふわしたい」
「むー、今はミーナの番、ミーコはユーコのおなかふわふわするの!」
「ユーコ、ふわふわ?」
ちがうよ、毛もお肉もふわふわじゃないよ!ほんとだよ!だからお腹を触ろうとしないで!お手を触れないでください!お手を触れないでください!
「わ、私のおなかはふわふわじゃないからあとで一緒にふわふわさせてもらおうね」
「にゃ!?にゃんでユーコも触ることになってるにゃ!」
「私だって触りたいの!ちょっとぐらいいいじゃない!!」(シャンプーとリンスがちゃんと効いているか確認したいんだよ)
「にゃんか、本音と建前が入れ替わってるような気がするにゃ…」
「はっ!しまった…くぅ、言ってしまったものは仕方ない!そう、私だってふわふわなお腹の毛をモフモフしたいのよ!」
「ユーコは変態にゃ?」
「違うよ!ふわふわしてたりヨチヨチしてるかわいいものが大好きなだけだよ!」
「いや、ヨチヨチして可愛い子供とかならわかるけどにゃ、うちらは大人だにゃ、可愛いとは言えないにゃ」
「いやいや、二人ともスラっとしててモフモフで大きな肉球があって大きな耳がぴくぴくして尻尾が感情に合わせてくねくねして、さらにシャンプーでふわふわ度も上がってすっごくかわいいんだよ!」
「ち、近い、近いにゃ、そんなにまっすぐに言われるとちょっと照れるにゃ」
猫語りに力が入ってしまい鼻先がぶつかりそうな距離にまで近寄っていた、いけないいけないモフモフ好きとして猫的な魅力満載の二人を可愛くないなんて、自分で言ったことだとしても許せなくてつい熱くなってしまった。
「とにかく二人は自分の姿だから見慣れてるかもしれないけど私から見たらすごくかわいいんだからね」
「うう~、恥ずかしいにゃ、そんなに触りたければ好きにすればいいにゃ!」
「え?いいの!?」
「ただし順番は守るにゃ、今はこの子たちの番にゃ」
「もちろんだよ!」
当然コリス族の子供たちが優先である、というかモフモフのリスと猫の共演とか最高のご褒美である、邪魔をするわけがない、ただリスの尻尾と猫のおなかの毛の間に顔を突っ込みたいという欲望との葛藤はある、むしろその間に住みたい…
「えへへ、ふわふわだった、はいミーコ交代しよ」「ユーコもこーたい」
「よろこんでー!」
「ぎにゃー!!なんにゃ!?」
変な妄想をしていたせいか変な掛け声とともにミャムのおなかへと頭からダイブしてしまった、やってしまったものは仕方ない、このふわふわを堪能させていただく所存!
「にゃー!はなれるにゃ!誰もそこまでしていいとは言ってないにゃ!!」
「いやだ!!!」
「そんな所で大きな声を出すんじゃないにゃ!腹に響くにゃ!」
すーはーすーはーすーはー。
「にゃ!?お腹の匂いを嗅ぐんじゃないにゃ!!生暖かいにゃ!気持ち悪いにゃ!」
などとミャムとすったもんだありながら(ちょっと腕をひっかかれた)朝食を終えた。
「う~、ひどい目にあった」
「それはこっちのセリフにゃ!それに軽くひっかいただけにゃ」
ひっかかれた腕をさすりながらミーコちゃんたちに水浴びをさせてあげようといつもの小川へと向かう、そしていつもの合羽をつけてミーコちゃんたちのシャンプーのお手伝いをする、コリス族はちょっと手が短いからうまく全身を洗えないみたいなんだよね、ミャム達は濡れたくないからか少し離れたところでこちらを見ている、力では雄には敵わないけど一応それよりも弱い私たちを護衛してくれるらしい。
「あわあわ~」「わ~い」「あわいっぱい~」
相変わらず全身を泡だらけにしてコリス族のみんなは大喜びだ、その真っ白でもこもこした姿はリスの獣人というより羊の獣人…いや、羊のマスコットレベルである。
泡やシャボン玉を飛ばして遊んでいると、ミーコちゃんがふと気づいて体についた泡を集めて、ミャムたちの方へ手に持った泡をこぼさないようにとててと小走りで駆け寄った。
「ネコさんにもあわあわあげる~」
「あ、ありがとうにゃ」
「えへへ~」
https://kakuyomu.jp/users/hutabasinobu/news/16818093077830819894
うん、天使かな?なんだこのもこもこよちよち羊さんは…ミャムたちも満更ではなさそうに受け取った泡を掌でもてあそんでいる。
「はーい、泡を洗い流すよ、ちゃんと洗い流さないとかゆいかゆいってなっちゃうからね」
「う~、もっとあわあわする~」
く、もっとあわあわさせてあげたくなる、しかし長時間シャンプーをつけたままにして皮膚炎にでもなったら大変だ、ここは心を鬼にして…
「ほらほら、濡れたままだと風邪ひいちゃうから、また明日あわあわで遊ぼうね」
「明日もあわあわする?」「する?」
「うん、ほら約束、小指出して、ゆ~びきりげんまんウソついたら針千本の~ます、指切った」
「はりせんぼん?」「ゆび切るの?痛いよ?痛いのメ~よ」
あれ?もしかして針とか知らないのかな?そういえば布とかないんだったら針はないか…
「え~っとね針はこういう服とかを作るときに使うものなんだけど、刺さるとすごく痛いの、だからそれを千本…つまり約束破ったらすっごく痛い目にあうよってことかな」
「痛いの?ユーコが痛いのメーよ」「メ~~!!」「メェ~~!!」
あれ?本格的に羊さんっぽくなってきたんだけど…
「大丈夫、たとえだよ、約束を破ったら絶対にダメだよってこと、実際に針を飲んだりはしないよ」
「ほんと?ユーコ痛くならない?」
「ならないよ、でも、約束は守るから今日は泡遊びはおしまいにしようね」
「あい!」「あしたもあそぶ!」
「うん、明日もあわあわしようね、さ、川に入って」
「ジャブジャブ~」「じゃぶ~」
そうして川の中で泡をすすいでいると対岸の草むらが大きく音を立てた。
「なんだ?嗅ぎ慣れない匂いとクソみたいな人間の匂いがすると思ったら、なんでこんな森の奥に人間がいやがる、しかも猫どもまでいやがるじゃねえか」
そこには犬の顔をした獣人が10人以上も立っていた、え?ついこの間すごく似たような状況がありましたよ、ネタ切れですか?早くもネタ切れなんですかね?神様!!
おいでませ獣人の森 @hutabasinobu
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