第2話 ここはどこ?私は誰かは知っている

「…ん…あれ?なんで私草の上に寝て…あ!サラドリアーナ!…はいない…ここは神界じゃなくて地上なのかな?」


 さっきまでのふわふわとした浮遊感が続いているような感覚を振り払い、あたりを見回すと木、木、木、木、キノコ、木…も、もしかしてここって森ーーー!?


「いや、待て、まだ慌てる時間じゃない、町の近くの林という線もある、まずは…そう!スキルの確認!なにかしら使えるスキルがあるかもしれない!えっと…『ステータスボードオープン!』」


 おっと!目の前にパソコンで見慣れたウィンドウが…これは10のやつかな?うちのは結局アップデートしないままだったなぁ…いやいや違う違う、今はそんなことを考えてる場合じゃない。


「えっと、なになに…」


名前:八神優子

年齢:26

身長:162㎝

体重:51㎏

スリーサイズ:B7…「ちょーーーーーっとまって!黙秘!黙秘権を行使します!スキル!そう!適正とスキルは…」


適性ジョブ:テイマー SSS

獣、魔獣、獣人、神獣などを使役することができる

獣、魔獣、獣人、神獣などとの絆が上がりやすくなる

テイマー系スキルの消費SPが5ポイント軽減される


スキル:餌生成 レベル1 消費SP1→0

     作り方の複雑ではない餌を生成する


     獣具生成 レベル1   消費SP3→0

     獣を使役するおよび絆を深めるための作り方が複雑ではない獣具を生成する


「えーっと、餌生成?はなんとなくわかるとして獣具生成って…?使役するための獣具、首輪とかが作れるってことかな?とりあえず食料は餌生成で何とかなるかな、動物が食べれるものなら人間も食べれるでしょ」


 ケーーーーーーーーーーーーーーーココココココ

 ビクッ!


「びっくりしたぁ、鳥かな?地球じゃないんだもんね、もし町の近くだったとしてもどんな動物がいるかわからない、油断しないようにしないと…とりあえずどんな食べ物が作れるか確認しておこう、おなかが減ってからやっぱりできなかったじゃ危ないからね」



 とりあえず一通りやってみたけど水や穀物、果物は作れた、水は手のひらからドバドバでてきたので出すときは注意しないと…それからお肉など動物系の物はまだ作れないみたい…あとステータスボードで見る限り現状50ほどある私のSPは消費なしで使えているから果物を売って生活するってのもありかもしれない…町に付けたらね(泣)

 獣具生成のほうは首輪や鞭、ねこじゃらしのような物が作れた、ねこじゃらし…こっちにもにゃんことかいるのかなぁ、ワンコでもいいなぁ…うへへ…っと、いけないいけない今は遭難ナウな状況を何とかしないと…

 せめて方角を知ろうと切り株とかを探してて気づいた、よく考えたら地理がわからないと方角わかっても仕方ないし、地球でさえ北半球と南半球ではまったく違うんだから異世界の方位なんてわかんないよね…


 あんまり動き回って体力を消耗するのは得策じゃないよね、少し暗くもなってきたしさっき見つけた木のうろで一晩明かそうかな、しばらく動物とかが使った形跡もなかったし、熊みたいなのと鉢合わせとかはないよね…


「よしっと、周りに生えてた草で寝床は確保っと、夕食はスキルで作った果物ですますとして…夜はどうなんだろ?あまり気温が下がるとやばいんだけど…あ、獣具生成でペット用の服とか作れないかな?さすがに着たりはできないけど数があれば布団代わりになるかも『獣具生成』ペット用の服!」


 目の前にひらっと一枚の布が出てきたので見てみると、ボタンで止めるタイプのシンプルな小型犬用の服のようだ、うーんもうちょっと服っぽいの思い浮かべたんだけどなぁ…まぁ、でもこれが出せるんなら!


「『獣具生成』馬用の服!」


 今度は大きな布が出てきた、これもさっきの小型犬用と同じく植物性の繊維で編まれているみたいだ、どうやらスキルレベル的にポリエステルみたいな化学繊維はまだ作れないらしい。


「まぁでも適性のおかげで消費なしで作れるし、たくさん作れば布団として申し分ない、なんなら暗くなる前に急いで集めた草のベットの代わりに敷布団にしてもいいかも…『獣具生成!』」


 せっせと出しては敷き、出しては敷きを繰り返し、十数枚ほど敷いたあたりでかなりふかふかになる。


「よしっと、これだけあれば快適に寝れるかな、ひとまず今日は早めに寝て明るくなったらまた森の出口を探そう…出口、近くにあるといいなぁ」


 大量の布の布にくるまって寝転ぶと一日歩き回った疲れが出たのかすぐに眠りにつくことができた。


「ん~~~~~、ふぅ、なんだかんだ朝までぐっすりか…予想以上に図太かったんだな、私は」


 さて、今日は太陽?と逆のほうからいってみようかな、昨日は夕日の逆光になって見づらかったからなぁ…今のうちにいけるところまで行っておこう、元の世界なら遭難したらその場を動かず救助を待つのが基本だけど、ここだとそもそも私の存在を誰も知らないからなぁ…共助が期待できない以上自分から動くしかないよね。



 はぁ、もうお日様が真上まで来たけど全然収穫なしかぁ…もう少し行ったらちょっと休憩しよう、今だけは会社が駅から遠かったことに感謝したい気分かな、毎日の通勤のおかげで何とか歩けてる感じだし…インドア派だった学生時代だったら30分も持たないだろうな、それと休日だったのもよかった、こんな場所にスーツとパンプスで放り出されたら詰んでたよ、猫カフェ用に破れにくいジーンズとワイシャツにフード付きトレーナー…たまにフードにじゃれついてきたりしてかわいいんだこれが、おっと違う違う、まぁ、あとはスニーカーと年頃の女としてはどうかと思える服装だけど、おかげでこんな森の中でも動けている、人生何が幸いするかわからないものだよ、ほんと。


「ひとまずこのあたりで休憩しようかな、どこか腰を掛けれそうなところは…」


『……わばり……でて…け』


「え?なにかくぐもったような声が聞こえたような…」


 見回してみるがあたりに人や動物の姿は見えない。


『ここはわれわれのなわばりだ…でていけ』


「ちょっ、急に何の声!?」


 も、もしかしてお化けとかモンスターとか出てくるの?いや、でも原住民という可能性も!

 というか、なんかいろんな方向から声が聞こえてくるんだけど、もしかして囲まれちゃってる!?

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