第31話 防火壁
報連相はビジネスの基本ではあるが、それは子供に「嘘はいけない」と教えるのと同じぐらいの建前だ。
気に入らない報告すれば怒鳴られ、連絡すれば皮肉を言われ、相談すれば無能扱い。
そんな器の経営者には都合の悪い情報は極力伝えない様にするのが世を渡る基本だ。
「カスタマーセンターはお客様の声を届けない為の防火壁だ。代わりに焼かれるのは雇われる冒険者の精神だがな」
と言うのは冒険者の友人の台詞。
若い頃に半年程で懲りたそうだが……。
で、そんな基本に忠実に最近過ごしていたら本日。
「店舗の情報を必ず報告する様にしろ!悪い事なら尚更だ!」
と、いきなり経営者が言い始めて肝を冷やした。
何か気に触る事が漏れたか?
最近だと、あの件かな?
などと勘ぐりながら訳を聞くと、いつもの洗脳系のビジネス本からの受け売りだった。
経営者向けビジネス本は、もっともらしい事が書いてあるのだが、猜疑心の強い経営者が読むと従業員が迷惑する。
全く困ったものだ。
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