第13話 夢の居場所

友人とGWに飯でも食おうと携帯で連絡していると会社から連絡が入る。


心配性の経営者を慰める為に休日に連絡とる馬鹿らしさ。

経営者は

会社に命かけてるんだ!

潰れたら家から取られるんだ!

と言うが、私には関係ない。

金の為に働いているのだから。


友人も会社に居場所なんてないという。

だが、契約が切れ家にいても不安感は消えず、酒でも飲もうものなら、酔いが覚めたときの罪悪感が、いたたまれないという。


「お前さん、小説好きだろう?それで食えないのか?糞みたいな会社とオサラバ出来るんじゃないのか?」

友人は少し酔っている様だ。

私に文才がない事を私の次に理解しているのは友人なのだ。


私も友人も今、夢を聞かれたら早期リタイアと答えるだろう。

だが叶わぬ夢だ。

金銭面からリタイア出来るか怪しいし、本当にどうにもならなくリタイアする頃には買い物すらままならないだろう。


奴隷や冒険者などでない、人間らしい生き方が出来る居場所。

探すには歳を取り過ぎた。

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