第12話 向いてない

先送りしていた面倒臭い仕事を進めようとした。


案は2つあった。

1つは決済をもらわず事を進め、事後報告にする。

バレたらマズイ事になるし、バレる可能性は高い。

ただ上手く行けば、無視された上役2人のメンツさえ宥めればそれで済む。


もう1つは正攻法。

面倒だが、決済を通して事を進める。

決済さえ通ればタイミング的に今日中に決着がつく。

タイミング逃せば来週以降まで面倒が続く。


失敗した。

2人の決済のうち片方が留守中にに1つ正攻法で行って借り決済までもらえたらと策を弄したが失敗。

酷く叱責された上に決済は通らず。


しかも弊社にパワハラの概念はない為言われたい放題。

「お前には向いてない!」

「この齢まで良く生きていたな?」

「考えたらどうだ?」

ハッキリ言わないのが、また陰険。


しかも録音しても無駄だ。


仕事に向いてない

この業界で、この齢まで良く生きていたな。

仕事考えたらどうだ?


少し気の効いた弁護士なら、意味などすり替え可能だからだ。


人間の尊厳などない。

わずかな給料で売り渡してしまった。

ここにいるのは老いた労働者ドレイ


生きる事に向いてないのは百も承知。

もし若かったり、勇気があれば辞している。

だが、残念だが、勇気も若さもない。

だから歩く。

煮詰めた愚痴をこぼしながら。

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