第5話

「リツ殿! 本日も手合わせを願う!」


「また? 瞬殺だろ」


 あれから毎日、ワタルトは戦いを挑みにくるようになった。

 こちらにすると全く手応えがないが。




「リツ様はとてもすごいです」


「そうか? ワタルトが弱いだけだろう」


「あれでも、我が国一の剣の使い手と言われていたのですよ?」


「ふーん……」


「リツ様が妾の旦那様で、妾はとても嬉しいです」







「すまない、リツ殿。反力を調べさせてはくれぬか?」


「はぁ。まぁいいですけど」


「平均的な数値は、すべてが50であるぞ。ちなみに、最高値は99じゃ」


「え?」


 俺の反力、9999だけどな、と思いながら、水晶みたいな装置に手をかざす。


「反力999」


「「「な!?」」」


「3桁ですと!?」

「見たことがありませぬ!」

「まことの数値でしょうか!?」



「確か、9999だったけど……ステータスオープン」


 そう言ってステータスを確認する。ステータスは、俺以外には見えないようだ。



《ステータス》

ハハン リツ

人間(異世界人)

17歳

職業 次期国王

レベル20

体力30

知力155

魔力0

反力9999+

運85


スキル

料理 new 龍殺し new 熟練の剣士殺し



「なんか増えてる……それに、少し痩せたな」






「リツ様。素晴らしきお力です。これほどまでの反力は見たことがございませぬ。リツ様が生きようと、忍耐されたことが素晴らしきことなのです」


「……まぁ、母さんのためにも生きようと頑張ってたからな」


 ステータスが9999+になったことは、とてもじゃないけど言えない様子であった。大騒ぎになっていたからだ。











「リツ様は本当にすごいのぅ。妾が嫁でいいのですか?」


「サーシャはもう嫁になっただろ? それに、俺もサーシャの見た目は好みだよ」


「なんと! 嬉しいことです! 今夜はお祝いです!」


 そう言って、豪華な晩餐を食しながら、サーシャの酌でジュースを楽しむ。



 きっとこんな一生が続いていくんだろうな、そう思いながら夜がふけるのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

異世界に転移したら、反力という力がある場所でした。もしかして、俺って最強!?偶然助けた少女は、この国の姫君でした 碧桜 汐香 @aoi-oukai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ