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むかしむかし、とある海辺の村に、浦島太郎という青年がおりました。釣りをしに海辺へ行くと、近所のガキンチョ共にいじめられている亀田三兄弟がいました。
いや、いじめられてなどいません。なんならめちゃめちゃやり合っています。
「サイコー!」
三兄弟の横には、父親らしき人影がありました。拳を外側に向けたバージョンのガッツポーズで、息子たちを鼓舞しているようです。
ガキンチョ共は五人。大して亀田家は三人。圧倒的不利な状況でしたが、さすがはボクシングで天下をとった兄弟。ジャブジャブストレートで、ガキンチョ共を翻弄しています。このままでは負けると考えたのでしょうか。ガキンチョ共は仲間を呼びました。
「大丈夫か!」
その数三人。合計八人になりました。すると。
──ガキンチョ共が、どんどん合体していく!?──
亀田兄弟は、あたふたします。
──なんと、キングガキンチョになった!
キングガキンチョってなんでしょうか?
ともかくキングガキンチョは、亀田三兄弟を見据え、こう言いました。
「お前らなど、一撃で葬ってくれる!」
亀田兄弟はガードの姿勢をとります。
「パーンチ!」
シンプルな技名を叫ぶと、キングガキンチョの拳が、亀田兄弟に襲いかかりました。もうだめだ! と、ずっと影から見守っていた浦島が目を塞ぐと──。
「サイコー!」
父親が、その拳を見事に受け止め、そして、力なく膝から崩れ落ちました。
「親父! 大丈夫か!」
三兄弟は駆け寄ります。
「くっ、お前ら……。俺はもう、あと一発受けたら死んでしまう。今のうちに逃げろ!」
「なに言ってんだよ! 俺たちが、親父を置いていくわけ──」
「うるせぇ! 親父の言うことは絶対だ! これは昔も今もこれからも、ずっと変わらねぇ家訓だろうが! 早くいけぇぇ!!」
すると、三兄弟は納得したのでしょうか、涙を拭いながら、キングガキンチョとは逆方向に走っていきました。
「なんやこれ……」
浦島は、目の前で起きていることが処理できず、一旦帰って落ち着くことにしたそうです。
めでたしめでたし。
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