06・日本サッカーの未来
『史上最強』とも言われ、『ワールドカップで優勝を目指せる』と言われた日本代表は、実際は『Jリーグ開幕以来、最弱』であることが実証されてしまった。
これは結果が出ているため、ある意味覆しようがない。
『日本人選手の個』は紛れもなく歴代最高である。
だが、それが組織として有効であるかはまた別の問題であることもわかった。
個人的にはこれは良いことだったと思う。
前述のとおり、日本代表は前評判が高いときほど、結果が出ていないからだ。
そして、前評判が低いときほど、選手が団結して結果を残す。
その取り巻く組織が心配である。
日本サッカー協会や、Jリーグ機構は大丈夫なのか? と思わずにはいられない。
なぜこう思っているかと言えば、『JリーグがDAZNと契約更新してしまった』からである。
最初期のDAZNは夢のコンテンツだった。
月額980円でJリーグすべてが見られる!
それだけでなく、世界各国のリーグと、野球やF1も見られる。
本当に夢のコンテンツだった。
過去形である。
今では月額4200円。
それでいて、J3は切り捨てられ、シーズン途中であるにも関わらずイングランド・プレミアリーグやヨーロッパ・チャンピオンズ・リーグの放映権を手放すという暴挙。
いや、本当に暴挙なのだ。
シーズンの途中でそれが起こったからだ。
地元のチームを応援しようにも、4200円。
それどころか、日本代表の試合を見ようと思ったら、4200円。
高すぎる……
筆者はプレミアリーグを見るためにU-NEXT、そしてチャンピオンズ・リーグを見るためにWOWOWに入っている。
それにさらに4200円は痛すぎるのだ。
これでは、サッカーは一部の人しか見ないマニアックな存在になっていくしかないのである。
1990年代、日本はF1人気に沸いていた。
今では考えられないが、週刊少年ジャンプが当時一番人気であったアイルトン・セナの所属するマクラーレンのスポンサーになっていたほどだ。
だが、そのF1は今ではそれほど周知されていない。
極一部の人が嗜好する存在になってしまっている。
日本サッカー協会も、Jリーグも金銭的体力がないのであろう。
だけれども、ここでのDAZNとの密着は、長期的展望に欠けるとしか言いようがない。
未来へのツケを、今現在の急場をしのぐことで支払っているのだ。
もちろん、DAZNが魅力的なコンテンツあれば、それはそれで良い。
しかし、DAZNは前述の月額だけに留まらず、不満が溜まるばかりだ。
アジアカップで、日本代表以外の試合を観戦した人がどれほどいたかはわからない。
だが、日本代表以外の試合では、決勝戦も含めて日本語での実況・解説がまったくなかったのだ。
これはユーザーを舐めているとしか言いようがない。
月額4200円払って、理解できない言語の実況を聞かされるのだ。
これは本当にたまったものではない。
そうでなくとも、アジアカップはワールドカップに比べて、事前情報が少ない。
視聴者はそういうところを実況と解説に期待してしまうのだが、DAZNはゼロなのだ。
DAZNは視聴者のニーズに応える気がまったくないといっても過言ではない。
筆者は実況アナウンサー・倉敷保雄氏のファンである。
そして、スペインのラ・リーガ、レアル・マドリーのファンである。
正直、レアル・マドリーの試合を追うには、U-NEXTとDAZNのどちらでも構わない。
だが、今シーズンからU-NEXTは倉敷さんを始めとする確かな実力を持つ有力な実況者、解説者を他の放送局から引っ張ってきた。
これだけで、U-NEXTがどれだけ本気で視聴者を増やそうとしているのかが解る。
私も、どうせレアル・マドリーの試合を観るのであれば、倉敷さんの実況で試合を観たい。
DAZNは潜在的な日本のJリーグファンを3000万人と見込んでいた。
それ相応の視聴者もいるであろう、と。
しかし、実際はそれが40万人しかいなかった。
値上げしないと行けないのはわかる。
だが、囲い込んでからの急激な値上げ。これは……
月額980円だったものが4200円。
これはさらなるサッカー人気の低迷に拍車をかけるであろう。
せめて、日本代表の試合は地上波で無料でやるべきである。
アジアカップでは、課金していない人は日本代表が負ける試合しか見ていない。
筆者は、良いときも、悪いときも日本代表を愛して、語りたい。
だけれども、現状ではそれが目減りする未来しか見えない。
それが、非常にもどかしいのである。
日本代表が次の大会でいきなり優勝する確率は、限りなくゼロだろう。
強豪国と言われるオランダでさえ、準優勝が3回で、国内リーグは草刈り場と化している。
しかし、人間はトライ&エラーを繰り返して成長するものである。
初めて出場したときが、岡田監督。
2002年は、フラット3という戦術を取り入れ、そして最後には選手に反旗を翻されたトルシエ監督。
代表ともあろう選手たちには自由にやらせるべきだと、指揮官になったジーコ監督。
日本人らしさを目指したオシム監督。
また原点回帰して、岡田監督。
戦術志向が高く、そして肝心の本番だけで失敗したザッケローニ監督。
アギーレ、ハリルホジッチと協会の日本人監督志向を高めさせた監督たち。
そして、ぶっつけ本番の西野監督からの森保監督。
こういう歴史がある。
中国のサッカーを否定したが、中国の王朝のようなものだ。
彼らは、前時代の王朝の悪いところを否定して、良いと思うところを加えて自分たちの千年王国を作り上げようとし、その中でまた不都合が起きて滅亡してを4000年繰り返している。
サッカー日本代表も、そういう破壊と創造を積み上げている段階だ。
良い時期も、悪い時期もある。
だから長期的に見ていくことが、何よりも肝心だ。
宮本恒靖体制に代わる、この3月。
日本サッカーがどう変わっていくか。
それがより良い方向であることを切に願ってやまない。
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