第2章 2024 カタール・アジアカップ

01・鈴木彩艶

 2024年のアジアカップは、カタールの優勝で終わった。

 それも決勝戦でPK3本という茶番を残して。

 日本はベスト8。

 そして日本に勝ったチームも、悉く敗退していく。

 これにもどかしい思いを感じているのは私だけではないはずだ。

 せめて中東とアジア・オーストラリアは分けてほしいとみんな思ったことだろう。


 私は小説の内容で、日本代表をアジアカップで余裕で優勝させた。

 簡単に言えば、脱亜入欧というやつだ。

『少なくとも、決勝戦までは行く』

『決勝にまで残るのがまあノルマだろう』

 そう思っていた。


 だけれども、現実はそう簡単に行かないらしい。

 我らが日本代表は、弱点だらけで。

 そう言った点を、サッカーに関わっているものとして、語らずにはいられない。


※※※※※


 まず、取り上げられなければならないのは、ゴールキーパー・鈴木彩艶ざいおん選手(以下ザイオン)だ。

 私はこのアジアカップを、ザイオン選手を育てるために使うのもアリだと密かに思っていた。

 だが、これほどまでに酷いとは思ってもいなかった。

 

 確かに、キック・足元の技術はあるのだろう。

 だが、肝心のゴールキーパーとしての能力が、今までのどのゴールキーパーよりも低いように感じた。

 シュートセーブ・ポジショニング・ステップ・コーチング。

 どれもが低い。

 そして、一番酷いのが、191cmという長身でありながら、ハイボールへの対応が非常に稚拙なことだ。


 終わってみれば、5試合で8失点。

 ディフェンス・ラインが崩壊していたせいもあるが、アジア相手にこれでは……と思わずにはいられない。

 自分が日本と対戦するとなると、おそらくロングクロスを日本のゴールキーパーめがけて蹴って行けと指示するであろう。

 日本はその民族のフィジカルの問題もあって、やはり海外の人間と比するとボディコンタクトが非常に弱い。

 その性質上、ロングボールを放り込まれるというのは、我らが代表の弱点なのだ。

 しかし、富安選手も板倉選手も、日本のセンターバックは海外で活躍しているじゃないかと思う人も多いと思う。

 だが、相手の代表チームも、その国を代表しているレベルにあるのだ。

 そのため、フィジカルで劣勢であることは、日本は認めなければならない。


 そこでザイオン選手の抜擢だと思うのだが、このザイオン選手がクロスセービングが非常に不安定なのだ。

 次のワールドカップを見据えた上で、ザイオン選手を今回起用したのだと思うのだが、残念ながら彼は今現在の段階で、日本代表レベルにはいない。

 人種の問題ではなくて、単純に能力が足りないのだ。

 この批判を彼は受け入れなくてはならない。


 ラウンド8でのザイオン選手は、普通に良かった。

 もし、このまま勝ち抜けば、ザイオン選手は一皮剝けて覚醒していたかもしれない。

 だから、この段階での敗退は痛かった。

 最後のPKを止めていれば、彼は今頃英雄だったはずだ。

 川口能活さんが2004年のアジアカップで大活躍したように、彼に対する批判も消えていたはずだ。


 しかし、彼は持って・・・いなかった。

 神懸かりも、トランス状態も期待できない。それが現状なのだろう。


 もちろん、失点を彼のせいだけには出来ない。

 日本のバックス陣は、出来が良かったとはとても言えない。

 だが、彼のパンチングは敵の第二波を呼び起こす、著しく精度が低いものであることを否定できるものはいないと思う。

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