22・フィジカル

 さて、今回は足の速さです。

 フィジカルの問題とも言えるかもしれません。


 今から10年以上前。

 私が、トレセンの泊りがけ合宿に行ったときに、『座学』がありました。


 そこで、『はい』『いいえ』で答える50門ほどの問題があったのです。

 その中に、「サッカーをするには、足が速い方が良い?」という問題がありました。

 私は、『はい』にしました。


 そして、そのあと答え合わせがありました。


「この問題を、『はい』にした人?」

 という問いに手を挙げたのは、私を含めて3人ほどでした。


 そこで、

「サッカーをするには、足の速い、遅いは関係ない。技術を磨くことだ」

 と言われました。


 今ではどうなっているかはわかりませんが、これは間違いだと個人的に思っています。

 中高生の頃は、フィジカルの差がまともに出ます。

 早生まれの子が活躍できないと言われる所以です。


 確かに技術がある選手のほうが良いに決まっています。

 ですが、ナチュラルなスピードや、備え持っているパワーは変えようがありません。

 日本のフィジカル軽視は、こうやって底辺から植え付けられていたのです。




 ジーコさんが日本代表監督の退任会見で言ったように、フィジカルは必要です。世界に打って出るならなおさら。

「基本的な、技術が備わっていることは前提として」という前置きが必要ですけれども、少しくらいの技術の差なら、フィジカルが勝負を決めます。

 今はテクニックに、フィジカルを兼備している選手が世界では活躍しているようにも思えます。

 より、アスリート志向が高まっています。

 事実として、私が対戦して嫌だったのは、圧倒的なスピードやらパワーを持つ選手でした。

 

 より高いレベルでは戦術やら、守備技術で補うのでしょうが、そういうのを破壊する『圧倒的な個』がサッカーの歴史を紡いできた、と。

 その『圧倒的な個』を抑えるためにまた戦術が発展してきた、と。


 そして、『圧倒的な技術』を持っている選手。

 それは、歴史を「紡ぐ」だけではなく、歴史を「創造する」サッカー史に載るレベルの偉人だけです。


 今回のワールドカップで、久保建英選手がドイツ相手に簡単にフィジカルではね除けられるのを見て、何か思った方は多いのではないでしょうか。

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