Jさんの話

「自慢じゃないんですけど教育や習い事にお金をかけてもらえる家で育って、都会の私立大学に行きたいって相談したらOKしてくれて、念願の都会での一人暮らしが始まったんです。お金の使い方を学びなさい、そして学生の本分は勉強だからって奨学金と仕送りだけでも生活できそうな金額をもらいつつ、生活してたんです。」


根本が伸びてプリンのようになった髪型のその女性は話し方から育ちの良さが伺えるのに、どこか見た目とちぐはぐな印象を受けた。


「その大学で女友達が2人できて、片方はメイクばっちりでいかにもギャルって感じの子、片方は大人しくて清楚めな子なんですけど、ある日、3人で繁華街歩いてた時にホスクラ…ホストクラブの方に名刺をもらったんです。初回安いからって言われて、安く飲めて時間内に出たら居酒屋よりも安いじゃん!て盛り上がってついて行ったんです。お店に入るまでは怖いところだったらどうしよう…て気持ちもあったのですが、全然そんなことなくて、色んなホストの人たちが次々と卓…テーブルについてくれて何度目かで、カッコいいと思う人が来たんですよね。もう本っっっっっっ当にカッコよくて!話してた時に時間が来ちゃった時に帰るの?て寂しそうに聞いてくるんですよ。でも友達も帰る感じだったし、その日は連絡先だけ交換して帰りました。

それからはご想像通りというか、1週間後に1人で遊びに行ったらどハマりしてしまって、オーラス…オープンラスト(開店から閉店まで)遊んだり、一分一秒でも一緒に過ごしたくてシャンパン入れたりして、気がついたら大学の単位落としたり、仕送りとか奨学金も全部貢いじゃって…。


あ、今ですか?今は風俗で働いてるんですけど、性感染症になってお店出勤できないんです。でも病院代も出せなくて……その、良かったらお金貸してくれませんか…?一万円でもいいんです…一万円あれば…」


と、困った顔でお願いをしてくるので料金の学割が適用になることを説明してを頂いたお金を少し返すと、彼女はひたすら頭を下げて、こちらが案内した病院とは正反対の繁華街へ向かって行った。

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