Eさんの話
「俺が少し前まで付き合ってた人の話なんですけど!その子、華奢で声も小さくて可愛くて…初めて見かけた時に小動物みたいにちょこまか動く様子見て一目惚れというか…本当に可愛かったんですよ!でも、俺みたいな大男っていうんですか!?そんな男は相手にしてくれないだろうなってずっと思ってたんです!」
それは他人が振り向くぐらいの強烈なインパクトを残す男性だった。
「俺の友人の協力もあってその子とお出かけした日に告白することができて!無事に付き合えることになったんです!毎日電話とかもしてたんですけど!たまに電話取れない日があって!その時は必ず彼女の声で留守電にメッセージが入ってたんですよね!お仕事頑張ってね!とか寝る前に話したかったけど寝てたかな?ごめんね!また話そうね!みたいな!そういうところも大好きだったし、何よりその子の声が大好きで大好きで…その留守電、消さずにずっと聴いていたんです!彼女と会えない日なんかは四六時中聴いてました!
ところが付き合ってしばらく経った日のデートで!彼女の声が以前より小さくなった気がして何度も聞き返しちゃったんですよ!それが続いてしまって彼女に嫌われちゃったのかフラれたんです!協力してくれた友人に話してもお前おかしいよ、病院行ったほうがいいよ、て言うんですよ!?俺のどこがおかしいんですか!?俺、どこもおかしくないですよね!」
と話しているEさんは、自身の声量が大きいを超えてうるさいという域に入ってることや周りの不快な視線を浴びていることにも気づかずにひとしきり話したあと、ヘッドホンから音漏れするほどの「お仕事頑張ってね!おやすみ!ごめんね!また話そうね!」という女性の音声を聞きながら帰路についた。
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