Cさんの話
「私が小さい頃、大好きな父方の祖母が亡くなったのですが仏壇が置いてある床の間が何だかいつも空気が悪くて近寄れなかったこと、そして遊んで何かあったら困るから遊ばないように、と母から言われたことを覚えています。」
本日は自宅で話を聞いてほしい、というご依頼だった。こちらは相談料にプラスして出張費さえ頂ければ柔軟に対応している。
「ある朝、目が覚めたら母がどこにもいなくて家中を探していたところ、珍しく床の間の灯りがついていたのでそこにいるのかな…と思って向かったら、薄暗くて埃っぽい空間で仏壇に手を合わせてブツブツ…と何かを呟く母の後ろ姿を見つけたのですが様子がかなり変で…。
私が一昨日残してしまったご飯をお供えしていたんです。
その間もずっと独り言を呟く母の姿を見て、どのタイミングで声をかけるべきか迷っていたのですが苦しめ!苦しめ!と母が突然大きな声を上げてしまったのが怖くて思わず泣いてしまったんですよ。そしたら母が、起こしちゃった?ごめんね、て何事もなかったかのように仏壇から離れて優しく私を抱きしめてくれたのですが、母の背後に見える祖母の遺影がものすごい顔でこちらを睨みつけていたんです。
何故母があんなことをしたのか分かりませんが、許されることではないと思います。」
そう話すCさんのお宅にも立派な仏壇があり、おそらくCさんの母であると思われる遺影がそこには飾ってあったのだが、その顔は明らかにこちらを睨みつけており、黄色く変色して乾いたご飯のような物がそこには供えられていた。
「…仏壇に手を合わせて行きますか?」
話を聞き終えて帰ろうとした際にそう声をかけられたが丁重に断り、その場を後にした。
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