第4話 |デカい敵《バディ》の操作はセルフサービス?!
翌日、ルルピに魔法少女が俺の気配を感じる基準を聞いてみたら、
俺が変身して魔法少女そのものに悪意や敵意を持った時、と答えた。
俺が「魔法少女の敵になった」と思ってすぐさま駆けつけてきた、初戦のあれを思えば納得だ。
あのときは名前も
さあ来い魔法少女、このキルシュ・ヴァサーが、君の敵になりにきた!
閉じてた目を見開きながら、そう思って一分もしないうちに、
あの魔法少女の三人組が空から、この公園に降りてくる。
「あんた、見ない顔ね」
ピンクのボーイッシュな――ピンクでボーイッシュって個人的にレアだな――魔法少女が、ぶしつけにそう言ってきた。
「そりゃあ、感動の
昨日は君達が急に来たものだから、名乗るのも忘れてつい、ね」
「昨日のアレはお前か変態!」などと当然のお叱りの数々を、俺は、聖徳太子じゃないのもあって、部分的にしか受け止められない。
けど、聞き返してもしょうがないなと、とりあえず聞き取れた変態ってワードに「お褒めに預かり光栄だよ」と丁寧な礼――ボウアンドスクレイプって言うんだっけ――を添えて返事したあと、改めて自己紹介をする。
「僕の名はキルシュ。キルシュ・ヴァサー。
早速だけど、君達一人一人の名を聞かせてくれないかい?
何色の魔法少女、じゃ長いし、
「えっと、わたしは――」と名乗ろうとしてくれたキャワキャワな水色魔法少女の口をふさぐように、
大人っぽい感じの緑魔法少女が手をかざし、こちらを睨む。
聞き出しっぺのピンク魔法少女も、こちらを怪訝に見つめたまま名乗ってくれない。
「……わかった、君達が名乗ってくれないなら体に聞くさ。
Stage on my buddy」
実は魔法少女の敵になる前に、魔法少女達の後ろにあるジャングルジムに、デカい敵になる魔法を仕込んでおいた。
敵の仕込みが、悪意・敵意カウントにならなかったのはバグなのか、仕様なのか、仕様だといいな。
さあ、暴れろ!
あれ? なんだここ……?
三百六十度透明で、なんかちいさくてかわいく見える魔法少女たちが足元にいて、俺は暴れろ! と思ったときのポーズで立ってる……。
まさか、
俺、ちゃんと「ステージオン、マイバディ」って言ったよな?!
まさか、俺が美発音すぎて音声認識がbuddyじゃなくbodyって認識した?!
ええい、発音は後で検証するとして、まずは戦闘じゃ!
とはいえ、ジャングルジムの魔物のサイズ感ぐらいは把握したいな。
建物とかを壊しちゃった時、どうなるか知らんし、
弁償しろとか言われたら、さすがに払える気しないし。
……ちょっと、上空に透明な偵察俺を周囲に展開して……ほむほむ、
高さ、面積ともに、本来のジャングルジムの十倍はあるな。
仕込み前のジャングルジムの高さが、俺より気持ち高いニメーターぐらいだから、こいつの今の高さは二十メーター……デカ。
よし、ジャングルジムのキューブを二人入っても余裕あるキューブにして、一人ずつ閉じ込めて、二人きりで尋問するか。
おらいけ、キューブ共! あと、魔法少女に衣装ダメージとか与える弾幕展開!
いくつか炸裂しろ!
さて、魔法少女一人一人に尋問するためには、俺の操作がなくても魔物が動くようにしなきゃならない。
まずは、ターゲットの定義付けでしょ。
名前は仮で、それぞれの色の頭文字、R,G,BならぬP,G,Bとしてと。
で、改めて攻撃パターンとか入力。
最初に閉じ込めに狙うのは――魔法少女トライアングルで接する二辺が長い点に当てはまる子!
んで、閉じ込めたら魔物のコア付近に収容し攻撃継続、しばらく攻撃したらまた閉じ込めキューブなどとプログラミングし、
リアルキーボードなら「ッターン!」と、いい音しそうな程、軽やかにキーを叩く。
そして、魔法少女と逢瀬だ。
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