第2話 新学期が始まる

 微笑みをを携えた目で歩美に見つめられた。


「おはよう」

 

 なんか大人の落ち着きっていうのが見えるのね。

 今までは、どちらかっていうと無造作に梳いていたか髪を、彼女は前髪を無くして後ろの髪もきっちりと前に揃えた長さにしてた。キュートだけど大人っぽい。ワンレンショートボブっていうの。


「歩美も、おはよう。髪を切ったんだね」

「わかる! 前と後を揃えただけなんだけど」


 歩美はサラッと自分の髪先をいじる。そんな仕草が、可愛いって見えるの、。なんか先に行かれたかなって思ってしまう。


「久米くんとは、どうだったて言うのは、野暮みたいだね」

「美鳥が後押ししてくれたおかげよ。私からだけど、告白して返事をもらったわ」


 そう言って、歩美は微笑んだの。

「おめでとう!」


 私は歩美の手を握り、微笑み返してあげた。


「相変わらず美鳥の笑顔は強烈よね。くらっと来ちゃうよ」

「えへっ。ごめんね。うれしいことだもんね」

「そういう、美鳥はどうだったの? 風見さんとはどう。進展したかしら?」

「うん、休みの間、いろんな事をやって楽しかったよ」


 そう言いつつ、歩美越しに教室の後ろを覗くけど、お兄ぃは、まだ来ていない。


「良かったじゃない。イベントで見たウエイトレス姿は可愛かったよ」

「ありがと。でもみんなには、あまり言わないで」

「何で?」

「あの子の正体は秘密ってことのしてるんだって。謎の三姉妹って設定になってるの」

「バレバレだよ」

「まあ、そうなんだけれどね」


 そんな話をしていると、後の扉がスライドして、長身の人が入って来た。

お兄いだ。やっときたよ。


「おはよう」

「風見、遅いぞ」

「わりぃい』

「風見さん」「一孝さん」「一孝」「かずっち」


 いろんな呼ばれ方をして、それに対して、にこやかに挨拶を返しているよね。良かったな。実を言うと彼は私たちより、2歳と年上になるんだよ。大きな怪我をして、2年休学した後に怪我が癒えて私たちと同学年として復学したの。

 私も、それを知った時はびっくり。だって教えてくれなかったんだよ。家が隣同士の幼馴染と言うのに酷いとおもいません? 

 それで最初のうちは、みんなとギクシャクいていたんだけど、だんだんと打ち解けていけたんです。歳の差を関係なく話しかけられているのが、すごく嬉しそうに見えるの。


 でも、少しばかり困ったことが…

 お互い認め合ってステディになって、私は彼を『一孝さん』と呼べるようになった。嬉しいのだけど、なんか女子も含めて、皆さんそう呼んできている気がするの。

 確かに年齢も上で頼り甲斐があるのよね。

 でも、私が彼を呼ぶのになんか特別感が薄れて来てるの。呼び捨てにしたらって言うかもしれないけど、そこは流石に、歳の差があって躊躇してしまう。あだ名も似たり寄ったりなんです。


 だから、戻しました。


「あっ、お………」


 ガラッ


 かのタイミングで、このクラスの担任の千里先生が今日に入ってきた。


      「琴守、号令」


「起立。    礼。     着席」


 早速、新しい学期が始まってしまった。


「この後_体育館で始業式あるから、講堂へ移動してくれ。琴守、先導を頼むよ」


 クラス委員になっている私も、早速のお仕事です。


「はい。じゃあ、みんなぁ、廊下に出て、整列お願いします。」


 みんな、


 みんな教室を出ていく。

もう、彼を呼ぶタイミングを失ってしまったの。お話もできなかったの。


 そして、午前中は、始業式とロングホームルームで終わってしまう。

 そして、歩美から、


「これから、お昼は、彼と一緒に食べることにしたんだ。ごめん美鳥。他の人と食べてもらえるかなあ」


 衝撃の一言。


前の学期は、お兄ぃの奨めもあり、ほとんど歩美と一緒に食べていたのに。いきなり言われても困るよお。


 どうしよう?




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