第9話 (前編)マダムが子供を連れてきました。
今日もいつもどおりの朝を迎える。ここまで来ると逆に心地よく感じてくる………
…ということはない。
「「ピンポーン」」
突然チャイムが鳴る。今日も奇想天外な日常が待っているのか……?
「「ガチャッ」」
「はい、なんでしょ、!?」
そこには忌々しいマダム(第三話参照)と小さい子供が立っていた。
『お兄さん、確か業務スーパーでお会いした方ザマスよね?』
「は、はい。それがなにか?」
『実はあたくし、あの件まだ完全に許した訳ではないザマス』
「………へ?」
突然の謎の言動に声がうまく出せなかった。
『なので、アナタに頼みを聞いてほしいザマス。この可愛らしいうちの子を
今日一日見守ってほしいザマス』
「う、うちの子!?」
こんなマダムに子供がいた事に、僕は驚きを隠せなかった。
『ほら、圭ちゃん。このお兄さんにご挨拶しなさい』
『……
『あぁら圭ちゃん。照れちゃってかわいい〜、ということで私は用事があるので頼みますわよ』
そう言ってマダムは階段を駆け下り、行ってしまった。
◆
「け、圭太くん、だったかな?と、突然だけどよろしくね……?」
『僕の名前を知っているのにあなたは自分の名前を僕に教えないつもりですか?
それはどう考えても不平等でおかしいですよね』
突然の長文に僕の頭は思考停止した。
「き、君はいま何歳なのかな〜?」
『いや、まず僕の質問にこたえてもらっていいですか?さっきからずっと待っているんですけど』
「田中直政……です」
『ふ〜ん。で?仕事はしてるの?』
「い、いや、今ニートです……」
『僕は今、小学四年生。仕事、という点では僕のほうがあなたよりよっぽど活動していますね、くふふふ』
どうやらこの子は母親譲りのクソガキのようだ……僕はムキになり言い返す。
「ごめんごめん、僕?話きいてたかにゃ〜?僕は”何歳ですか”ってきいたんだけども返答が”小学四年生”っていうのはちょっとおかしいんじゃないかなぁ〜?」
『……………ひっ、ひぐっ、ぐううっっ』
突然、クソガキが泣き出した。
「んぉおう!?大丈夫かなぁ!?ごめんごめん」
『お母さんに……いいつけてやるぅぅ〜うぁああん』
「ごめん、ごめんそれだけはやめようか」
『なら、僕をギャグで笑わせてよ……そしたら許すもん、グスン』
絶対にやりたくなかったが、マダムにチクられるよりはマシかと思ってギャグをすることを決意した。
「きのこっ のっこ〜のこ 天気の子(元気の子)♬今から晴れるよっ」
僕はCMでよく流れるキノコの歌をもじったギャグを披露した。
『う、うわ……この人まじでやった』
「このクソガキィィィイイイ!!!」
『ぅぅううあぁぁあああんっっっ』
このクソガキを一日子守りすることは、本当にできるのだろうか……
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