第40話 バイト....

 マスターの奢りで、宮村にケーキを出すように言われた。


 これは、マスターの詫びだそうだ。


だけど、マスターは宮村に何かしたのだろうか?


 別に、遠くから様子を見ていたが少し話してるぐらいだな〜って感じたんだが。マスターは紳士なところもあるからな、マスターが気をきかしてくれたのだろう。


奢ると言われたら、流石に俺は拒否するからお詫びと言って遠回しに渡してきたのだろう。


マスターありがとう。と、思いながら、宮村に接客することにした。


「こちら、サービスのケーキです。」


宮村の前にケーキを置いた。


「先輩、どうしてここでバイトをしているんですか!?」

「え?」


 宮村は変装しているつもりだから、声をかけなければ話してこないと思っていたが、急に声をかけてきてビックリした。


しかし、どうしてバイトか....


お金が欲しいだけだけどな〜まあ、宮村と遊ぶお金とかいるしな〜とか、何となくと思って働いているだけだしな。


だけど、 そんなこと言うのは、少し恥ずかしいな。


ここは、はぐらかすか。


「別にいいだろ。」

「良くないですよ。先輩が、僕に隠し事なんてダメなの。」

「いや、別に隠し事とかはないよ。」

「いや、先輩は何かを隠していますよね。」


 宮村は、立ち上がり俺の肩を持ち顔を近づけてきた。


*****


 ま、まずい。


 これは、彼のことだからとさっきから見ているのだが、彼の彼女がだいぶ怒っているな〜


 だけど、私も女性からあんなに求められたかったな〜


 い、いや、今はそんな事を思っている場合じゃない。このままでは、お客様に迷惑がかかってしまう。

 

 齢65歳の私だが、この状況を打破する方法は浮かばない。


 それどころか、彼女の胸が目の前にある彼が羨ましく感じてしまう!!この状況をどうしようか、考えれば考えるほどに彼女の胸に目が追ってしまう。


 私は、自分で入れたコーヒーを飲み一旦心を落ち着かせ、彼の元に足を運んだ。


「お店の中で騒がないでくださいね。」

「「す、すいません」」

「彼女さん、彼は別に卑しい意味でバイトをしているわけではないと思うよ。それに、本気でそう思っている訳では無いんだよね。」

「う、うん。」

「雄二くんも、バイトは彼女の為でもあるんだよね。」

「ま、まあ。」


 ふう、なんとか喧嘩になる前に阻止することができた。


「じゃあ、まあ、雄二くんはコーヒー豆の袋を出しておいて。」

「はい。」

「あ、あの、お騒がせしてすいません。」

「いえいえ、私も目の保養になっているんで。」

「え?」

「い、いえ、それより。ケーキの生クリームが溶ける前に食べてくださいね。」


 そういい、私は厨房に帰った。


 彼女は、ケーキとカフェオレを完食して帰っていった。


****


 マスターのおかげで、宮村が俺にかけた疑いは晴れた。


 さすが、長いことこの喫茶店のマスターをやっているだけの事はある。俺たちの中に仲裁に入ってすぐに解決してくれた。


 マスターは紳士だ....

 


 



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