第38話 バイト始めた。

「ねえ、王子様〜」

「ねえねえ〜」

「あはは〜後でね。」


 宮村は、俺と目を合わせずに通り過ぎた。


 別に、拗ねられるようなことはやっていないのだがな....変わったことといえば、俺はバイトを始めた。


 カフェでバイトしたいと思い始めたバイトだが、宮村にバレたら絶対にバイト先に来るかもしれない。


 なので、バイトしていることも言っていない。


 だからなのか?


 まあ、少し遊ぶ時間が少なくはなっているが、別に少しだけだから気にするほどでもないだろ?


****


 最近、先輩が僕よりも大事な人ができたのか、僕の誘いを断ることが多くなっている。


 もしかして...新しい彼女ができてしまった...?


 い、いや、だって、先輩だもん。


 先輩が、僕以外に付き合うことなんてないハズだもん。だけど、気になっているのは本当。


 だから、僕は先輩の跡を追うことにした。


 先輩は、放課後になると一度家に帰った。家に帰った後、制服から私服に着替えてどこかに向かった。


 なんで、先輩は私服に着替えるの?それは、彼女とのデート?ねえ、彼女って、僕だよね。もし、他の女性がいるとか嫌なんだけど!?だけど、僕は前にも彼女とか思った相手が違ったことがったからか、慎重に先輩について調べ上げないと。


 宮村は、先輩が家から出てきて横断歩道で止めらているのを遠くから見ながらそんな事を思っていた。


 先輩は、妙に感がいいので遠くから観察している宮村は、数分後物陰に隠れながら先輩の跡をつけていると、小さな古臭いカフェに辿り着いた。


「カフェ伊藤?」


 少し、変わった名前だ。


 先輩は、カフェの中に入った。


 中には、数人の人がコーヒーを飲んでいる。だけど、2人は女子高生だ。もしかしたら、あの中に先輩と関係を持つ人がいるかもしれない。


 僕も、帽子を深く被りメガネつけ僕だとバレないように変装して入店した。


「ご自由な席にどうぞ。」


 おじいさんに、案内されて目立たない場所に座った。


「いらっしゃいませ」


 後ろから、聞き覚えのある声がした。


 カフェの制服を着た先輩だ。


 先輩は、ここで僕に内緒でバイトをしていた。


 僕は、声でバレるかもしれないのでメニュー表で適当に甘そうなのを注文した。


「わかりました。カフェオレですね。」

 

 僕は、頷いた。


 なんで、先輩はバイトをしているのだろうか?


******


 なんで、宮村がいるのだろう。


 帽子を被りメガネをかけているが、胸ですぐにわかる。それに、うちの高校の制服を着ている。


 こんな、胸の大きな女性は宮村しかいないのですぐにわかる。


 ふと、それで変装したつもりか!?っと、言いたくなる。


 多分だが、宮村が俺につけてきてここを突き止めてきたのかもしれない。もしかして、俺のバイト姿を見てからかいにきたんだろうか?


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