第30話 誕生日会 ケーキ

「先輩、これ大きいのどうぞ。」

「いや、今日は宮村が主役なんだから大きいの食べろよ。」


 フルーツが多く乗ったフルーツケーキを宮村がフルーツを崩さずに上手に4等分にして切り分けていた。


 宮村は、何故か俺に大き目のケーキを渡そうとしてくる。


「焼く肉を食べすぎたんで、お腹いっぱいなんです。なので、先輩にこの大きめのケーキをあげます。」

「そうか?別に、気遣わなくていいぞ。」

「大丈夫ですから!!」


 っと、半ば強引に渡されてしまった。


 まあ、甘いのは好きだし、ケーキは好きなので嬉しい。


「ねえねえ、お兄ちゃん。」

「ん?」

「お姉ちゃん。ちょっと、お兄ちゃんの前では少食キャラ作ってるぽいよ〜」

「え?そうなのか?」

「そうそう。だって、いつもだったらお肉とかバクバク食べてるし。ケーキは大きいのを食べてるもん。」

「へえ〜」


 結奈ちゃんに、コソコソと聞かされて『だからか』っと思った。だけど、恥ずかしいのだろうか?


 別に、大食い女性が嫌いとかはないのだがな....


「先輩〜先輩の誕生日の時は僕がそっちでお邪魔するよ〜」

「ああ、こんな馳走してもらったから、歓迎するよ。まあ、焼肉みたいな物はむりだがな」

「私も。」

「いいよ。」


 っと、いう感じの約束をして、俺は自分の家に帰ることにした。もう、夜中の21時だし。


「じゃあ、先輩また学校で。」

「ああ、それと、俺は別に大食い女性が嫌いとかないからな。むしろ、可愛いと思うぞ。じゃ。」


 俺は、そういって帰って行った。


 そういえば、ファミレスであいつめっちゃ食ってなかった?とか、少し思った。


*****


「結奈、先輩に何か言った!!」

「う〜ん。どうかな〜」

「言ったでしょ。」

「何が〜」

「だから、僕が先輩の前ではあまり食べなかったところとか....」


 宮村は、恥ずかしそうに言った。


「へえ〜お姉ちゃんそんなことしてたんだ〜へえ〜」


 結奈は、ソファーに寝っ転がりながら宮村を見上げニヤニヤとニヤつくと八重歯がチラッと見せている。

 

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