第21話 一応頼んだ。
「なあ、しずく。」
「なぁあに」
「いや、しずくの同級生に恵美って子いるだろ。」
「うん。いるよ。」
「その子に、小林はただの女の子付きだ。別に、別れようとしているわけではないから、監禁とかは辞めてあげてって、伝えて欲しいんだ。」
「え?は?何それ。」
ソファーで寝っ転がって、なんとなく聞いていたしずくが起き上がった。
「え?監禁何それ?」
「いや、小林の彼女なんだよ。小林は、女好きで色んな子に声をかけたりして、次に女の子に声をかけたら監禁するって言われているらしいんだよ。」
「あの、真面目な恵美ちゃんが!?まあ、女は裏表が激しいっていうけど、これほどとは....」
「じゃあ、よろしく。」
「わかった。一応伝えておくね。おもしろうだし」
****
「ねえ、恵美さん。小林っていう彼氏がいるんでしょ。」
「え?何。私の小林くんに興味があるの。私のだから、ダメだけど。」
普段は、おとなしそうな顔が、小林と聞くとギラリ通した目を向けてきた。しずくは、少しびっくりした。
「いや、その小林っていう人が、お兄ちゃんと友達で、監禁するとか辞めて欲しいんだって。」
「それは、無理だよ。小林くんは、私のことだけを見てくれたらいいはずなのに、他の女の子をほいほいと声をかけて、もう他の女の子とは話さないでっていうのに、いうこと聞いてくれないから、もう私のだけにしたくなって、次に女の子と喋ったら監禁するのは辞めない。監禁して欲しくないから、女の子とは話しかけなければいい。」
ものすごい、勢いで喋って、びっくりした。
「わ、わかった。」
「その、お兄ちゃんに伝えておいて。」
「う、うん。」
****
「一応、喋っておいたけど、ダメだったよ。」
「やっぱりか〜だろうと思った。」
「もし、小林くんが女の子と恵美さんのいるところで、女の子と喋ったらガチで監禁されそうだったよ。お兄ちゃん。小林くんを監禁されないように、キツく言っておいた方がいいと思うよ。」
「わかった。」
俺は、妹があんな真剣な眼差しで言われたことがない。なので、俺は小林にキツく女の子とは喋るな。もし、喋りたくなったら、恵美ちゃんの居ないところでしろっと学校についてすぐに小林に忠告した。
「ダメだ。俺の本能を抑えることはできない。」
「いや、押さえろよ。」
「もし、俺が監禁されたらなんとかして欲しい。いや、助けて欲しい。」
「まあ、気が向けばな。」
っと、俺は本当に監禁されるとは思っても見なかった....
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