第14話 クレープ・クレンゲーム

本屋にふらっと寄り、新刊か面白そうな本は無いかっと、本屋さんに入りお目当ての本を手に入れ帰っていると、宮村の妹とばったりあった。


「あ、お兄ちゃん。」

「え〜たしか、宮村の妹の」

「結奈です。この前は、ありがとうございました。」

「いやいや」


挨拶をして、帰ろうと思うと引き止められてしまった。


「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。」

「ん?」

「お兄ちゃん。あの時のお礼で、私がクレープを奢ってあげます。」

「いや....」


今日は家に帰って、買った本でも読みたい気分。早く帰りたいから、断ろうと思ったが...断られると思ったのか、潤んだ目でこちらを見てくる。


一応、善意で言ってくれていると思うので、仕方なくクレープを奢られようと思う。


「わかった」

「じゃ、行きましょ〜」


と言われて、クレープ屋に向かい、クレープを買ってもらった。


「美味しいね。」

「そうだね。」


なんか、妹を相手しているような感じがする。まあ、実際に宮村の妹なんだが...


「あと、ゲームセンター行きましょ〜」

「よっし、行くか。」


もう、今日は結奈ちゃんの付き合いをすると腹をくくっているので、付き合うことにした。


「お兄ちゃん手繋ぎましょ。」

「いいよ。」


 俺は、言われるがまま手を繋ぎゲームセンターに向かった。


「ここの、ゲームセンター久々にきたけども、かなり雰囲気変わったな〜」


 っと、少し昔に浸り辺りを見渡していると、マスクと帽子を被っているがわかる。

宮村がニャン猫のぬいぐるみを取ろうと必死にお金を使っている姿が見えた。


「あ、お姉ちゃ〜ん」


 結奈ちゃんも、姉である宮村に気付いた。


「せ、先輩!?それに、結奈なんでここに!?」

「お姉ちゃんも、どうしてゲームセンターにいるの〜」


 っと、惚けた顔で結奈ちゃんが言っているが、これは宮村がこのゲームセンターにいることは知っていた顔だ。


「それに、なんで先輩と一緒にいるの?」

「あ、それは、結奈ちゃんが俺にクレープ奢ってくれるって言われたから。」

「先輩。僕も、お子様ランチ奢ったじゃないですか!!」

「え、お兄ちゃん。お子様ランチ食べるの!?」


 結奈ちゃんに若干惹かれてしまった。


「いや、それは違う。宮村があれだからだよ。それより、宮村どうしてて一人でここに?それに、マスクと帽子までして。」

「そ、それは....あれですよ。お姫様たちのプレゼントを必死に取ってただけですよ。」


 宮村が、目を逸らしながら言っている。

 

 嘘だな。ファミレスの時から気づいているが、宮村は可愛い物好きだということがわかった。


「あ、あと、なんで結奈が先輩と手を繋いでるの!?」

「え〜いいじゃん。」

「ダメ。先輩にも迷惑だから、早くその手を離しなさい。」


 っと、宮村は俺と結奈ちゃんの手を離した。


 まあ、正直にいうと手を繋いでいるのが恥ずかしかったりしていたが、俺から言い出すこともできず正直ありがたい。


「それより、宮村。それ、取りたいのか?」

「いや〜まあ。」

「じゃあ、とってあげるよ。」


 俺は、財布に入っている100円玉を取り出しゲームを始めた。


 3アームあるので、掴む力は最初だけ強い。だけど、アームが物を掴んで上に上がった後の振動が強くてよく落ちてしまう。


 なので、俺はニャン猫お尻ら辺についているタグにアームを引っ掛けることにした。


「先輩〜無理しないでください。僕も、このクレンゲームだけで2000円は飲まれましたから。先輩だと全体無理です。1万円ぐらい使わないと、ニャン猫はとれませんって」


 宮村からは、煽りのような警告が聞こえる。


「お兄ちゃんがんばれ〜!!」


 結奈ちゃんからは、応援の声が聞こえる。


俺は、さっそくアームを動かし、ニャン猫のお尻にあるタグの輪にアームを入れることに成功した。


「よっしゃ、狙い通り。」


 狙い通りに行き、ニャン猫をゲットすることができた。


「ほら、宮村。」


 俺は、取れたニャン猫取り出し宮村に渡した。


「あ、ありがとうございます。」

「え〜結奈も欲しい。」

「いいよ。」


 俺は、結奈ちゃんの分も取ってあげた。かなり取りやすい台なので、妹の分も撮ってあげた。


「先輩ありがとうございました。ほら、結奈帰るよ。」

「じゃあ、お兄ちゃんまたデートしようね〜」

「え?はぁ!?」


 宮村は、動揺している顔が見え俺はニャン猫を抱えながら家に帰った。


「しずく、ニャン猫クレンゲームでとったからあげるよ。」

「うあ〜ニャン猫だ〜珍しいね可愛い物系とか取らないのに。」

「まあな。」


 ニャン猫を妹のしずくにあげると、かなり喜んでいた。


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