第10話 宮村視点 お弁当『妹』

「ぬぅうううう!!」


 僕は、家に帰ってから感情を爆発させていた。


 先輩が、僕が作ったお弁当を美味しいとか言ってくれて嬉しかった。ただ、ゲーム内で登場する白猫が作るお弁当が美味しいとか愛妻弁当とか言って少しモヤっとしたので、お弁当を作ってやる気とにした。それに、先輩は今後お弁当を作ってもらえることは無いのだろうと思いながら、作ってあげていたのだが、これほど嬉しいとは思わなかった。


 それに、僕が作ったお弁当に嫌いなきのこを頑張って食べてくれた。


 そう思って改めて、先輩が食べ終えた空のお弁当をもう一度見るとニヤニヤが止まらない。


「あれ〜お姉ちゃん。何をニヤけてるの〜?」


 ソファーに座りながら、空のお弁当を見るのを夢中で、後ろの気配に気づかなかった。


 妹が、後ろからそっと近寄っていた。横を見ると、ニヤニヤと何かおもちゃを見つけたような顔をしている。


 妹の名前は結奈。小悪魔系女子で、僕と同じくらいの胸が大きく、身長が小さいので、余計胸が大きいと感じる。そのおかげで、男子からはかなりの人気者らしい。


 僕とは、正反対な感じ。


「な、なに。」

「いや〜お姉ちゃんがニヤッとした顔をしたしているなんて、初めてだからな〜と思って」

「じゃ、じゃあ、僕はお弁当とか洗わなければならないから。」


 と言って、妹の結奈から離れようとするのだが、離れる事が出来ない。


「お姉ちゃん〜お姉ちゃんが食べるお弁当を作ってると思ってたけど〜もしかして、彼氏にでも作ってあげたの〜」

「ち、違うよ。これは、自分が食べるお弁当だよ。」

「へえ〜じゃあ、このお姉ちゃんのカバンの中に入っているもう一個のお弁当はなんだろう〜」


 いつの間にか、ソファーに置いていたカバンの中身を探り先輩の分ではなく自分の分もついでに作っていた。まあ、そのおかげで僕のクラスのお姫様達は、家事ができるという評判が広まりさらに好感度が上がったというのは自覚している。


 まさか、それで妹にここまで追い詰められるとは...


「そ、それは...」

「彼氏なんでしょ」

「そ、そうだよ。彼氏ぐらい作って何か悪い?」


 もう、いっそのこと開き直った。


「いや〜まさか、お姉ちゃんに男とはね〜。」

「何かおかしい?」

「まあ、いろんな女の子にお姫様とか言ってるから、てっきり女の子が好きなのかと思って。」


 結奈が、僕の顔を見て何かよからぬことを考えているのか、それとも、遊ぶおもちゃがができたと思っているのだろうか、再びニヤッと顔をして下から僕の顔をのぞいてくる。


「お姉ちゃんって、案外可愛いよね。」


***一方、先輩は***


「え、お兄ちゃん。宮村くんにお弁当作ってもらったの?」

「そうだけど。」

「ええ!!どんなの?」

「興味あるのか?」

「それは、宮村くんがどんなお弁当を作るのか気になるじゃん。」

 

 一応、お弁当の写真を撮っていたので、妹に見せ羨ましがられていた。


 




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