集団戦闘訓練④
模擬戦のパーティ決めが始まり、私は見事に取り残されてしまった。
ジークは早々にイゴールとピーターとパーティーを組んでしまい、頼みの綱のバルバラとギュンター、ヴァレリアは別の生徒とパーティーを組んでしまった。
バルバラっていうのは、私がこの学校に入学する前に出会ったアルヴの女の子で、ナンパ野郎に絡まれているところを偶然助けたことで懐かれ、友人となった子だ。
ラフィーはまだ戦闘に参加できる力がないため見学している。
しばらくすると、先生たちによってあぶれた人たちでパーティーを組まされた。
パーティーメンバーは孤高の拳闘士の人間、クロハと、レザーだ。
正直言って不安しかない。
いつもあぶれがちなタイファンは今日の授業をさぼっている。
まさかこうなるなら私もさぼっておけばよかった…
「よろしく、クロハ、レザー。」
クロハ「ああ。」
レザー「…」
クロハだけは返事をしてくれたが、話をする雰囲気じゃないな…
そうしていると、誰かが私に話しかけてきた。
???「やあ、エレノアさん。今いいかな?」
振り向くとそこには、身長3mを悠々と超えるであろう巨体のリルドラケンがいた。
リルドラケンの平均身長は2m前半であるため、このリルドラケンはかなりの巨体だ。
さらに、彼が身に着けている鎧には宝石がちりばめられていて、目立つことこのうえない。
正直言ってまぶしい。
彼は成績上位に名を連ねる、ミルトだ。
その傍らには、ティエンスの女性で同じく成績上位者のリンダ。
ドワーフの少女、ローラが立っていた。
ローラはこちらを見ておらず、持っている長銃をいじっている。
「どうしたのミルト?」
ミルト「僕らと模擬戦しないかと思って誘いに来たんだ。」
「私たちと?」
ミルト「うん。」
ミルト「この間の進級試験で、ついに君には順位を抜かれてしまったからね。」
ミルト「君の実力を確かめたいと思ったんだ。」
「そういうこと。リンダとローラも?」
リンダ「別に私は興味ない。」
ローラ「わたしもー。」
私の問いに、リンダもローラも本当に興味がなさそうに答える。
なるほど、順位を気にしているのはミルトだけみたいだな。
そうなると私の心に火が付いた。
リンダとローラに私を意識させてやる。
「いいよ。やろうか。」
「クロハとレザーもいい?」
クロハ「俺は誰が相手であろうと構わない。」
クロハはうなずいて答えてくれた。
レザー「ミルトか…いいだろう。俺が上であると証明してやる!」
レザーがミルトに食って掛かった。
やっぱ馬鹿だこいつ。
ミルト「レザーくんだっけ。いい闘争心だ。相手になるよ。」
失礼なレザーに対してミルトは真摯に対応している。
ミルトは結構いいやつなのかも。
私たちは講師に報告し、すぐに模擬戦が始まることになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます