成人の儀①

 俺は思いのほか早くに目を覚ましてしまった。

 今日は成人の儀ということで気持ちが高ぶっていたのかもな。


 気持ちを落ち着かせるため、軽く汗を流すことにした。

 しばらくランニングをしていると、丁度いい時間になったので切り上げて孤児院に戻った。

 水を浴びて汗を洗いを落とし、朝食を頬張り、バリーじいちゃんからもらったナイフを装備して孤児院を出る。

 出発の際、メアリー姉や孤児院のみんなから声援をもらった。

 これがあれば俺にできないことはないぜ!


 村長の家にたどり着くとすでにエレノアと村長が俺を待っていた。


「ごめん、遅れた?」

「いいや、まだ時間には少しある。」


 遅刻してしまったと思ったが、どうやら勘違いだったようでなによりだ。


「さて、時間にはまだ早いが、揃ったようだし始めるとしようか。」

「すでに通告した通り、お前たちにはこれから成人の儀に挑んでもらう。」


 村長はそう言うと、長々と説明をおっぱじめやがった。

 なげぇよ!眠くなるわ!後たまに関係ない話すんな!


「最後に、これを受け取りなさい。」


 ようやっと話が終わったと思ったら、村長がバックパックを差し出してきた。

 中身を見てみると、ロープや小型のナイフ、そして地図が入っていた。


「その地図は祭壇までの安全なルートが示されている。」

「その地図に従って進むといい。」

「それでは村の裏口の方へ向かうとしよう。」

「火種はそこでお前たちに渡す。」


 村長についていき、村の裏口にたどり着く。

 村長が聖火をひとつ差し出してきたので、俺が受け取ることにした。


「頑張ってきなさい。」


 村長の激励を背に俺たちは村を後にした。

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