エレノアとジーク③
「よっ!エレノア。調子はどうだ?」
「遅いよジーク。今日はあんたに絶対勝つから。」
「ハハ!昨日はやっとお前に勝てたんだ。今日も勝つのは俺だ!」
二人はそう言うとお互いに訓練用の木製でできた武器を構える。
エレノアは斧、ジークはナイフ形のものだ。
まず先に動き始めたのはジークだ。
ジークはステップを刻み、エレノアを翻弄するように立ちまわる。
素早い動きは鍛錬を積んだエレノアの目をもってしても捕えきることは困難を極めた。
しかし、エレノアに焦った様子は見受けられない。
エレノアは冷静に、集中力を研ぎ澄ましていた。
そして、ジークが瞬時に回り込んで木製のナイフをエレノアに突きつけたその瞬間。
エレノアはジークの攻撃を見事に斧で受け流した。
そして続けざまに斧を振りかぶり、ジークに当たる寸前で止めた。
「ふふん。今日”も”私の勝ちみたいだね。」
「くそーっ!負けたー!!」
「昨日はこれで勝てたのに!」
「残念、私に同じ手は通用しないよ?」
「ちぇっ、さすがエレノアだな。」
「次は別の方法を考えないとな。」
「どんな方法で来ようとも、次”も”勝つのは私だから。」
「言ってろ!ぜってえ勝つからな!」
エレノアはこれでもかとドヤ顔でジークを煽る。
「そういえば明日は成人の儀だったな。」
「そうだね。」
「俺たちもついに一人前かー。」
「うん。」
「なあ、エレノア。」
「なに?」
「成人の儀を成功させたら、一緒に村を出て冒険者にならないか?」
「え?」
「お前となら、うまくやれそうな気がするんだ。」
「冒険者、ね。」
「そうだね、考えておくよ。」
「おう!村を出る前には答えを聞かせてくれよ。」
「わかった。」
「そんじゃ、明日に響くし、今日は解散にするか。」
そうして二人は後片付けを済ませ、その場を後にした。
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