第18話 お泊りオフ②

「そういえば、今日空乃ちゃんの家に来た時の部屋といったら・・・ねえ?」


 私がパンチし終えた途端に仕返しと言わんばかりに、またしても私が言われたくないようなことを言おうとしてきた。


 鬼畜・・・!


「あ、あの・・・」

「空乃ちゃん、どうしたのかな~?」

「ゆ、許してください・・・」


[涙目空乃ちゃんかわいい]

[かわいそー]

[いいぞ]


「まあ、今回はやめてあげようかなっ!」

「こ、今回は・・・?」


 佐奈さんに弱みを握られてしまった・・・

 今後迂闊に佐奈さんに何かしようとすると、この話をされると考えただけでおそろしいかもしれない。


 少なくとも掃除ができない人間とだけは思われないように頑張ろうと思った私であった。




「まあ、お鍋も食べ終わったわけだし、何かゲームでもしようか!」

「そうですね」

「ゲームはどうしよっかなー」

「でも結局Swachで私が持ってるゲームで二人でやるゲームって限られてきますよ」

「そうだよねー」


 そういえば配信の際にやるゲームは考えてなかったので、どうしたもんかといったところだ。実際二人プレイのゲームとなると限られてくる。


「あ、これとかどう?」

「あー、柿鉄ですか?」


 通称『柿太郎電鉄』


 簡単に説明すればゲームジャンルはボードゲーム。最大4人でやるパーティーゲームである。舞台は日本全国であり、サイコロを振って目的地となる駅まで目指すといったゲームだ。最終的には各人が購入した物件や、所持金などの総資産でTOPが決まるゲームだ。

 ただ、他にもお邪魔キャラの貧乏の存在や、停まったマス目によって金額のプラスマイナスや、カードの入手。その他いろんなことが起こったりする。


 ちなみにこのゲームは元は柿太郎伝説といったゲームの派生シリーズだったりする。

 

「というか、私たち二人でやるんですか?」

「ま、別に問題ないでしょ?」

「たしかに問題はないですけど・・・」


 問題はないが、最大4人用のゲームを二人でやるというのは・・・なんか少し悲しい気もする。とはいえ、佐奈さん以外の人とはまだゲームとかできないんですけどね・・・はは


[柿鉄二人は確かに少し悲しいかもw]

[ま、別にいいんじゃね?]


 とりあえず、柿鉄をやることになったので、ゲームを起動しながら雑談をする。


「そういえば空乃ちゃんは柿鉄ってやったことあるの?」

「あ、私は昔家族とちょっとやったことあるくらいで」


 ゲームにあまり触れてこなかった私だが、私の父親はかなりのゲーム好きだったこともあり、いろんなゲームを持っていた。なので、こういったパーティーゲームはたまに家族と遊んだりしていた。

 まあ、家族以外と遊んだことはないんですけどね。友だちいないんで。


「へー、家族仲いいんだね!」

「どうなんですかね。まあ、仲はいいほうかもしれないですね」


[家族仲いいのいいね]

[ほほえまか]


「私はつい最近のコラボ配信でやったかなー」

「おお・・・」


[そういえばやってたねー]

[たしかに]


 佐奈さんは凄いです。私とこんなにコラボしているのに、自分個人の配信もしていて、他の人ともコラボしていて。本当に凄いです。

 でも私のどこか、どこかに・・・言葉では表せないようなモヤモヤとした気持ちもあるんです。これは一体何なのでしょうか――


「あ、ゲーム画面ついたね」

「じゃあ、始めていきますね。モードは・・・」

「そこまで長くやれないと思うし、3年決戦でいいよ」

「わかりました」


 そういって、モードを選ぶと次は人数選択画面がでてきた。


「あ、二人だと1か2コンピューターいれなきゃいけないんですね・・・」

「あーそういえばそうだったねー。まあ、プラス1でいいんじゃない?」

「どのコンピューターにしますか?」


 コンピューターにも種類があって、初心者向けから上級者向けまである。


「まあ、別に上級者向けで別にいいんじゃない?」

「じゃあ、一番上のさくたにしてみますね」

「おーけー」


[だいじょうぶか?]

[まあ、昔よりは弱くなったし・・・]

[いけるっしょ]


「じゃあ、始めますね」

「よし、いこう!」


 そんなこんなで、ここから波乱の柿鉄3年決戦が始まるのであった――

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