第17話 お泊りオフ①
「また負けちゃいました・・・」
「まあ、そういう日もあるよ」
「い、いや・・・」
あまりゲームを今までやってこなかったとはいえ、これはセンスがないかもしれない。最初はそう思っていたけど、途中からただ単に佐奈さんが上手すぎるだけなんじゃないかとか思い始めてきた。
一応、今後ゲーム配信を多めに取っていこうとしている身ではあるので、ちゃんとゲームの特訓はしなきゃなとは思ったけど。
「そういえば、今日の配信って結局どうするんですか・・・?」
「ああ、鍋パするって言ったでしょ?鍋食べたり、ゲームしてみたり?」
「なるほど・・・」
いかにもオフコラボっぽい内容だった。
「まあ、今日は想乃ちゃんの家に泊まるからなんでもできちゃうねー」
「え」
ちょっと待って、ここにきて初耳な情報がでてきたんだけど。たしかに、ただオフコラボするだけにしては多すぎる荷物だとは思ったけど、私の家に泊まるとは思わないじゃん?
「あ、言ってなかったけ・・・?」
「言ってないです!」
「ま、どちらにせよ。今日は泊めさせてもらっちゃうからねー」
ま、まあ・・・別に嫌というわけでもないし、今回のぷちバズりで佐奈さんに多少なりとも迷惑をかけてしまった可能性もあるわけだし、断りにくいというのもある。
「わ、わかりました・・・!いいですよ!」
「え、ほんとに!」
この反応から察するに佐奈さんは断られると思っていたようだった。
「止まるつもりだったんじゃないんですか?」
「いや、本当に許されるとは思ってなかったからさ」
「ええ・・・」
ということで、ただのオフコラボからお泊りオフコラボへと進化したのであった。
「そういえば想乃ちゃんって、他の同期の子たちとのコラボってどうするの」
「あ・・・」
佐奈さんに突然そんなことを聞かれてしまった。
たしかにそうだ。私は今まで佐奈さんとコラボし続けてきたが、同期は佐奈さんだけじゃない。他にも3人いるのだ。
「同期っていう関係上さ、切っても切り離せないわけで。いつかは全員でコラボする日とかくると思うんだよね」
それもそうだ。いつかコラボする日もくるはず。それだけど、やっぱり怖いのだ。佐奈さん以外の人と接するのは。
「じゃあさ、試しに
咲さんか・・・。
でも、佐奈さんも一緒にコラボしてくれるみたいだし。どちらにせよ、いつかはコラボしなきゃいけなくなるだろうし・・・
「わ、わかりました!近いうちにコラボしてみます・・・!あ、佐奈さんも一緒にお願いしますね・・・」
「わかってるって!」
佐奈さんが一緒にいてくれるんだったら、私はなんだってできるような気がする。
佐奈さんは何か不思議な力でも持っているんじゃないかな。そうも思えてしまう。
「ま、今日は私とのコラボだしさ。すぐにするってわけでもないし、楽しもうよ」
「は、はい!」
「あ、時間もあれなので、そろそろ配信も始めます・・・?」
「ああ、そうだねー。もうちょっとこうしてたかった気持ちもあるけど、本来の目的は配信だもんね」
「そ、それじゃあ準備始めますね・・・」
「あ、じゃあ私は鍋のほうやってくるねー」
そう言いながら私たちは準備を進めるのであった。
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【オフコラボ】またしてもオフコラボです!【#桃の空】
「た、たぶん始まりました!」
「始まったー?」
[きたああああああああああああ]
[突然すぎい]
[うおおおおおおおおおお]
「い、いつもよりも同接数多い気が・・・?」
「まあ、一応ぷちバズりしたわけだしねー」
[たしかに多いかも]
[切り抜きからきました!]
[あれがあったあとにオフコラボって攻めてるなw]
「今日は空乃ちゃんのおうちからお送りしていまーす」
「あ、はい。そうですね」
[まじか!]
[最高]
[きたああああああああああああ]
「で、ここには一つのお鍋があるということで、今日は鍋パをしていきます!」
「あ、あとはゲームとかもしていく予定です」
[おお]
[いいね]
[いいなあ]
「じゃあ、早速お鍋食べていっちゃおうか」
「そうですね・・・!」
[お腹減ってきたー]
[うわあ]
「お、おいしいです!」
「おおー、なら良かったよー」
[桃ちゃんの手作り?]
[うらやま]
「あ、そうだよー。私の手作り。まあ、空乃ちゃんは料理つk」
「ん?なんですか、桃さん」
私は急いで佐奈さんのもとへ飛び掛かり口元を抑えて物理的に喋らせないようにした。さすがに私が料理作れないというのをバラされるわけにはいかなかった。
だって、なんというか・・・一応料理作れないわけじゃないし・・・?
[あれ?]
[ああ・・・]
[つくれないんか]
[意外かも]
「もうムリだよ、空乃ちゃん。料理作れないって視聴者さんにはバレちゃったよ?」
「わ、私は作れないんじゃなくて、作らないんです・・・!」
「おお」
[こんな大声の空乃ちゃん初めて聞いたかも]
[それは作れない人の言い訳やで・・・]
[俺も作れないだけだから一緒やね❤]
「も、もう!桃さんのせいで・・・!」
「あはは」
そう言いながら私はしばらく佐奈さんのことをぽんぽんとパンチし続けるのであった。
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