第12話 話題のゲーム実況②
『な、なんでコイツがカギを持ってるわけ!さっきまで持ってなかったじゃん!』
さっきまでカギを持っていなかった青い化け物がカギを手に持っていた。
「ほ、本当ですね」
[ビビりすぎw]
[ww]
「あ、カギ使ったらこの部屋開きましたよ」
『あ、ああ良かったね!』
[本当に空乃ちゃん落ち着いてるね]
[よかったね]
「じゃあこの部屋に入っていきますね」
『あ、うん。何もないよね・・・?』
そう言いながら部屋の中に入ったが中では結局軽い謎解きというかパズルみたいなものをしただけだったので、ここは割愛しておきます。
「電気が復旧したっぽいけど、どうするんだろう?」
『とりあえず部屋出てみるしかないんじゃない・・・?』
そうして部屋を出てみると、そこにはさっきまでいたはずのあの青い化け物がいなくなっていた。
「あ、いなくなってる」
『そ、空乃ちゃんはよく冷静でいられるね・・・』
「あ、はい」
そんな話をしながら新たに行けるように場所に向かっていくと
『え、なんかあの青いやつの手みたいなの今なかった?』
「あー、たしかにあったような?」
[おお]
[あったね]
ここからしばらくはまた謎解きフェーズだったので割愛するけど、ゲームもある程度進んだところで気づいたことがある。
きっと佐奈さんはホラーゲームが苦手だったんだと思う。
きっと私のために無理して付き合ってくれているんじゃないかな・・・そう思って途中から私はなんだか申し訳ない気持ちになってきた。
こうして扉が開いて新たなエリアに進もうとしたところで、あの青い化け物がでてきた。
『え、くぁwせdrftgyふじこlp;」
「お、おお・・・!」
[びっくりしたw]
[桃ちゃん・・・w]
私も少し驚いてしまったが、佐奈さんに関しては声にならないような悲鳴になっていた。
「え、えっとここから何したらいいんですかね?」
『あ、ああ・・・あのたぶん赤く点滅してるところに行けばいいんじゃないかな・・・』
「じゃあ、行きますね!」
[赤い点滅してるところ行けばいいよ]
[落ち着いた?]
「これ、ダクトの中もなんか迷路みたいになって・・・って正面から来てる?!」
『っ?!』
「わ、わあああああ!」
[怖すぎ]
[悲鳴きたあああああああ]
[今回は空乃ちゃんも結構ビックリしてる]
その瞬間青い化け物に襲われてゲームオーバーとなってしまった。
襲われた際にジャンプスケアが入ったのだが、これに関しては結構びっくりしてしまった。今日このゲームをやってきて一番の悲鳴を出したと思う。
「いやあ、ゲームオーバーになっちゃいましたね・・・」
『・・・』
「あ、あれ桃さん?!」
[まあ、初見殺しか]
[息絶えた?]
[笹川さん!?]
『あ、ああ・・・いや別に平気だよ!・・・うん』
「あ、あの桃さん・・・無理してるんだったら言ってくれたださいね・・・?」
『い、いや・・・無理してなんかな――』
「でも!」
『そ、そうだね。たしかに私はホラーゲームは苦手だけどさ、空乃ちゃんが頑張ってやろうとしてるのを見たら、私も頑張らなきゃなって思ってさ」
「桃さん・・・」
[いい話だな・・・]
[てえてえ]
[あともうちょっとだから頑張って!]
『あ、今コメントにあったけどさ。もうちょっとで終わりみたいだから、あと少し頑張ってみるよ・・・!』
「じゃ、じゃあ行きますよ・・・!」
こうして再び私はゲームを再開させた。
ゲームはこのあと、何回かのゲームオーバーを重ねたものの、何とかクリアまでもっていくことができた。
「何とかクリアしましたね・・・!」
『本当によかったよ・・・』
[おめ]
[マジでよかった!]
「じゃあ、ゲームも終わったことですし、このまま配信も終わりますか・・・」
『あ、じゃあ一応あいさつとかしたほうがいいかな?』
「そうですね――」
『じゃあ、お疲れ様ー!」
「お疲れさまでした・・・!」
[おつ]
[おつかれー]
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配信終わってからしばらくの間、私と佐奈さんはそのまま通話をしていた。
「今日は本当にありがとうございました」
『想乃ちゃん、今日そればっかじゃん・・・いいんだよ、そもそも私が強がっちゃってホラーゲーム苦手って言わなかった私が悪いんだし』
「は、はい・・・」
『それにさ、想乃ちゃん。まだ私と一緒に配信して2回目だけど、初配信と比べたらだいぶ配信慣れしてきたと思うよ』
「そうですかね・・・」
『うん!』
たしかに言われてみれば、今日の配信・・・かなり落ち着いてできたような気がする。
でも、やっぱりそれは佐奈さんと話していることで落ち着くことができているのはあるかもしれないけど・・・
『想乃ちゃんさ、あと私と2,3回配信したら、一回個人配信とかしてみない・・・?』
「え・・・?」
『たぶんこのままいけば、想乃ちゃんもある程度配信に慣れることができると思うんだ。もちろんこのまま私と配信するとかでもいいと思うし、それはそれで私も嬉しいけどさ。それじゃあ、想乃ちゃんのためにならないと思うんだ・・・』
「た、たしかにそうですね・・・」
『でも、もし無理かもってったら、配信の途中で呼んでくれてもいいからさ!そのときは私も想乃ちゃんの配信を見ておくようにするから!』
佐奈さんは私に優しく言ってくれた。
本当にこの人はいったいどこまでお節介さんなんだろうな
そう心の中で私は思うのであった。
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