かわいいひと

22 二人

「…～～っ！」

「大丈夫？」

蒼生が気遣わしげに聞いてくる。

「うぅ…んっ」

丁寧にほぐしてもらったから、もう痛みはない。でも正直、後ろが気持ちいいかと聞かれると、まだよく分からない。それよりも、仰向けで、足を広げている、この姿勢が恥ずかしい。

蒼生は、俺の横にぴったりとくっついて腕枕するみたいに肩を抱き、俺の後ろを丹念にほぐしている。水音…というか感触がものすごくエッチで、更に羞恥心を煽られてしまう。

「～～～っ！」

「力抜いて…」

「うん…ん」

蒼生が俺の額に、チュッとキスする。瞼、頰、唇と、あちこちに繰り返すのは、リラックスさせようとしてくれてるんだと思う。それはすごく嬉しい。

（最初より、敏感には、なってきた、かな…？）

前の方もゆるゆると勃ち上がってきてしまった。

（う、恥ずかし…）

「…何考えてるの？」

「あ…」

蒼生が、指をナカで上下させると、ぐちゅ、ぐちゅっという湿った音がして、ますます羞恥心が膨れ上がってしまう。

その時、蒼生の指が、俺のナカのある部分を掠めた。

「ん…ぁんっ！」

一際高い声が出てしまい、俺は慌てて口を手で押さえた。

（え、何？！今の…）

いきなり沸き上がってきた快感に戸惑う。

（…あ、まさか…？）

「ここ？侑李くん」

蒼生が嬉しそうな、いたずらっこみたいな声をあげ、さっき掠めただけのところに、今度は確実に触れてきた。

「やあんっ！や、そこ、やだ…！」

ぐにぐにとピンポイントで刺激され、俺はとうとう絶えきれずに、高い声を上げてしまった。

「あっ！」

「侑李くんの、イイとこ」

「あ、ん！ふっ…んん！」

必死に声を抑えて耐え、じわりと涙が滲んでしまう。

「やだぁ…蒼生ぃ…」

「！…ごめんね…。けど、俺もそろそろ…」

蒼生のきれいな顔がギラギラしてきたことにも、腰骨のあたりに当たるものが硬くなってきたことにも気付いていた。

「いい…？侑李くん…」

懇願するみたいな蒼生の声に、俺は、小さく頷く。

「う、うん。あ…ん」

指が抜かれ、体勢を変えられる。

俺はうつぶせにされて、ぐいっと腰が持ち上げられた。そこに蒼生が覆い被ってくる。

「…は、入る、かなぁ…？」

「ん、大丈夫だと、思う…。でも、嫌とか、痛いとか、ちゃんと、ね…？」

「う、ん…。…ん、あ、あっ」

さっきまで指で弄られていたところに、指とはまったく違う大きな塊が押しつけられた。それは、ずくっと静かに入ってくる。十分にほぐされたと思ったそこをさらに拡げながら、少し進んでは止まり、ゆっくりと、でも確実に、侵入してくる。

（お、おっきい…！）

「…痛くない？」

「う、ん…あっ…」

俺は頷くこともできず、枕とシーツにしがみついた。

「も、少し…」

蒼生も苦しげな声を出して、ゆっくり腰を進めてくる。

「んん…ううっ！」

「…と、…今は、ここまでかな…」

「は、入った、の？」

「ん。全部は、まだだけど…」

「う、そ…、それ、で？」

さっきまでの指より、もう少し奥まで来てるのが分かるのに。

「ナカ、すごく熱い…。少しこのままいるね…。こっちも、触らせて」

「あ、あうぅっ」

蒼生は俺の前に手を伸ばし、緩く立ち上がったそこを弄り始めた。大きな手で、俺のものをすっぽり包み込み、先端を指でぐりぐりしたり、全体を上下にしごいたりする。ローションのせいか、それとも先走りが溢れているのか…、蒼生の手はスムーズに、滑る。

（気持ちい…！）

「あ、で、出ちゃ…！」

「うん、一回イッとこ…侑李くん」

蒼生のその言葉で達してしまい、俺は蒼生の手の中にびゅるっ、びゅるっと、射精した。俺が出している時に、蒼生も「う…」と少し呻いた。出る時に、後ろを締め付けた感覚があったから、蒼生も苦しかったのかもしれない。

一度イッて、力の抜けた俺の体を支えながら、蒼生が切ない声で、

「動くね…」

と、囁いた。

「…え…あ、あぁっ…！」

がっしりと腰を掴まれる。手は力強かったけど、腰の動きはゆっくりで、俺を気遣ってくれているのが分かった。ナカがずいぶん敏感になっているみたいで、行ったり来たりしている蒼生の形が何となく分かってしまう。

その度に、少しずつ挿入が深くなっていることも。

「ん、んんっ…は、んっ！」

「全部、入ったよ…侑李くん」

「ほ、んと…？」

突き上げられて、少し苦しい。なのに、とてつもない幸福感に包まれる。

俺は顔だけ後ろを向いた。

「あ、蒼生…好き…」

「！…その顔…やば…」

「あ、なんか、…んん、んあんっ！」

後ろの圧迫感が増し、ビクッとなる。蒼生が俺の顎に手をかけ、強引にキスしてくると、前のめりになった弾みで、俺は更に深いところを突き上げられて、キスの途中で喘いだ。

すると、ずるん、と、蒼生が抜けていった。

「あ、やだ…」

急に訪れた喪失感に、寂しさを感じる。

「顔、ちゃんと見てシたい」

「あ？」

再び仰向けにされ、膝の裏をぐいっと押さえつけられ、俺は再び大事なところを晒してしまう。

「やだっ…ああーっ！」

蒼生が容赦なく突き上げるが、一度拡げられている俺の後孔は、二度目はなんなく蒼井を受け入れてしまった。さっきまでのところにすぐに到達して、さらに奥を突いてくる。

蒼生も理性が抑え切れなくなったのか、腰の動きが力強く、速くなる。ぱちゅっ、ぱちゅっと、肌がぶつかる。

「ん、あ！あ！…！あ、蒼生ぃ！ああっ！」

「ゆう、りくん、侑李くん！ああ、出る…！」

ぐぐっと蒼生が強く腰を押し付けてくる。二度、三度とスキン越しでも蒼生の熱を感じる。

俺は、先走りなのか精液なのかわからないものをこぼし続け、ずっと絶頂を味わって、もう訳が分からなくなってしまった。