第4話 も!


 やぁ!俺は田中義人よろしくな!



 ここではヨシトって呼んでくれ!

 まぁ、悲しい事故で死んじまった俺は、ひょんなことから女神に魂を拾われて異世界に転生することになっちまった。



 そういった小説を良く読んでいた俺は驚きはあったが状況を飲み込むのに時間は掛からなかった。

 世界を救うとか大雑把な使命にも本気でやったさ。

 色々あって世界を救い天寿を全うした。


 





 問題はそれから…むしろ、本番はここからだった。



 


 俺は最初の世界を救った功績からあの糞女神に気に入られたらしい。

 ほんとっ…思い返すだけで吐き気がするぜぇ。




 まっ、その結果トータル10にもなる世界へ転生し、全ての世界を救った。

 もちろん簡単だったと言えるものじゃあない何度も死にかけたし何度も限界を越えた。

 一応、俺が完全に心が壊れたり世界を救えずとも女神様的には辛い記憶を消して輪廻に戻してくれるとは聞いていた。






 だけど……言った通り、俺は全ての世界を救った、救ってしまったせいで魂が変質しぼぼ神に近しい存在になってしまったらしい。

 全く、成仏させられないって何だそれ!

 でも…良いこともある。










 それは…………。











 「ヒヤッホォォォォォォォォ!」






 女神から与えられた新しい生!



 しかも今回は使命も何にもないまっさらな転生だ、わざわざ苦しい思いすることもない痛い事もやだ!

 11回目の転生……好き勝手に生きるぞぉぉぉ!!!!






 「待ってろよ俺のスローライフ!気ままに暮らすぜぇ!!!」







 あっ、あと糞女神に一言。



















 「場所指定してねぇからってよぅ!!!?なんで…





 あばばばばばばばばば!!!?

 ふ、風圧が凄いっ!?

 パラシュート無しスカイダイビング!!?





 「ギャァァァ落ちるぅぅぅぅぅう!!!?」





 地面っ!地面が来る!逆に向かって来てる!!?

 あいつぅぅ何、洒落にならん茶目っ気出してんだよぉぉぉぉぉ!!!?




 「クッソババァが!」





 流石に死ぬぞ!?これは死ぬぞ!?

 








 って……魔法使えばええやん。







 「ウィル・ロンド風と踊る!」





 本来なら足裏と地面の間に風の隙間を作って高速移動する移動系の魔法だけど、これを使えば風に乗ってスケートの様に移動できる。

 スイーってね、スイッーて。




 「キンモチぃィィァァ!!!」




 遥か上空から滑るこの感覚ッ!

 まるでスキー!いや、それよりも楽しいかもなぁ!!

 魔力が尽きなければ落ちる心配が無いって精神的にも良い!




 「んっぎもぢぃぃぃぃぃぃぃ!!!」





 自分でもテンションがブチ上がってるのが分かる。

 今だけは勘弁してくれ、嬉しくて嬉しくて…たまらないんだ。






 「お?竜…いや、龍か」




 空を気持ち良く滑ってると綺麗な白龍とエンカウント。

 魔力の感じ的に竜じゃなくて…恐らく龍な筈だ。

 参ったな縄張りだったか?

 プライド高いからなぁ龍って見逃してくれれば良いんだけど。



 よし、ここは挨拶だけしておこう人の言葉は分かる筈だからな。

 一応、声に魔力と意思を乗せて発音しておくか。





 「すまーん!縄張りなら直ぐ出ていくから!じゃ!」

 「…………………!?……。」




 意味は伝わった筈だ…すげぇ見てくるじゃん。

 攻撃してこないとこ見れば見逃されたかな?

 んじゃ!さっさと出て行きますよ〜!




 「そもそもこの魔法、地面を滑る様に移動するだけだから高度上げられないんだよ、AHAHAHAHAHAHAHA☆」






 















 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢








 ズザァァァァァァァァ!





 「到ぉぉぉぉぉ着ぅぅぅぅぅぅぅ!」




 はぁ~着いたぁ〜。

 楽しかったなぁ、機会があったらまたやろう。

 絶対やろう。



 「さてとっ…上から景色は見てたけど…うん!」




 森! 森! 森!



 「テンプレかよボケカス」




 文句言っても何も始まらんか。

 さて、人里なんかには降りないぞ!

 だって面倒臭いからなぁ〜どうせ救う程の危機も無いんだし俺がわざわざ関わる必要は無し!



 そう考えれば人の居なさそうな森の中は好都合か?



 「もしかして…フレイシアの奴そこまで考えて」



 全く、素直じゃ…………………。



 「いや、思い違いだな、ないない、絶対に無い」



 忘れるところだった、あいつ顔とスタイルが良いだけの性格破綻者だったわ。

 


 っと、まずは衣食住を用意しないとな。




 「どれ、あー、あー、テステス」




 白龍にしたように声に魔力と意思を乗せて。




 『もしもーし、俺と遊ばないかー』



 世界が変わっても変わらず居る存在に話し掛ける。

 う~ん…出て来てくれるかな?




 おっ?来たぞー。





 「も!」

 「こんにちは、どうだ?遊ぶか?」 

 「も!?もも!」



 地面から現れたのはクリオネの様な姿に橙色の半透明な姿をもつ……いわゆる精霊、それも地の精霊だ。




 「も!もも!ももも!」

 



 「あっ、はっはっ!そうかそうか…」



 「も~!もももも!も!」



 「ほいほう、うむっ」








 なんつってかわかんねーハッハッハッハッ!




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