第3話 ガチギレ


 「ごめんて」

 「…ぅ…うるざぃ…しね“っ」

 


 フレイシアはベージュのパンツを見られて凄い泣いた。

 


 「普段はもっとセクシーなの履いてるもんな?たまたまベージュだったんだもんな?」

 「……しね”!…ぅ…しね“ぇ!!!」

 



 参ったなフォローしても駄目だこりゃ。




 「ぅぅ……なんで…初めてがっ…こいつなのよ”!?」

 



 めっちゃ乙女じゃん…。

 その言い方、初めては好きな人パターンじゃん。




 「元気出せって…えっと、ほら!ベージュも好きな奴居ると思うし。それにペチャパイでも良いって言ってくれる誰かが居るかも知れないだろ?」

 「今ぁ!ペチャパイ関係ぇあんのかテメェ!?」

 「ぶぎぃ!?しまっ、首締まっ!?」



 

 胸倉を掴むとかじゃない!?

 首をがっちり両手で絞めてきやがった!!?

 ぐるじぃ!?本気で締めでるぅ!?



 「ご、ごえんっ!ほんほにごえんって!?」

 「なんつってんのか分かんねぇよ!クソが!」



 キャラが全く違ってるじゃんか!?




 「このっ…よぐも、よぐもぅぅぅぅ!」

 「かはっ、いや…ちょっ」




 首から手を放したと思えば今度は腕を振り上げる。

 し、仕方ない…ここは取り敢えず一発受けて。



 「オラァ!」


 ゴッ!


 「たはぁ!?」



 顔面の真正面殴りやがったっ…。

 ま、まぁ…これで落ち着い



 「忘れろ!記憶から消し去れぇぇ!!?」

 「あっ待っ」



 肩を掴まれ、そのまま引き寄せたと同時に容赦のない膝蹴りが鳩尾に刺さる。



 ドグッ!!!



 「こっ…!?」



 に、2発目だっ…と!?

 こ…呼吸が…っ…。




 「ぬぅぅぅ!」

 「…だ、駄目だって…フレイシア馬乗りはっ」

 「死ね!」

 


 ガッ!



 「ぎゃ!?」



 ゴッ!



 「ま、待てっ」



 ゴズッ!



 「は、はなしをしよう」



 ゴン!




 






 それから…フレイシアは怒りが収まるまで俺の顔を殴り続けた。







 死ぬかと思った。












 ゴッガッガッガッゴッガッゴッゴッゴッガッガッゴッガッゴッゴッガッゴッガッゴッゴッゴッゴッガッゴッガッガッゴッガッゴッゴッガッゴッゴッガッガッゴッガッガッガッガッガッゴッゴッガッゴッガッガッゴッゴッガッガッゴッゴッゴッガッガッガッガッガッゴッゴッゴッゴッゴッガッガッガッガッガッガッガッガッゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴッガッガッガッガッガッガッガッゴッゴッゴッゴッゴッガッゴッガッガッゴッガッゴッガッガッガッガッガッゴッガッガッガッガッガッ!








 本当に……死ぬかと思った。





















 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






 「すぅ、はぁ〜、あースッキリしたっ」


 

 「……ぁ…………ぅ………………あ、……………ぅ……」






 肌がツヤツヤになった気がするフレイシアが、ようやく俺を解放してくれた。

 良かった生きてる…死にかけてるけど。




 「たまには運動も良いわね。それに死なないと分かってたけど、あれだけ私に叩かれて魂が少しも消滅してないんだものやっぱり神に成ってるわね」




 叩く?あの憎しみの籠もった拳で殴ったのを叩くと表現しましたか?

 



 「…痛っ…クソっ散々殴りやがって」

 「そう言う割には回復が早いじゃない?」

 「あっ、ほんとだ」



 もう痛みも引いてきたな。




 「一応、これでさっきの事はチャラにしてあげるわ」

 「うぃ」




 俺もご年配の女性のスカートを捲るのはどうかしてたよ、反省。



 「……………。」

 「なんだよ睨むなよ」

 「わからないけど…イラッとしたのよね」



 ……勘の良い女神だぜ。



 「まぁ良いでしょう」

 「はぁ……俺は永遠に扱き使われるのか」

 「何よ?嫌なの?」

 「もう少し胸がデカければなぁ…」

 「え?ナニ、ナンテイッタノ?」



 な、ナンデモナイヨ。

 しまった、話題を逸らさねばっ。





 「で?実際に世界の管理って何をするんだ?」

 「あら?やる気出たの」

 「やるしか無いんだろ?もう慣れたよお前の無茶振りは」

 「ふふっ、流石っ!それでこそ英雄ね」




 褒めんなよ、照れるだろうが(*´ω`*)




 「まぁ、やる気を出して貰った所で申し訳ないのだけど」

 「ん~?」

 




 「正直、一万年位はやる事無いのよね」

 「……………………………………………は?」

 「そこまで急ぐ用事も無いし」

 「本当に?」

 「疑うのも勝手だけど。私が介入する様なトラブルは既に解決してるのよ?」



 ……………………?




 「はぁ、変に鈍いわよねヨシト」

 「え、俺?」

 「私が、というより…あんたが解決したでしょ?それも10回も」




 あ~そう言う事ね。

 確かに言われてみれば俺が救って来た世界自体がフレイシアにとっては急を要する事態だったって事か。




 「納得した、じゃあ…どうする?一万年、雑談でもしてるか?」

 「私は別に良いけど」

 「ごめんなさい、やっぱり無しで」



 気が狂うわ。



 「そっ、じゃあ…別にご褒美をあげるわ」

 「………………。」

 「ちょっと警戒しないでよ」

 「そこの信用は無いぞ」

 「ふ~ん、そんな事言って良いんだ」



 その得意げな顔腹立つな。

 


 「ヨシト…貴方は10の世界を救いました」

 

 「え、急に女神感出すじゃん」


 「黙って聞け」


 


  あ、はい。






 「私は貴方を選んで良かったと心から思います…そして、世界を救った英雄に私から祝福を」




 久し振りだな…この感じ。

 フレイシアと初めて会った時を思い出す、というか…俺が接しているフレイシアという女神は…彼女に取っての1つの側面じゃ無いかと思う。



 それ程、フレイシアの纏う雰囲気が変わるんだ。




 「英雄よ、貴方に11回目の転生を…そして、その世界では貴方の思うままに生きて欲しい」























 思うままに…ってのは?



 「その世界では貴方に使命はありません…自由に生きて下さい」



 は、ははっ…それは…願っても無い。




 「ほ、本当に!?」


 「本当です…」


 「誰か倒さないといけない奴とか」


 「居ません、もっとも…貴方がそう判断した場合は違いますが…」


 「地平線を埋め尽くす程の魔物とナイフ一本で戦ったり」


 「大丈夫です…」


 「じゃ、じゃあ!」


 「大丈夫って言ってるんだけど?」




 あ、はい…すいません。




 「じゃ、向こうに送るわね」

 「急だな」

 「転生だけど…どうする?赤ん坊からやるなら良い家の産まれに出来るけど」

 「いや、成長した姿で頼む」

 「容姿は」

 「イケメンで…そうだな我が息子も立派なモノを付けて…」




 「はい、行ってらっしゃい」


 「ちょっ!?待っ」




 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇































 「ふぅ…疲れたわね」










 「ヨシトって面白いのよね。見てて飽きないって言うか…………ふふっ、11度目の転生はどんな感じになるかしら?」





 「ねぇ、?」





 「わざわざ、そちらの次元に繋げてあげたんだから…………特別に見せてあげるわ、見物客は多い方が盛り上がるでしょう?」







  楽しみましょう…彼が、どの様に生きるのか。




 















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