第3話 It must have been love

 子供の時に近所に沢山の同級生がいた。

 子供が多かった時代だ。

 そう言えばミイちゃんと呼ばれる子がいた。


 アルバムの写真を覚えている。

 僕と保育園が一緒だった。

 髪の毛が長くて非常に可愛らしい子だった。


 低学年の時は他県に住んでいたようだ。

 5年生の時に再び転校して戻ってくると、可愛い子が来たと学校中で噂になった。


 僕は噂をするやつらを見て、こう思った。

(僕は、彼女を小さい頃から知っていたんだぞ)

 ライバル心と恋心が芽生えたのだ。


 彼女を含めて近所には7人以上の同級生がいてよく一緒に遊んだ。覚えていることは沢山ある。


 サッカーで彼女がキックしたボールが自分の腹に当たったこと。痛かったけどうれしかった?


 彼女の家にみんなで遊びに行って、寝室まで入って怒らせたこと。怒った顔がまた可愛いんだ。


 僕の弟が彼女にちょっかいを出すのを、妬んでいたこと。弟の分際で。


 おつかい?で僕の家に彼女が何度か来たこと。


 僕は彼女をあまりにも好きすぎて、いつも素っ気ない態度を取っていた。


 中学一年生の時には同じクラスになった。

 炊事遠足の写真が残っている。

 彼女はバレーボール部で、髪は短かった。

 恋焦がれる想いはより強くなっていった。


 中2か中3の時、また彼女は2名の女友達とともに引っ越すことになった。

 彼女達の親はみな同じ会社だったと思われる。

 何を思ったか僕は3人に手紙を書いた。


 後日、意中の彼女から返信が来た。

 冒頭に『〇〇(僕の名前)とはさ、あんまり仲は良く無かったね』と書かれていた。

 そこから先の文は覚えていない。その一文が僕に強い後悔の念を刻んだからだ。

(どうしてもっと仲良くできなかったのだろう)

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