作品紹介 02 異能さん、いらっしゃい! 作者 りの様
【ストーリーと見所】
天地開闢(スキルマーケット)と呼ばれるサイトにアクセスし、それによって異能の力を手に入れた人々の生き様を描いたオムニバス形式の小説。
短編の物語が連続しているようなお話で、最初の二話はそこにアクセスして異能を手に入れ、それによって人生を好転させようとするのだが当然その力には何の代償もないわけもなく……的な異能をテーマにしたちょっと暗めな現代ファンタジー(?)小説。
異能の名前とは裏腹にバトルなどの派手な要素はないが、その分異能を手に入れた人間の暴走や葛藤、そして逃れられない人間の嫌な部分などを余すことなく書き出してくれている。
早い話がせぇるすまん的なあれ。
最初の二話はそんな感じの短編が続き、そこからはメインとなる「能力を与える側」の人物達のバックボーンに触れていく。
ストーリーの最新話はその辺りで終わっているのでここからどうなっていくのかはわからないが、少し暗めのお話や絶妙な後味の悪さを持ったビターな小説を求める人には是非お勧め。
【個人的に気に入った点】
まず能力の名前がいい。
天地開闢(スキルマーケット)、相互補完(クラウド)などとても厨二心をくすぐる。
まあそれはあくまでも表面的な理由で、実際のところ読んでみるとそれらの名前は上手く異能の力を表しているなと感心させられた点が一つあげられる。
またそれ以外にも単純にお話の雰囲気が好み。特に個人的に推したいのは二話の「寄生事実」。読み終わったときに何とも言えない感情にさせられるので、とてもよかった。
三話以降でストーリーの空気は多少変わり、物語のメインキャラクター達にスポットが当たっていく。
個人的には二話までの話が特に気に入っていたので少し驚いたが、こちらもこちらでなかなかに読み応えがあるものとなっている。
文章の作りがあっさりしていて読みやすく、絶妙な苦味を醸し出してくれるとてもいい小説。
【こんな人にお勧め】
単純にビターなお話が好きな人。
特に自業自得な話や、登場人物が不幸になるのが好きな人にはお勧めできる。
三話以降のメインキャラクター達にも内心ではなかなかに複雑な事情を抱えており、それらが今後どう絡み合っていくのかも実に興味をそそられる。
今後二話までと同じように短編のようになっていくのか、それともメインキャラクター達に話が移っていくのかはわからないが、どちらにしても続きが楽しみな作品。
※直接的ではないが性的なあれこれが多々あるので、苦手な人は注意。
【本編URL】
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