第4話

「ねぇねぇ、あのね、今日あやちゃんが、何かいい事あったの?だって。

でもあなたのこと、言えないし…。」


「やっぱ秘密の推しは蜜の味。

推し活、最高ー!!」


…何だよ夢じゃなかったのか。


俺は、どうも彼女の机の上に飾られたらしい。こうして勉強の合間に、話し掛けてくる。

それにしても、よく喋るな。

あやちゃんって仲の良い友達なのか。

それより、俺は今後どうなるんだ?


アクスタ人生が安全なのかが心配マックスで、脳みそがグルグル回る。

あ、アクスタだし脳なんて無いか。


まぁ、元々薄っぺらい奴、って周りの奴らに言われていたよ。

そういや、良く見ると可愛い子だな。俺に優しいし、結構好きかも…。


こういう所が、けーはくなんだよな。俺って。

だから神様も意地悪したのか。


こんな俺に良い所なんて、あるのだろうか?

そんなペラい脳で悩める俺に、彼女は容赦なく話し掛ける。


「ねぇ、本当にカッコいい。何でそんなに美しいの。あなたを尊敬してる。大好きだよ。」


そう言って優しく頬を撫でられた。

俺は、こんな風に、誰かから褒められたかったのかもしれない。


只々、丸ごと認められたかった。


…かーちゃんの顔が一瞬過った。


今度は彼女は、俺の右手と左手に、チュッチュッと触れるようなキスをした。


俺は、小さな充足感を抱き締めた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る