第40話 敏腕刑事

 警察署についた三人は、小さな会議室に通された。

 八畳ほどのスペースには簡素な机と椅子の他に、雑多な機材とパソコンが置かれている。

 三人が立ったまま待っていると、すぐに一人の男が入ってきた。

 五十代半ばの細身の男性だ。

「今朝から随分と慌ただしいですね。車は見つかったんでしょう?」

「ああ。その事で来た。周辺の監視カメラを調べさせてほしい」

 挨拶もせず、幸子が要件だけを述べた。

「分かりました。一応、パスワードは見ないでくださいね」

 男は席に座ると、あらかじめ起動させてあったパソコンに暗証番号を入れて監視カメラにアクセスする。

「あの車が県道に入ったのが今日の午前五時過ぎです。そのままあそこまで止まらずに移動しています」

 幸子達が来る事を見越していたようで、手際よく映像を見せる。

「その前後の車が誰の物か調べられるかい?」

 間をおいてカメラの前を通過していく車を見ながら、幸子が問う。

「調べておきました。一台は市内の会社に向かっています。いつもより早いですが、毎日通るものです」

 白い乗用車を写しながら説明される。

「残りの二台はどちらも高速に乗りました。トラックの方は埼玉県の運送会社のものです。ハイエースはレンタカーでした」

 あまりの手際の良さに、幸子と美陽が顔を見合わせえる。

「他に調べたい事はありますか?」

 二人を見上げて問う男に、幸子は満足げに頷いた。

「ありがとう。ハイエースの行方を追ってほしい」

「分かりました」

 それも予想していたのか、画面が切り替わると関越道を走るハイエースが写る。

 幸子はスマートフォンを取り出すと、宗明に電話をかけた。

 程なくして彼の声が聞こえる。

「華を乗せたと思われる車が都内を走ってる。これから追うよ」

「お願いします」

 返事を聞くとすぐに通話を切り、二人を促して足早に部屋を出る。

 男はその背を見送ってから、モニターに視線を戻した。

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