第3話

「じゃあ、アンケートの対価に何か下さい。」

上級生に対して、その不尊な態度はどうかと思うけれど、自分が優位と見てか、ふてぶてしい、翠。こんな時に何だが、商魂逞しい彼女に、ちょっとだけ、ムラムラする。早く二人きりになってキスがしたい。

そんな私の感情を無視して時間は巡る。

「何が欲しい?お金?数千万なら出すけど?」

凛とした琥珀先輩が、とんんでも無い事を言い出す。

「お金には困ってません。琥珀先輩と、珊瑚先輩の本気度を見せて下さい。」

それは、私も気になる。アンケートを望んでいる気持ちは分からない訳では無いのだけれど。

「じゃあ、ここでキスしたら、証明になる?」

「惜しい、もう一声欲しい。」

何の交渉してるの?翠。早く二人きりになろうよ・・・

「じゃあ、皆んなの前でキスしたら良い?」これは珊瑚先輩の声。意外と萌え声。改めて彼女達を見ると、体格差に気付く。まるで絵本から出てきた、王子様とお姫様のようだ。

「ハンマープライス!出来ればお姫様抱っこしながら、皆んなの前でキスして下さい。」


ーーー数分後


「キャー」とか「わー」とか騒ぎ声が木霊する。


本当に皆んなの前でキスしちゃった。どうなるの、この二人?どうか先生には見つかりませんよ

様に・・・


「ほら、お望みのままに、キスしたよ。アンケートお願いね。」

と琥珀先輩、本当に覚悟決めてるんだな。それに比べて、私達は、友達以上、恋人未満の関係を、未だ出る事は出来ていない。折角ネコとタチが決まったのに、早く関係性を深めたいのに・・・



「しょうが有りません。僭越ながら、今の経過をお教えしましょう。」


「えっ、もうアンケート出してたの?」と驚く、琥珀先輩と珊瑚先輩。


「もう1000名程、アンケートに答えてくれていますが、是々非々な経過ですね。」


「やっぱり女の子同士で子供を持つつのは難しいのかなぁ?」


このアンケートは、よくよく考えたら、私達の将来にも関係しているのでは無いか?と、ふと思う。


「アンケートの期限は一週間有りますので、そんなに肩を落とさないで下さい。先輩のおニ方。折角一年暖めた、百合系のアカウントですので。」

えへん、とした不尊な態度で翠は言う。

「じゃあ一週間後を楽しみにしてるよ。っと言うか、どう言う内容のアンケートなの?」と琥珀先輩。


「気になりますか?気になりますか?ではお見せしましょう。」翠は意気揚々とスマホを差し出す。


また、「蒼と翠」のタグ使ってるー!っていうか、私達が結婚して子供欲しがってる形になってるー!


「プライバシーを考慮しただけじゃん。良いじゃん、ねぇ、先輩のお二方」と翠。私の気持ち〜〜!


「私達はどっちでも良いよ。でもさ、レズビアンの人達も皆んな気にしてるアンケートだと思うんだ。絶対参考になるよ。」


私こと蒼は、天を仰ぎ見て嘆く。もうどうにでもなれ。


これから、まだまだ続くよ私達の夏は・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る