第12話 答え
僕はどうすればいい。
僕はどうしたらいい。
何が正解で、何が間違いなのか、何にも分からない。
僕のせいで楓に酷いことが起きているに違いない。
だから、学校にも来れなくなって連絡も取れないんだ。
どうしたらいいんだ。
学校に来たものの、授業の内容なんて頭に入るわけもなく、机に向かい自問自答をひたすら繰り返していた。
「おーい!優斗!…ねぇ!聞こえてる?優斗!!」
痺れを切らしたのか、麻衣が僕の肩を叩く。
「あっ。何?ごめん。考え事してて…」
「顔色悪いし、なんか辛そうだよ?大丈夫?」
麻衣はそう言って僕を心配してくれている。
こんなにどうしようもない人間でも麻衣は味方になってくれる。
僕は麻衣の顔を見ると、いつの間にか起きた出来事や僕の心の内を話していた。
「なにそれ。そんなことがあったんだ。」
「…」
「大変だったね。でも!優斗のせいじゃないでしょ!!もー!心配症なんだから!!」
きっと僕を元気づけるために、いつもの調子を装っているんだろう。
それは分かっている。
麻衣も楓が心配で堪らないはずだ。
でも僕は焦りや不安から、その優しさを踏み躙ってしまった。
「心配症…?なにが分かるんだよ。麻衣に俺の気持ちなんて分かるわけないだろ!!」
抑えが効かなくなっているのを感じる。
このままでは何もかもを失う、そんな気がした。
「ごめん。私、優斗が心配でさ…」
「いや…ごめん。帰るわ」
「優斗…!」
「大丈夫だから」
僕は自分に腹が立って仕方がなかった。
情けなかった。
心の中では麻衣に対して「ごめん。」をひたすら繰り返していた。
頭の中を思考がグルグル廻る。
目眩にも良く似た感覚で気持ち悪い。
吐きそうだ。
「おい!まだ下校時間じゃないぞ!!教室に戻りなさい!」
先生が僕の目の前に立ちはだかった。
「…」
僕は無言で先生を見返す。
「お、おまえ…だ、大丈夫か?」
先生は僕の目を見るとたじろぎ、生唾を飲むとまるで石のように硬直していた。
通学路を家に向かって歩いていく。
地に足がついていないというのはこういう感覚なのか、生きた心地がしない。
そして、家に帰って洗面台で顔を洗う。
鏡を覗くとそこにはまるで悪魔のように冷徹な目をした僕がいた。
「なんだ。」
プツっと何かが切れる音がした。
その瞬間、湧き上がっていた感情や思考は鎮まり、ヤケに冷静な僕がいた。
「そうか。そうなんだ。わかったよ。」
僕は頭や心を駆け巡る感情や思考の中、一つの答えに辿り着いたんだ。
——楓、今行くよ。
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