第2話

「三日月さん?」

「?何?ヒカル」


繁華街で三日月と大兼ヒカル2人が並びながら人混みをかき分けながら歩いていた


「尾行されてますよ?どうします?殺します?」

「こんな大勢が見てる所でそーいう物騒な事はダーメ」


三日月達から少し離れた所に5人ほどの集団が一定の距離を保ちつつ移動している


「でも…このままでは…」

「大丈夫だよ、僕に任せておいて、ヒカルは…そうだなそこの店の前にいてよ、適当にスマホでもいじってて」

そう言うと三日月が消えた

集団の真ん中に三日月が煙にように現れ2人の肩を掴むとまた消え3人が狼狽えて居るとまた三日月が現れた

「この!2人をどこに!」

「さぁ?そんなに知りたきゃ同じ場所に連れてってあげるよ」

夜でもサングラスを着用している三日月は薄ら笑いを浮かべながら残った3人のうち2人を掴みそのまままた消えた


「くそ!」

1人がどこかに連絡しようとしたら三日月がまた現れ

「飼い犬ちゃんが飼い主さんに電話かな?」


「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」


ドスン!


グチャ!


ドスッ!


ベチャッ!


近くのビルから叫び声を上げながら男4人がが転落してきたのは先程三日月と共に消えた尾行していた連中だった



「きゃーーーー!」

「おい!人が落ちてきたぞ!」

「きゅ!きゅ!救急車!」


辺りは騒然とし転落してきた男達をスマホで写真を撮る者達も


「お、お前が………」

「そう、僕がやった」

そう言いまた三日月が男と共に消えヒカルのいる場所に、そのままヒカルを触り消え今度はどこかのビル屋上へ、しかし三日月も男も転落防止柵の奥、3人は強風が吹けば転落する位置に

そして三日月は男の胸倉を掴み問うた


「さてさて、君たちの部署はどこかな?」

「………」

「お、黙りか…んじゃ質問を変えよう、僕達を尾行する理由は?」

「………」

「一応聞いておくけどさ?さっき落ちてきたサルの死体は見た?君も…そうなるよ?いい?」

「やるんなら殺れ、この化物共!」

「…酷いなぁ…化け物か…寄って集って僕らを痛めつけようとする君達も僕らからしたら化物に見えるけどね、んじゃ化物らしくさせてもらおうか」

三日月は男を引き寄せ羽交い締めのようになりそのまま男の後頭部を鷲掴みにしてそのまま男を押し倒すように飛び降りた

「お前も無事じゃすまないぞ!」

「ご心配なく…後3秒くらいかな」

男の目の前には迫り来る地面

「た、助け…!」

男がその言葉を吐く前に気がつくと自分が落ちる前にいた屋上に戻っていた

「…何が起き…」

「僕の能力だよ、瞬間移動ってやつ、さて君は何回心を壊したら何か教えてくれるかな…ヒカルー?行きたい場所ある?」

「どこかなぁ…あ!私綺麗な海が見たいです!」

「おぉ!いいね、じゃあ…」

そう言い三日月はヒカルと男を連れ今度はどこかの海の岩場へ

「わー!綺麗!」

「ここの海と星空はとても綺麗でねぇ…さ!さっさと済ませたいからさ、さっさと知ってる事喋ってよ」

「こ…この!化物達がぁ!」


グサッ!…クチュ…


男が懐に手をいれた瞬間ヒカルが後ろから男の脇腹を刃物で突き刺した


「ギャ!」

「三日月さんに何する気だ?てめぇ?」

「ヒカル、ありがとね」

ヒカルは刃物を抜き今度は男太ももを刺した

「殺すんなら殺せよ…何も喋らん!ヴヴッ…」

男が口を開く度、ヒカルが刃物を男につきさすと男は呻き声を上げる

「ねぇ?知ってる?人間て簡単に死なないんだよ?三日月さんちょっと離れてください」

「僕の事は気にしないでいいよ」

「ダメです!汚い物が三日月さんにかかるなんて考えられないから!」

ヒカルは半ば強引に三日月と男を離し男の右目に右手親指の尖ったネイルを突き刺しそのまま眼球を引き抜いた


「ぎゃーー!」

男は目を抑えながら蹲る


「楽しいぃ!…簡単に壊れないでね…今度は…どこにしようかなぁ、もう1回やりたいなぁ」

「なら治してあげなよ、ここなら誰も来ないし大丈夫、この人丈夫そうだから」

「はーい」

ヒカルが両手の人差し指と親指を使い蹲る男を両手の画角に捉えると男の傷がみるみると治っていった


「こ、これ…」


「これがヒカルの能力だよ、君が死なない限り何度でもやれるんだ。…だから簡単に殺さないよ、僕が知りたい事を喋ってくれたらこの無限回廊から出してあげるね…それまで君はヒカルの玩具だよ〜」

そう三日月が男の顔面を鷲掴みにすると


「こ、この…化物どもめぇぇぇぇ!ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」


誰にも届かない男の断末魔が夜の岩場に響き渡った



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「君達クルマもなかったの?」

後部座席に座った笹貫がスマホを確認した後にヤレヤレと言った感じで助手席の戸川に言った

「アタシ達は捜査権ないんでね、クルマも分け与えられないの」

「戸川さん、もう着きます」

運転席の加藤が戸川にそう伝えた


北区青橋のアパート

第一の被害者宅だ

まだ昼前なので閑静な住宅街は人影があまりなく宅配便業者や食事配達の自転車がチラホラ見えるくらいだった

大家が101なので鍵を借り2階へ

「206か…」

戸川がため息混じり言い

戸川、加藤、笹貫の順でアパートの階段を上がり角部屋の206へ

「笹貫さん、入るよ」

「僕は何も知らない程だからさ、確認なんかしなくていいよ」

加藤が鍵を開け中に入ると206は現場検証も終わりハウスクリーニングも済んだ部屋となっていた

「戸川さん、やっぱりこれじゃあ…」

「加藤?写真通りに被害者の位置にいって」

「うっす」

加藤が被害者男性が横たわっていた場所と同じ所に横たわった

「どう思う?」

「…いや…これだけじゃ何とも…」

加藤の隣に戸川も横たわった、女の被害者役なのだろう

「2人は近くにいた…そして何者かに内蔵を内側から破壊…」

「内側から破壊?!」

笹貫が驚いたようだ

「えぇ、検死と現場写真を見ると被害者は2人とも体の内側…内臓…おそらく心臓付近の血管が破裂してそれが体を破ったんだ」

「でも戸川さん、検死報告を見ると苦しんだ様子がなかったですよ?瞬間的じゃなければ…仮に血液を増幅させたか心臓のポンプのスピードを上げてそうしたなら全身に血が多く行き渡るので何かしら症状が…」

「さすが加藤、そう、2人とも一瞬でやられてるように見える」

「ちょっと!僕にも分かるように説明してくれないかな?!」

笹貫が割って入るが戸川は無視した

「でもどうやって…変な話誰かが近寄れば警戒するでしょう?でも現場には争った痕跡が無かった。ということは…2人とも無警戒の相手に…」

「それか…警戒に値しない相手…?」

「はぁ…もう2人で好きにしなよ…」

笹貫が今日何度目かのため息を吐き部屋を出ると派手目の格好した女が204号室の鍵を開けていた

「あ、すみません、私こういうの者でして」

笹貫が警察手帳を見せると204号室の住人と思われる女性はうんざりした様子でそれを隠そうともせずにつっけんどんに受け答えをした

「もう何?!アンタらに散々答えてやったじゃん!!いい加減にしろよ!」

「お疲れの所申し訳ないです…担当が違うので、繰り返しの質問になっ…」

「繰り返しっつってわかってんなら聞くんじゃねぇよ!答えも一緒じゃんか?!」

「すみません…ご協力をお願いします」

笹貫が頭を下げるも相手の怒りは止まらない

「どうせこの前のことだろ?知らねぇよ!アタシあん時仕事でいなかったんだ!もういいでしょ?!」

「本当に何でもいいんです!何か変わった事や見聞きした事をお教え願えませんか?」

そのやり取りを聞いていた戸川、加藤も206の玄関に来た

「笹貫さん、もう…」

加藤が制止すると

「昨日来た探偵さんの方がよっぽど協力する気になるよ!ちゃんと謝礼もくれたし!アンタら何もしないじゃないか!人の時間使って!」

「探偵?」

笹貫が頭を上げて聞き直した

「あぁ、物腰柔らかくてとても丁寧だったよ。手土産も持ってきてくれたしね!アンタらとは大違い!」

「その探偵さんはどこの興信所でどのような方ですか?」

「あぁん?名刺は貰ってないよ、アンタらと同じあの事件の事を聞きに来たよ、あの日の事をあのロクデナシ男の事を話したわ」

「なんでロクデナシってわかんの?」

戸川が話に入ってきた

「あんなん…昼から酒、パチンコ、連れ込んで住み着いた女の連れ子を人前で叩いたりしてたし」

「女の子?」

戸川が反応

「あぁ小学生か中学生かとにかくガキだよ、いつも泣いてたな、親に追い出された時あんまりにも可哀想だったからウチに入れてやったよ…でも居なくなったんだろ?もう答えた!いい加減にしてよ…もぅ…手土産くれた探偵さんの方が話が通じて楽だったな!ホントに!お前らお巡りと大違いだわ!」

女がドアを強引に開け中に入ろうとすると加藤がドアを抑えた

「てめぇ!何してんだよ!お巡りは何でもやっていいのか?」

「すみません!最後に1つだけ!その探偵ってどんな人でした?!特徴というか…」

「背がでかいサングラス掛けた男と銀髪の女だよ!」


バタン!カチャカチャ…


女は力一杯ドアを閉めて鍵をかけた


「何で加藤君はそんなに探偵が気になったの?」

「いや…その…」

加藤は戸川をチラチラ見ながら口ごもると戸川が口を開いた

「…三日月…」

「三日月…?君らは誰のこと言ってるのさ?全然話が見えないよ」

「笹貫さん、ここの住人って被害者2人じゃなかったの?」

「報告書には記載されて無かったですね」

「はぁ?んなわけ…」

「…ありえるか…警察内部の誰かが隠した…か」

戸川は笹貫を睨みながら言った

「いやいやいや!僕はそんな事しないよ!陣頭指揮をしてたけどその子供の事は報告は上がって来なかったよ!」

笹貫は全力で否定したいのかややオーバーリアクションで応えた

「とりあえずクルマ戻りません?人も見てますし…」

加藤の一言で3人はクルマに戻り戸川が助手席から尋ねた

「笹貫さん…付近の防犯カメラ映像とか集められますか?」

「それくらいなら僕の手帳見せて付近を虱潰しにすれば集まるんじゃないかな?てかさっき出た三日月って誰なの?」

「高津事件の黒幕…」

「余計な事言うな!加藤!」

「一緒に行動してる以上隠せないでしょうよ?!」

「だからって!あの男の事は…!!」

「俺達2人じゃ手詰まりでしょうよ?!捜査権無いんだから!だったら笹貫さんの捜査権だけでも使わせて…」

「さらっと失礼な事言うね、加藤君は」

「あ…」

「アッハハハ、いいよいいよ、事件の真相が分かるなら僕を上手く使うといいよ、でも三日月って男の事は知っておきたいな」

笹貫が笑いながら言い放ったが目が笑って無かった

戸川は加藤にアイコンタクトをし窓の方に顔を伏せると加藤が口を開いた

「え?俺?戸川さんの方が…」


ビシッ!


戸川が加藤の肩を殴った


「痛!運転中にやめてくださいよ!笹貫さん…俺の知ってる事だけで良ければ話ます」

「戸川君に聞きたいんだけど…」

笹貫は相変わらず口元は緩んでいるが目は真剣だった

「俺にも教えてくれないんですよ!!この人!」

加藤が一瞬戸川の方を睨むが戸川は寝たフリをした

「全くこの人は…俺が知ってるのは…」

加藤が口を開くと笹貫の端末に着信

「…ん?ウチの部下だ、出てもいいかい?」

「どうぞ」

「はい笹貫…え?男性4人が転落死?!帳場は?……分かった…戻るよ」

「事件ですか?」

加藤がミラー越しに尋ねた

「そうみたい、神座町のビルから男性4人が続けて転落死したみたいだ。帳場が神座警察署に立つみたい、僕はそっちに行かないといけない、加藤君、申し訳ないけど…」

寝たフリの戸川が

「アタシ達も捜査本部に入れて」

「今回のと関連あるの?」

「現場や報告を聞かないとなんとも言えないよ、アタシからは」

「オーケィ、まぁいいよ、とりあえず捜査本部においで。その代わり三日月って男の事を教えて欲しいな」

「じゃあ神座警察署に向かいますね…俺の知ってる事だけですが向かう途中に話ます」

そう言い加藤は神座警察署にクルマを走らせた



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