第32話 おわかれ

『ちょっと変わった大工の日常』の第20話で触れていたお祖母ちゃんと、去る六月に、遂に永遠の別れとなりました。


 昭和2年生まれの、享年98歳。


 自宅で私の父と母、叔母に見守られながらの旅立ちでした。


 在宅で看取ることを提案してくださり、遠いところを何度も往診してくださっていた、かかりつけ医のお医者様には最大限の感謝を。



 去年3週間入院した時に、一気に痴呆が進んでしまっていたのですが、旅立つ二週間前からは不思議なことに意識も記憶もはっきりしていたそうです。


 お陰でお祖母ちゃん自身の妹や娘達、孫達としっかりと話ができたそうです。神様か仏様かはわかりませんが、なんとも粋な計らいだと感じました。


 こんな事を言ってしまっては冷たい奴だと思われてしまいそうですが・・・自然の摂理には逆らえないですし、なんと言っても百歳が間近の大往生でしたので、寂しくはありますが、さほど悲しくはありませんでした。


 お医者様には老衰でいつお迎えがきてもおかしくないと言われていましたし、亡くなる一週間前に死の兆候が現れてお医者様に後一週間です、と宣告されましたので心の準備も出来ていたのも良かった? のでしょう。


 順番ですので仕方が無いというのが、偽らざる本心ですね。



 とカッコつけていましたが、出棺の挨拶(私が受け持ちました)の時には涙が溢れて言葉が詰まってろくに挨拶できませんでした・・・



 火葬場からの帰りのバスで、骨壺を抱きながら初めて家族に今ネットで小説を書いているんだよ、と話をしました。心の中での一方的な語りかけですが。


 きっと話を聞かせても現代的過ぎておばあちゃんにはちんぷんかんぷんだった事でしょう。


 話をすると大分スッキリしました。




 さて、この時の気持ちも自分自身の表現に活かせると良いな、と今は思っております。


 ドライな様で湿っぽく、ウェットな様で乾いた心の中の垂れ流しに、最後までお付き合い頂きましてありがとうございます。



 

 ――――――――――――――――――――――――――――


 お祖母ちゃんの初彼岸によせて。


 ネガティブな話題で申し訳ありませんでした。


 別段落ち込んでいる訳では御座いませんので、特別な返信は不要でございます。 

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