第23話 気持ちの問題 (家造り裏話)

 前話に続いて『建方たてかた専門の大工さん』と『今までの大工さん』どちらの大工さんが悪いというのではなく「『分業制』になってしまった為に新築住宅に対する思い入れがなくなる」という自然発生する気持ちの問題について考えてみましょう。


 ずばり言いますと『建方専門の大工さん』の方は、もはやどうしようもないと思います。利用する全てのお客さんがそのハウスメーカーや工務店にクレームをいれる等、特殊な現象でも起きない限りこの流れは変わらないのかなと思います。


 そのシステムを取り入れた時点で施工者側はそうじゃなきゃ成り立たないところまで来ているのでしょう。なのでこちらは諦めます。

 

 最近の建方はたった1日で屋根下地まで終わらせるのが標準ですので、その1日に事故が起きないように祈っておくくらいしかやれる事はないでしょうね。


 それに比べると『今までの大工さん』の気持ちをこちら(施主さん)側に向ける方法は有ります。


 前提の情報として、大工さんというのは家を一棟建てるのに今も昔もただ木工事をするだけでなく、色々な職人のまとめ役的な役回りを果たします。(段々とそれも薄くなってしまっていますが)


 なのでせめて大工さん位は、施主さんの方を向いて仕事をしてもらったほうがその建物にとっては良いでしょう。


 では、その方法とは?


 施主さんが建築途中の我が家に行って、顔を見せるのが一番だと思います。


 相手も人、こちらも人、大工さんも自分の建てている家にどのような方が住まわれるかが見えたほうが気持ちが入ります。


 ハウスメーカーによっては打ち合わせの時に「現場でのお茶出しや、ご祝儀は不要なので、現場に来る必要はありません」とお断りされるところも有るかと思いますが、せめて一度は見に行きたいと伝えたほうが良いと思います。


 無用なトラブルを避ける為に施主さんに近づいて欲しくないのかもしれませんが、より良い我が家の為にねばって一度は見に行くことをおすすめします。


 ハウスメーカーの人にいらないと言われても、訪問時に手ぶらで行ってはいけませんよ。温・冷、季節に合わせた缶コーヒーやお茶のペットボトルを多めに持って行くほうが良いですね。


 そして「暑い中ご苦労さまです、よろしくお願いします。缶コーヒーは皆さんで飲んでください」程度で十分なので声をかけてあげてください。きっと喜ばれます。


 棟上げ自体が減りましたので、ご祝儀も無しというのが増えたようですが、棟上げの有り無しとは関係なくこの時にご祝儀も渡してあげたほうが、なお良い結果を生み出すと思います。


 『一生に一度』の大事業により、すでにお財布はぺったんこかもしれませんが、無理をしてでも捻出したほうがいいと私は思います。日本の文化『付け届け』だと思って割り切って出してあげてください。


 普段もらえないものがいただけたとなったら、その大工さんはモーレツに感動して直後からいつも以上に頑張る事でしょう。



 その無愛想に見えるたった一人の諭吉のほほえみはプライスレス!


 今まで100%で仕事をしていたとしても今後は完成するまで120%の力で取り組んでくれる事でしょう♪


 ですので、残りの作業日数がたくさん残っている、初期の間に訪問したほうがコスパが良くなります。残り60日でやる気を出してくれるのと、残り6日でやる気を出してくれるのとでは家造りの結果が全然違ってきますからね。


「何千万円も支払っているのに、更に金を要求するのか!? そのままでは真面目に働かんのか!? この業突く張りが! けしからん!」


 とは思わないであげてください。その何千万円の内、直接現場の大工さんの純利益になっている額はわずかです。たった一人の諭吉さんに喜ぶ程度なのですから。

 

 サブタイトルにつけているように、これは気持ちの問題なのです。


 大事なのはお金ではありません。


 心を施主さんの方に少しでも向けてもらうことなのです。


 心と心のふれあいが大事なのです。


 この人の為に、良い家を作ってあげたい。そう現場の大工さんに思わせる事ができたら作戦成功です。


 諭吉さんの目が監視カメラのごとく大工さんの心をチェックしてくれ、忙しいから少し手抜きしようかな、なんていう思いをいましめてくれます。


 「心が大事だ」と言いながら、お金だ諭吉だと何度も言うと、私の人格を疑われてしまいかねませんので、最後にもう一度お伝えしておきます。





 大事なのは諭吉です( ・`ω・´)キリッ

 


 


 




 




 

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