第4話 コミュ力 (薪ストーブ導入編)
前回のあらすじ
1人でいってこい!
◇◇◇
(注)お父さんは何かに夢中になると周りの事が見えなくなることが多々有ります。
やばい!
冷戦中だったの忘れてた!
しかもかなりのご立腹。
これは、あかんやつや。
かなりの危機を認識したお父さんは得意の高速思考モードに切り替わります。
ここまで0.1秒
慌てて『ヨメ取説』を脳内検索。
第一・・・第二・・・第三・・
ここまで0.3秒
第三条一項の二 『君子危うきに近寄らず』 この状態の時は即刻スルーし、おのれの存在感を消し、一週間は話しかけない事。(補注)下手に話しかけようとすればするほど悪化する。
該当項目発見!
逆らうような発言はNG!
ここまで0.5秒
「わかった」
聞こえるかどうかはわからない程度の音量で返事をした事実を積み重ね、後は華麗にスルー!
そそくさとお風呂に直行し、通常モードでどうやればお母さんを説得して、薪ストーブを導入できるかをひたすら考える。
極論を言えば家造りの全権を握っているのはお父さんなので、勝手に薪ストーブを設置することもできる。ただし、それをやってしまうとますますお母さんの機嫌を損なうことは間違いない。
下手をすれば、お母さんの伝家の宝刀、
『実家に帰らせてもらいます』が抜かれてしまう。
さてどうするか。
『お母さんも納得した』という言質を取らねば。
何としても・・・
よし、ここは『ペットショップ作戦だな』
ペットショップの手法を参考に、まずは子供をその気にさせる!そしてそのまま、なし崩し的にお母さんから言質を取る!!
けどなぁ、そこに話を持っていく為に、薪ストーブを焚いているお店に行かないことには先に進まない。
よし、仕方ない!
『ノリえもん』に泣きつこう!
『ノリえもん』とは子供の保育園で知り合ったパパ友の『ノリオ君[仮名]』の事である。彼は面倒見の良い頼れるナイスガイなのだ。決して青い猫型ロボットの事ではない。
ちなみにノリオ君ちも同じくこの時期にリフォームの計画中。
え!?保育園の送り迎えでパパ友作れたの??
大木げんってコミュ力高くない!?と、驚かれた読者の皆様。お父さんのコミュ力を舐めてもらっては困る。
最低限の会話だけの、ほぼ無言で送り迎えするお父さんには当然のごとくそんな力が有るはずもない。
だが我が家にはいるのだ。コミュ力モンスターが。
そうお母さんだ。
お母さんのコミュ力はハンパではない。
送り迎えしているだけのはずなのに、いつの間にかすべての園児のママと、ママ友になっており、その中の何家族かとは、家族ぐるみで泊りがけで旅行に行ったりキャンプに行ったりする仲にまで発展していったのだ。
そんなお母さんに
きっかけは何でも良いのだ。
結果が全てなのだから、
早速アポを取る。
翌日の仕事終わりに相談開始。
「ノリえもーん!」
「どうしたんだい、げん太君。って俺はノリえもんじゃねえ!」
まずはいつものご挨拶。
「いや実はさあ、かくかくしかじかで・・・」
「いや、まあその話知ってるけどね」
「え!?なんで?」
「ママずの愚痴話ですでに皆知ってる。また大木家はやりあってるって」
「フミ(ヨメさんの事。仮名)のヤツ口が軽すぎる!」
「それで、仲裁でもして欲しいの?」
「いや、そうじゃ無くってさ、ログハウスと薪ストーブがウリの住宅展示場でPESSって有るでしょ。前にノリオ君も興味が有るから行ってみたいって言ってたところ」
「あぁ、PESSね」
「そこにノリオ君主催でうちの家族も連れて行って欲しい。2家族合同で行こうよ。そしたら子供達を薪ストーブのファンにして突破口がひらけるかもしれない。フミも薪ストーブを体感したら良いもんだと思ってくれるかもしれないし。とにかくきっかけが欲しいんだよね」
「いいけど。じゃあいつ行く?」
「少し間をおきたいし、もう少しで本格的に冬になるから2週間後位でどう?」
「オッケー、じゃあ俺の発案って事で予定たてとくよ」
ということで、ガツンと言えなかったお父さんの作戦は、得意の『他力本願』となりました・・・
お父さんには『チート』など無いのだ
次話に続く
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