第3話 本物の塩対応 (薪ストーブ導入編)

 前回のあらすじ


 カクヨムショッピング


◇◇◇


 火って良いよなぁ。


 知ってるかい?

 お父さんが子供の頃は、田舎では道端で枯れ葉を集めて落葉焚きをやっていると、道行く御婦人から

「あら、えら・・いわね~。火事には気をつけるのよ」って頭ナデナデされたんだぜ?


 それが今では

「あら、ひど・・いわね~。通報しなくっちゃ」って顔をしかめられるんだよ。

 わびしい世の中になったもんだよ。



 お父さんは火遊びが大好きでした。


 お仏壇で毎日ご先祖様にお参りする時も、近しい親族が亡くなった経験もなかったため、むしろロウソクの火を見るのが楽しくて毎日ナムナムしておりました。


 暮れの餅つきやバーベキューも公然と火遊びが出来るので大好きでした。手持ち花火も最高だね!


 そんなお父さんは、家造りを計画する時に当然のごとく、バーベキューができる庭を求めました。調子にのってピザ窯なんかもDIYしちゃおうかなぁなんて妄想していた頃、『チルチンびと』という建築系雑誌で薪ストーブ特集をしていました。


 お父さんは田舎の兼業農家のせがれだったので、SDGsが騒がれる前から環境問題にも敏感でした。自分のところの会社からだけでも、建築端材が大量に捨てられるのが、実に勿体ないなと。


 この2つが結びついた時、突然脳がスパークしました。


 そこに現れたのは映画の中の富裕層のように、ガウンを着てワイングラスをくるくると回す一人の男でした。男は薪ストーブの炎のゆらめきをバックに左右に美女(ヨメさんと娘ちゃん)を抱えており、魔眼のごとく目を光らせて、こう言い放ちます。


「どうだね、げん君。最終兵器薪ストーブを搭載した我が城未来の自宅は。圧倒的ではないか?」


 どうやら本当に魔眼だったようです。


 すっかり薪ストーブに魅了されてしまったお父さんは、薪ストーブの導入を確定事項として情報を集め始めます。


 しかしネットに踊る薪ストーブ情報は、肯定的な意見半分、否定的な意見半分でした。


 「う〜ん、リスクが高すぎるな。肝心の仕事で使う杉、ヒノキが燃やせないなら意味ないし、やっぱりやめようかな」と思いつつ『薪ストーブ 後悔』と入力して検索してみると・・・


 トップにでてきたのは薪ストーブを取り扱う会社のWEBサイトでした。(実話です。こちらの代理店で購入して設置しました。今でも同じワードで検索するとトップに表示されるはずです。ご興味のある方は検索してみてください)

 

 そこには、後悔してしまう選択と、後悔せずに薪ストーブを楽しめる選択が、超長文で記載して有りました。


 頑張ってひたすら読みこんでいくと・・・


 こ、これは・・・お父さんの希望を全部叶えた、お父さんの為に誂えたかのような薪ストーブじゃないか!!


 お父さんのニーズは

①メンテナンスが楽な事

②仕事ででる杉、桧をメインで燃やせる事

③インテリアではなく実用品として使える事

④2次燃焼以上して排煙がクリーンな事

⑤燃費がいい事

⑥調理にも使える事

⑦焚き付けが楽にできる事

⑧値段が高過ぎない事

⑨家中この薪ストーブ1台で暖められる事

⑩普段日中は家に人が居ないので、1日中火を焚くのではなく、夜のみ毎日焚くというライフスタイルにマッチする事


 お父さんのニーズと見事にマッチ!

 美味しそうな料理で見事にお父さんの心を鷲掴み!


 ここで前話のカクヨムショッピングの話に時間が繋がります。(カクヨムショッピングとは実際にはおねぇさんではなく、私が購入した代理店のおじさんであり、上記ワードで繋がるWEBサイトです。価格は煙突も含んだ当時の私の購入金額です。) 


 ついに理想の薪ストーブを見付けた! と意気揚々とニコニコ笑顔で家に帰るお父さん。


 しかし興奮したお父さんはすっかり忘れておりました。


 お父さんの過去のやらかしのせいで、夫婦仲は寒風吹き荒ぶ冷戦中。盛り上がっているのはお父さんだけ。


「ただいまぁ〜! 凄く良い薪ストーブ見つけたよ! 今度の日曜日、皆で一緒に見に行こうよ♪」


「は? 薪ストーブ? まだそんな事言ってんの? 行きたかったら1人で行って来い!」


 

 次話へ続く









 


  


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