第1話 ライトニング・ハイウェイ
−深夜の高速道路−
『ポォーン』
甲高い音を響かせ、黄色いバイクHONDA CBRが、ぬうように車を追い抜いていく。
稲妻のラインのはいったライダージャケットを着た男がかぶるヘルメットのシールドには、道路灯や白い破線が、まるで弾丸が飛び込んでくる様に映っている。
やがて、ヘルメットのシールドに黒いバイクKAWASAKI Ninjaが映ってきた。
黒いバイクのサイドミラーに、黄色いバイクが視認出来たとたん、スッと脇に消えた。
隣から甲高い音が聴こえてきた。目が合うなり、中指を突き立て幅寄せをしてくる。
黒いバイクのモニターに文字が表示され、ヘルメットから声が聞こえてきた。
『(`д´)ピャー:何コイツ。チョー、ウザいんですけどー。』
黒いバイクは、急減速し分岐するジャンクションに滑り込んでいった。
『(╯°3°)╯ブー:ねえ〜、どうして逃げちゃうのよ〜。あんなヤツ、やっつけちゃってよ〜。』
バイクから聞こえるギャル調の言葉に気もとめず、黒いバイクは加速していく。
甲高い音が追いかけてきた。サイドミラーには、あの黄色いバイクが映っている。
あっという間に追いつき、すぐ後ろで蛇行運転を始めた。
『(`□´)カーッ:マジ、何なのこいつ〜。』
『バルーン』
黒いバイクが、さらに急加速していくが、黄色いバイクもピッタリとついてきた。
時おり黄色いバイクが追い抜こうと仕掛けてくるが、黒いバイクが前をふさぎ抑えにかかる。
『(´・ω・`)ポヨ~:ネェネェ。E'sで、やっつけちゃおうよ〜。』
「レム。静かにしてくれ。」
「そいつの言う通りだゼ。この世界、Delされない限り、何をしても、されてもいいんだゼ。」
黄色いバイクの男から、少し鼻につく喋り方で通信が入った。
『(´・ω・`)ポヨ~:アイツも、ああ言ってることだしさ〜。チャチャッとヤッちゃってよ!』
「レム。アイツは、挑発してるんだ。」
「ヘンッ! 手の内隠そうが、勝負は一瞬で決まるもんだゼ!」
『バチッ バチ、バチッ』
黄色いバイクの男が、うっすら輝き出し、周囲に静電気で火花があがりだした。
「レム。月は、出ているか?」
『Σ(゚∀゚ノ)ノキャー:満月ですゎ〜。』
バイクから発せられる声は、黒いバイクを運転する男の意味深な言葉に興奮しているようだ。
『ババババッ、バンッ!』
黄色いバイクの男が、激しい稲光を放電すると、周囲の道路灯の明かりが消えた。
その時…、
『ピキーーーン』
一瞬閃光がはしり、黒いバイクの姿が無くなっていた。
………。
果てし無く続く真っ暗な高速道路に、ポツリと黄色いバイクが一台、ゆっくり停車し運転していた男がヘルメットを脱いだ。
「ヒュ〜。ビックリしたゼ!? とびっきりのE's使いじゃン! ……閃光のフォトン……。 おもしれーッゼ!!」
金髪に鋭い目つきの男は、頭を手でクシャクシャっとかきむしり、またヘルメットをかぶった。
−郊外の複合施設にある立体駐車場の屋上−
おそらく誰も来ないのだろうか、テントの脇に駐められた黒いバイクKAWASAKI Ninja。
その横に置かれた折りたたみ式のリクライニングチェアの上で、黒のライダースジャケットを着たままゴロゴロ寝転ぶ黒いバイクを運転していた男。黒髪に色白のやさ顔の口元からは、ヨダレが垂れていた。
『カチッ キーン ピッ ピッー』
バイクが勝手に起動した。
『(`^´)モー:晃(アキラ)。晃(アキラ)ってばー。』
「むにゃ、むにゃ〜。」
『٩(๑`^´๑)۶プンッ:キュルッ バルーン! バルバルルルル〜』
耳元で突然バイクのエンジン音が鳴ったので、男はリクライニングチェアの上で飛び起きた。
「うわっ! …っん、何だよ?」
『٩(๑´3`๑)۶ブー:寝てばっかつまんな〜い。どっか連れてって〜。E'sで思っきり暴れた〜い。何で昨日のヤツは逃げたの〜!?』
「うるさいな〜。俺は、Ni-V。昨日のヤツは、S'bじゃないから戦う必要無いんだよ〜。そんな事より、昨日のヤツの情報を調べてくれたの?」
『_φ(゚∀゚ヘ)エッヘン:モチッ! 名前は、雷斗(ライト)。E'sは、エレクトロン。電気ビリビリだよ〜! 高速道路が縄張りっぽいから、E'sの発動条件は〜きっと速度が関係してると思うの〜! キャー! 私、名推理〜!!』
「ハイハイ。これから高速道路には、近づかないよ。ありがと〜。じゃあ…俺は、昨日E'sを消費したから日光浴するよ。起こさないでね〜。ふぁ〜〜ん。」
そう言うと大きなあくびをして、また眠りほうけてしまった。
『٩(๑`^´๑)۶プンッ:んも〜。ほめて〜! つまんない〜! どっかつれてって〜!』
❏現状ステータスを表示します❏
俺の名前は、晃(アキラ)。
E'sは、フォトン
訳あってS'b(ソウル・ブレイカー)を狩る者、Ni-V(ニルバーナ)をしている。
そして、このうるさいバイクが、レム。俺のE's(エレメンタル・スキル)発動条件の媒体かつ、この世界の案内役(対して働かないが)かつ、バディー(相棒:文句ばかりだが)。
「それじゃ…、おやすみ…。」
晃(アキラ)さん、
残念ながら、貴方はログアウト出来ません。
ここまでのデータを、バックアップしますか?
【Yes】【No】
「あぁぁ〜。訳あって、この世界から出れないんだった…。」
「【Yes】で…。」
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