イド・フロンティア

プロローグ

　−イド・フロンティア−

　フロイト・ダイブと呼ばれる技術をもちいて、意識を仮想空間にダウンロードし、多種多様な交流が出来る。

　ここでは万物を操る要素の中から、その人が持つ強い欲求に関わるものがエレメンタル・スキル(以後E'sと呼称)と呼ばれる能力として与えられる。

　E'sには、発動条件が二つある。

　一つは、媒体となるサポート端末。

　もう一つは、フロイト・ダイブで読み込まれたパーソナルデータから、一番印象深い記憶が再現される場所や物。

　そして心理的影響の強さで発揮出来る能力の強さもかわり、ときには外見や一定の空間までも変化させてしまうエレメンタル・バースト(以後E'bと呼称)を発動する者も現れる。

　つまり、この世界では欲求の強さが価値であり、力そのものなのだ。そして感情の駆け引きや高ぶらせる方法がゲーム要素なのだ。

　しかし、E'sが暴走する事がある。理由は様々だが、理性の欠如と常にE'sが発動し続けるソウル・ブレイカー(以後S'bと呼称)と呼ばれる状態に陥る。

　こうなってしまえば、現実の世界に戻ることも出来ず、ただひたすら欲望を吐き出し仮想空間をむさぼり食い続けてしまう。

　S'bになったものは、仮想空間と周囲の者に危害を及ぼす為、誰かの手によってデリート(以後Delと呼称)されるほかはない。S'bをDelする専門の者は、ニルバーナ(以後Ni-Vと呼称)と呼ばれた。