第20話

玄関を入ると

左右に廊下が広がっていた。


男装の麗人は廊下を右に進んだ。

私は黙って後に続いた。


廊下は天井も高くその幅は

大人がゆうに五人は並んで歩けるであろうほど

広かったが、

私は閉塞感を感じた。

そして私はそれが

窓がないことに起因していることに気付いた。

そのため昼間だというのに電気が点いていた。


変な建物。


中に入ってますますその印象が強くなった。


廊下の突き当りにドアが見えた。

そのドアの前で男装の麗人は立ち止まった。

廊下はそこで左に折れて続いており、

その先は同じようなドアが

いくつか並んでいるようだった。

ようだったというのは、

隣のドアは確認できたのだが、

その先は廊下の灯りが消えていたために

暗くて確認できなかったのだ。


「ここがこれから三日間、

 あなたが寝泊まりする部屋よ」

そう言って彼女は正面のドアを開けた。

「この部屋は私と共有するから

 後でベッドをどちらが利用するか

 話し合いましょうね。

 今はとにかく荷物だけ置いて

 応接室に行きましょう」

「は、はい。」

私は急いで荷物を置いた。


男装の麗人は先ほど来た廊下を引き返した。

玄関を過ぎて、

さらに進むとこちらも突き当りにドアがあった。

丁度、私に充てられた部屋と

玄関を中心として対照の位置になる。

廊下はこの部屋の前で右に折れて続いていた。

男装の麗人がドアを開けて中へ入った。

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