一部 落葉ちゃん誘拐事件(未解決)

第2話

私は未来をミる。


そしてそれは

寝ている間にミることもあれば、

起きている時にミることもあった。


寝ている時にミるのは

自分自身に関することだった。

幼い私が悪夢にうなされて飛び起きると、

母が「怖い夢を見たのね」

と私の頭を優しく撫でてくれた。


一方で

起きている時、

他人を前に目を閉じて瞑想に入ると

私にはその人物の未来がミえた。


私はこの力を『ビジョン』と呼んでいた。


しかし『ビジョン』にも欠点があった。


『ビジョン』は将来の奇禍をミせる。

私のミる未来は不吉な出来事ばかりだった。



私が『ビジョン』を初めて認識したのは

四歳の時に起こったある事件がきっかけだった。


あれから随分と時間が経った今でも

私がその事件を記憶しているのは

それが未解決であるということが大きい。

この事件は私の心に

小さな棘となって刺さったまま

ずっと存在していた。

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